音楽的なフェティシズムを盛り込んだ 最新の“夜ダン”を表現したアルバム

2019/06/07

今、最もロックで踊らせるバンド、夜の本気ダンスによる約1年半ぶりのニューアルバムが完成。その名も『Fetish』。バンドの空気感さながらの、妖しげな雰囲気を感じさせるタイトルを掲げた今作は、隅々まで練り込まれた11曲で構成されており、聴き答えは抜群! 結成11年目、メジャーデビュー3年目の4人による、待望の新作についてインタビューを敢行した。

メンバーそれぞれのフェチを入れた

夜の本気ダンスの“ナウ”を表現しました

―米田貴紀

米田貴紀(Vo/Gt)

―6月5日にリリースされる3枚目のアルバム『Fetish』。前作から約一年半ぶりのアルバムとなりますね。

米田貴紀(以下、米田)「はい。一年半という期間は、これまでで最長ですね。制作には早い段階から着手していたんですけど、しっかり時間をかけて今作を作っていきたいと考えていたんです。それに歌詞の面では考え込むことも多くて、結果的にこのようなタイミングになりました」

―制作するうえで、前作と異なるのはどんな点ですか?

米田「プリプロを1曲ずつ、しっかりと行った点です。今までのレコーディングのやり方ではスムーズに進まない部分があったので、前もって曲に対するアレンジや録音方法をエンジニアさんとも相談しながら進めていったんです」

鈴鹿秋斗(Drs/Cho)

―それが『Fetish』完成に向けて、いい効果があったと。

鈴鹿秋斗(以下、鈴鹿)「ドラムに関してはエンジニアさんがついているので、チューニングや音の鳴りを事前に調整できたのが、非常にやりやすかったです」

西田一紀(以下、西田)「メンバーだけではなく、レコーディングエンジニアさんや各パートに付いているスタッフと、みんなで音像や作品の空気感を把握する機会を設けることができたのがよかったですね。今までは、スタジオに入って、その日のうちに全員で共有しながら、すぐに録っていたので。瞬発力重視のやり方だったんです。『Fetish』では、制作チーム全員でイメージを膨らませながら進められたので、音もよくなったと感じています」

鈴鹿「ドラムに関してもそうですね。今までは直感的に思いついたフレーズを入れたりもしていたんですけど、じっくり考える期間があったので、色々と試すことができました。より後悔のない作品に仕上がりました」

―なるほど。では『Fetish』というタイトルは、制作のどの段階で決まっていたんですか?

米田「僕らは作品ごとにコンセプトを設けて制作するタイプではないので、タイトルが決まったのは制作の最終段階なんです。全曲、ほぼ仕上がりつつある状態で、僕からメンバーに『Fetish』というタイトルを提案したんです。この言葉は、今作に取り掛かる前から頭の中にあったんですよ。前作のアルバム『INTELLIGENCE』を名付けるときから作品名の候補には入っていたんです。夜の本気ダンスというバンド名に対して『Fetish』という言葉は違和感がないし、似合っていますからね。そういった意味で、ようやく作品名として使うことができた言葉なんです」

―『Fetish』という単語には様々な解釈がありますが、今作についてはどういう意味がありますか?

米田「趣味嗜好だとか、●●フェチとか、そういうときに使われる言葉ですよね。今作で言うと、音楽にまつわるメンバーそれぞれのフェティシズムが盛り込まれているので、僕らの音楽的なフェチが詰め込まれているという意味になります」

マイケル(Ba/Cho)

―では、アルバムに収録されている音楽的フェチポイントを教えてください。

マイケル「ベースに関しては、わかりやすいところだと音色ですね。今作では特に音色にこだわって制作していて『Take it back』ではコーラスをかけたりして音像感を立体的にしています。そんな風に自分の好きな感じに仕上げているのが、僕のフェチな部分です」

鈴鹿「ドラムについても『Take it back』がポイントです。僕はビートの中でも16ビートが心地よくて好きなんですが、この楽曲では同じ16ビートでもアクセントの位置を細かく変えていたりしていて、その点に是非注目して聴いてほしいですね。あとは最後の『Forever Young』。サビのメロディとコーラスがめっちゃ気持ちいいんです。カラオケでも歌いたくなっちゃうんじゃないかな、と」

