9mm Parabellum Bullet・菅原卓郎がアルバムタイトルに込めた想い
2004年の結成以来、音楽シーンの第一線を走り続けている9mm Parabellum Bullet(キューミリ・パラベラム・バレット)。今年4月に15周年を迎え、9月9日には8枚目となるアルバム『DEEP BLUE』をリリース。そして10月からは全国ツアーをスタートさせるなど、その勢いはノンストップ! 今回は、ボーカルの菅原 卓郎さんに、ニューアルバムへの想いや、15周年を迎えた心境について語ってもらった。
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―――結成15周年、おめでとうございます。まず、今回のアルバムのタイトルが『DEEP BLUE』に決まった経緯を教えてください。
菅原卓郎(以下、菅原):例えば「一生青春だ」っていう言葉があると思うんですけど、僕としてはそのままの意味だと受け取りづらいなと感じていて。じゃあ、どう解釈しているのかというと、青春だ! ってワーワー騒ぐだけじゃなくて、試練とか苦労とか、そういう苦い部分も含めて青春なんじゃないかなと。僕自身も15年バンドをやってきて、バンドをやることって青春だとは思うんですけど、もちろん楽しいことばかりじゃなかったし、それを今も続けている以上、その青春から逃げられないなと思う部分もあって。でも、そんなあらゆる経験を通して色を塗り重ねていくことによって、それがどんどん深い色=ディープブルーに変化していく。それが一生青春するっていうことなんじゃないかと思ったんですね。15年バンドを続けてきた事実とどう向き合うかって考えたときに、この考え方がすごくしっくりきたんです。
レコーディングの最初のほうで『DEEP BLUE』という曲ができて、それによってアルバムの方向性もすっと定まった気がしました。「あ、アルバムにはこのタイトルかもな」って早い段階で見えていたので、結果それがブレずに決定した感じです。僕らが込めた意味合いとアルバムの世界観はすごく一致していると思います。
―――全部で12曲ありますが、この曲順にはどんな意味が込められているのでしょうか。
菅原:曲順を決めるときにまず一番優先されるのは、“曲の声”を聞くことなんです。「最初だ」「最後だ」って、立候補してくる曲があるんですよ。なので、そういう人(曲)には、じゃあ君が1番目なんだね、お願いしますって託します(笑)。その次にテクニカルな要素として、前後のつながりとか、どこをどう盛り上げるかってことを考えます。そこまで決まった上で、あとは歌詞の意味を考えて順番を決めます。ちょっと暗いメッセージの曲の後には、ポジティブな曲をもってくるとか、逆に流れをあえてバッサリ裏切るとか。そんな感じで調整していきますね。
―――ひとつの大きな流れというか、物語のようなものをイメージされてるんですね。
菅原:そうですね。リスナーが、なんでこの曲の後にこの曲にしたんだろう? と疑問を持つようなことが起きないようにしています。前後のつながりには意味を持たせているし、そのほうがリスナーも聴きやすいんじゃないかなと。
―――となると、リスナーには1曲目から順番に聴いてほしいものですか?
菅原:そのように曲順には意図、意味があるので、まず最初はそうやって聴いてもらえたら嬉しいですね。例えば、ジェットコースターって、途中で降りられないじゃないですか。ジェットコースターのようなものだと思って聴いてもらうといいかな。もちろん、好きな順番で聴いてもらってもいいんだけど、まずは一回ジェットコースターに乗ってみてほしいですね。
―――なるほど。12曲の中で、特に思い入れのある曲はありますか?
菅原:シングルにもなった「名もなきヒーロー」ですね。スタッフから「4月発売だし、応援ソングを書いてみたら?」って言われたのがきっかけで生まれた曲です。デビューしたての頃だったら、「そんなの書かないよ!」って歯向かっていましたが、今回は、素直にそうしようかなって思えたんですよね。15年間バンドをやってきて、僕らも成長して、今だったら自分の言葉で誰かを応援するというか、ただ頑張れって言うんではなく、内側からエネルギーが湧いてくるような言葉を紡げるんじゃないかって。結果、それを完成させることができたのは、自分の中でもすごく大きなことでしたね。それと「DEEP BLUE」。この曲はほぼ同時にできあがったんですが、この2つが音の面でも言葉の面でも、アルバムを作る上で引っ張っていってくれた気がします。
―――このアルバムを作る上で、挑戦したことは?
菅原:いつも何かしら挑戦したいと思って作っていますが、これまではサウンド面というか曲調で何かしら挑戦をすることが多かった中で、今回は“言葉”で挑戦したという部分が新しいかもしれません。例えば応援ソングや卒業ソングなど、「そういう曲は世の中にたくさんあるんだから僕らがやらなくていいじゃん」って思っていたようなテーマの曲も、あえて作ってみたというのは挑戦でしたね。
―――なぜそのような心境の変化があったんでしょうか。
菅原:ここ何年かの活動の中で、どんどんオープンな気持ちになってきたというのがあります。CDを聴いてくれている人やライブに足を運んでくれる人に、助けられてきた部分が大いにあるので、その想いにどう応えるかってことを考えました。お礼、なんて簡単な言葉では言い表せないけど、僕らが前向きな音楽を作ることで、応援してくれている人たちに想いを返したいなと思って。
―――“言葉”を大事にされているということですが、作詞する上で意識していることはありますか?
菅原:聴いたときにすぐ意味がわかるようにしたいなと思っていますね。あと、あまり熟語を使って説明しないようにしています。例えば、孤独について書いているとしても、孤独とは書かないで、もっとわかりやすい言葉で表現するとか。聴いたときに意味がパッとわかること、かつその言葉が強いことが重要ですね。簡単なことを言うって意味ではなく、簡単には言えないんだけどっていう内容のことを歌わないと意味がないと思っているので。
―――10月からは全国ツアーが始まりますね。注目すべきところは?
菅原:新しいアルバムの曲を演奏することが楽しみですし、みなさんにも期待してもらいたいですね。あと、アルバムも8枚目になるとライブで過去の曲をやる機会が減ってしまうので、今回は「え! あの曲やるの?」と驚いてもらえるような、過去の曲も改めて演奏したいと思っています。
―――最後に、15周年という節目を迎えて、今後の野望をお聞かせください!
菅原:みんなから愛される曲が生まれたらいいなと思いますね。僕らがいなくなってからも曲が生き続けていたらいいなと思うし、それが1曲でも多かったらいいなって。残すために作る、というわけではなくて、僕らが自由に作った結果、いろんな人がそれを楽しんでくれて、残っていったらいいなと思います。そういう曲を多く作っていけるよう頑張りたいですね。
8th Album
『DEEP BLUE』
発売中
※ほか15th anniversary Box(初回数量限定生産)¥9,999、アナログ盤¥3,600があります
- Beautiful Dreamer
- 名もなきヒーロー
- カルマの花環
- Getting Better
- 夏が続くから
- 21g
- Mantra
- Ice Cream
- DEEP BLUE
- 君は桜
- いつまでも
- Carry on(Album ver.)
Photograph_TATSUYA YAMANAKA[STANFORD] Styling_MOMOMI KANDA Hair & Make-up_JUNKO SAKAYORI[BITTE] Interview & Text_MISA HAIOKA
(編集・熊谷)
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