山本彩が最新アルバム『&』で描いた“劣等感”と“無敵感”。30代を前にした食生活の変化も吐露
執筆者: ライター/東海林その子
3年ぶりとなるオリジナルアルバム『&』を5月17日にリリースした山本彩さん。誰しもが持つ多面性、二面性に着目した新曲のことから、アルバムをひっさげてのライブハウスツアーの見どころ、30歳を前にした心境について話を聞きました。発売中のsmart7月号にもアルバムに関する山本彩さんのインタビューを掲載していますが、smart Webでの本記事はインタビューの完全版、さらに誌面未掲載カットも公開します。
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要所要所に韻を重ねたり
歌い心地も聞き心地も
「なんか気持ちいい」を意識しました
――取材時点でアルバムのリリースまで1カ月ほどですが、今の心境はいかがですか?
山本彩(以下、山本) 今回、割と早めにスムーズに進んで、完成してからリリースまでの期間があるので、早くみなさんに聴いてほしいという感じですね。
――今回のアルバムには新曲が2曲収録されますが、これはコンセプトを決めてから曲を作ったのか、それともコンセプトに合いそうな曲を選ばれたのでしょうか。
山本 「劣等感」は休養前になんとなくプロットまで作っていたんですけど、復帰してから改めて作り進めたんです。他のお仕事もあったので、できそうだったらアルバムのための新曲を2曲、難しかったら1曲とスタッフさんと話していたんですけど、せっかくツアーをやるんだったら新曲が多いほうがみんなも嬉しいだろうし、自分も楽しいなと思って「もう1曲、完全新曲を作りたいです」とお伝えして。「Bring it on」はアルバムの制作が決まってから作り始めて、「劣等感」は書きたいテーマが決まっていたので、それと対照的になるような曲が欲しいなと思って作りました。
――「Bring it on」と「劣等感」は一緒に戦ってくれるような、まさに共鳴という言葉がぴったりな楽曲だと感じたのですが、それぞれどういった思いから生まれた楽曲なのでしょうか?
山本 「Bring it on」に関しては“無敵感”というか、「なんでもかかってこいや」みたいな気持ちを歌った曲をライブでやりたいという思いから生まれた曲です。ちょっとずつライブやお仕事に復帰して楽しさを再確認できている今はいい状態で、ライブに対する感情もすごくポジティブなので、その状態のままツアーに臨めたらいいなというか、その気持ちをもっと高められるような曲を作りたかったんです。それに久しぶりのライブハウスツアーなので、こういうエネルギッシュな曲があると、より一体感が生まれるかなと思いながら書いていきました。「劣等感」は自分の根底にあるもので、みんな抱く対象は違えど、どこかしらそういう感情はあるんじゃないかなと思っていて。自分も常日頃苦しんでいることなので、それを形にすることで、自分も他の誰かもちょっと楽になる曲になったらいいなという思いで書きました。
――以前、smartの連載でのインタビューで「改めて音楽を勉強している」と話していましたが、今回の制作で印象的なことはありますか?
山本 「Bring it on」は冒頭のフレーズを全部英詞にしてみたり、要所要所に韻を重ねていて、歌い心地もそうだし、聞き心地も「なんか気持ちいい」みたいなことを意識していたら、割とスルスル出てきて、書きながらも楽しかったです。あと最初のデモでは作ってなかったんですけど、アレンジでDメロができたのでメロを鍵盤で作ってみたり、いろんなやり方でアプローチできたんです。割と苦戦したというか、時間はかかったんですけど、その甲斐(かい)あって達成感がありますね。
――韻を踏んでいると、歌っていても気持ちよさがあるんですね。
山本 韻もそうですし、「このメロに対してはこの歌詞が気持ちいい」とかもありますね。「Bring it on」のDメロの「チックタク」も、鼻歌でなんかないかなと適当に歌っていたら出てきたのをそのまま「あ、これいいな。四苦八苦で韻を踏めるな」と言葉遊びの延長みたいな感じで楽しめました。
――アルバムタイトルは『&』と、前作の『α』に引き続き一文字で、研ぎ澄まされていますね。
山本 確かに(笑)。もう次は文字がないかもしれないですね。ドットとかになるかも(笑)。文字を減らしたいなというこだわりはないんですけど(笑)、『&』はどんな楽曲も全部あれもこれも含めて自分であり、このアルバムであるという意味合いですね。楽曲のタイトルもそうなんですけど、割と要約したがりなとこがあって(笑)、『α』からの『&』という流れもあっていいかなと思いました。
――ジャケット写真では、衣装やポーズ、表情のアシンメトリー具合が印象的です(記事末で紹介しています)。制作過程ではどのようなことをイメージして作られたのでしょうか。
山本 近い部分もありながら対照的なカラーを使った衣装を着たり、片方のカットは目線あり、片方はなしだったりと、同じだけど同じじゃない、交わっているけどすれ違っているみたいなことを写真でも表現したいと思っていました。表情もあくまで一人の人間が持つものなので、大きく変えすぎないようにしています。
この記事を書いた人
出版社を経てフリーライターに。ファッション誌、エンタメ誌、web媒体などでインタビュー・執筆。smart本誌では田中みな実さん、山本彩さんの連載などを担当。アイドル、アニメ、食、ドラマなど幅広く興味あり。最近は韓国語を勉強中。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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