西田「ギターについては、今作は人間味や空気感を込めた生きた作品にしたいという思いがあったんですよね。だから、あえてリズムをずらしたり引っ張ったりしています。細かい部分なんですけど、これまではカッチリと弾いてきたので、そこは自分のフェチが出ている箇所だと思いますね。例えば『MONSTER』では曲の冒頭部分を、一発のストロークで鳴らしているんですが、その一音で聴く人の心を掴みたいと思って弾いていて。なんてことないフレーズなんですが意識的に演奏したんです」

米田「ボーカルに関しては1曲目の『Ain’t no magic』。逆再生と普通の声が混ざり合って流れてから全パートが入ってくるんですが、その逆再生の雰囲気は自分の好きなバンドから来ているフェチポイントです。『Forever Young』にしても、きっちりと歌い切る感じではなく、ちょっと遊びを持たせた感じの終わり方をしていま。これは僕が好きなバンド、DOPING PANDA(ドーピング・パンダ)のYUTAKA FURUKAWAさん的なR&Bテイストの歌いまわしだと思っています。ここは自分なりのオマージュですね」

―夜の本気ダンスが好きな音楽的要素が詰め込まれた作品なんですね。今作に関しては、要素として盛り込まれている具体的なバンドなどはありますか?

米田「曲ごとにありますね。90年代のブリットポップだったり、2000年代のニューウェーブ、ポストパンクリヴァイバル的な音像であるとか。特に10曲目の『Eternal Sunshine』はBlur(ブラー)などの90年代ブリットポップの雰囲気。最初の部分にあるコード感などは、そこから影響を受けています」

―9曲目の「Oh Love」はパーティロック感もたまらないですね。

米田「これはThe Fratellis(ザ・フラテリス)をイメージしています。ああいう、ちょっとやり過ぎたくらいのポップソングって都会的ではないかもしれないんですが、好きなんですよ」

西田一紀(Gt)

―そして4曲目「Movin’feat. Creepy Nuts」ではCreepy Nuts(クリーピーナッツ)がフィーチャリング。一緒にやることになったキッカケは何ですか?

米田「関係性があり僕らがカッコいいと思っているアーティストと共作したいねって話をメンバーとしていたんですけど、Creepy Nutsは互いのツアーやツーマンでも一緒にやっていたので、自然な流れとしてフィーチャリングで参加してもらいました。音楽の流行も時代に伴って変わって行くものだとは思うんですが、ロックとヒップホップのマッシュアップというのは、80年代を見てもAEROSMITH(エアロスミス)とRun-D.M.C.(ランDMC)がやっていたり、Base Ball Bear(ベースボールベアー)がRHYMESTER(ライムスター)をフィーチャリングしたり、いつの時代にもあると思うんです。そこで、僕らがCreepy Nutsのような本当に素晴らしいアーティストと一緒にやれたっていうのは、この先もずっと誇れるものだと感じています」

―では最後に『Fetish』リリースを目前に控えた今の心境を教えてください。

米田「今作は僕らにとって3枚目のアルバムになるわけなんですが、こうやって国内外含めて考えてみると、意外と3枚のフルアルバムをリリースしているバンドって少ないんだなって思うんです。だから、こうやって『Fetish』をリリースできることは幸せなことだと思いますし、さらに次のリリースへ向けて、しっかりとやっていかなくてはいけないと感じましたね」

鈴鹿「メジャーデビューして3年目になって、まだまだ多くの人に広めていかなくてはいけないと思うことが多くて。広めるタイミングって作品をリリースするときは一番やりやすいと思うんです。今まで届いていなかった層に向けて、このアルバムであれば伝わると思いますし、今作を引っ提げてのフェス出演やワンマンツアーは、貪欲にガムシャラに攻めていきたいと思っています」

マイケル「バンドとしても大事なタイミングですし、今がまさに踏ん張りどき。今作をリリースしてからの動きで、今後二年、夜の本気ダンスがどう頑張っていくかが決まってくると思うので、その大きなビジョンを見つつ、覚悟を決めている段階です」

米田「総じてアルバム『Fetish』は、まさに僕らの今を詰め込んだ鮮度抜群の11曲になっているので、今、このタイミングで多くの人に聴いてほしいですし、届けたいと考えています」

 

Photograph_SATOSHI OMURA

Text_RYO TAJIMA[DMRT]

(編集・熊谷)

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