【村上隆主宰のギャラリーで日本初開催】ネオンカラーで描かれたスネークが印象的な、エリック・フォスの個展をレポート
執筆者: smart編集部
ネオンカラーで描かれたスネークが代表作のエリック・フォス。23年4月にカイカイキキギャラリーで開催された、彼の日本で初めてとなる個展「Carnival」の模様をリポートする。
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ジャンクでカウンターな
アメリカンアート
元麻布カイカイキキギャラリーで、エリック・フォスの日本初の個展となる「Carnival」(23年4月8日~28日)が開催された。エリック・フォスと聞いて、本誌の読者ならSupremeのSnake Teeを思い浮かべる人もいるかもしれない。スネークがフロントにプリントされた強烈なインパクトは一度見たら忘れない。
現在はニューヨークを拠点に活動しているエリック・フォスだが、もともとの生まれはイリノイ州、育ったのはアリゾナ州フェニックスだ。実はアメリカという大きな主語ではアメリカを正確に語ることはできない。というのもニューヨークやロサンゼルスなどのメガシティと、エリック・フォスが育った西部とではカルチャーが全く違ってくるからだ。ここで、アメリカン・コンテンポラリーアートの系統を考えてみる。まずアメリカを代表するポップアーティストとしてはロイ・リキテンシュタイン、アンディー・ウォーホール、キース・へリングなどが挙げられるが、すべて東海岸のカルチャーである。砂漠とカウボーイをモチーフとする西部のアートといえば、ノーマン・ロックウェル的なアメリカのトラディショナルアートの流れを汲むフレデリック・レミントンが挙げられる。またはネイティブ・アメリカンの世界。こちらはアートではないが、クロムハーツのインディアン・ジュエリーを知らない人はいないだろう。
エリック・フォスはこれらのカテゴリーのどれにも属さない。彼の育った砂漠は、コヨーテとガラガラヘビの生息する文字通りの砂漠以外に、文化的にも砂漠であることが重要なポイントだ。そのような地域には、ミュージアムやスクールもなければ、それを一緒に語れる友人もいない。貧困と無知と偏見が人々を支配し、同じアメリカでありながら、ニューヨーカーからは田舎ものとバカにされる、そんな地域だ。エリック・フォス自身もそのような環境下、アートスクールにも通うことなく独自に制作をしてきたのだった。
展示作品の多くはネオンカラーで描かれたスネーク、キングコブラがモチーフとなっている。これらは、アメリカンロウブロウカルチャーを代表するアイコンであり、本来であれば美術館よりも、ストリートの壁やマスタングのボンネットに描かれているほうがふさわしいかもしれない。スネークが持つ意味はいろいろある。聖書に登場するスネークは反逆者のシンボルだった。反逆者と言えば、ジョン・カーペンターの伝説のカルトムービー『ニューヨーク1997』の主人公が“スネーク”と呼ばれていた。スネークに注目し、それを描き続けるエリック・フォスの魂にジャンクでネバー・ギブアップなアメリカン・サバイバル・スピリッツを感じる。
©︎Erik Foss
Photography_ Kozo Takayama, RK(IG:@rkrkrk)
Text_HISANORI NUKADA
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