【Adoインタビュー】“本当の自分”を表現できた初めての曲「アタシは問題作」
執筆者: コンテンツディレクター/田島 諒
今や知らない人はいないほどの歌い手となったAdo(アド)。2022年は自らも「生きてきた中でもっとも濃密ですごかった」と語る通り、アルバムリリースに始まり、怒涛(どとう)の勢いで活動を続けてきた。映画『ONE PIECE FILM RED』においては主題歌、劇中歌を含む全7曲の歌唱を担当し、アルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』では世界中のファンを魅了した。
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そんな世界のAdoの最新シングル「アタシは問題作」が2月20日に配信スタートとなった。楽曲を手掛けるのは、ボカロPのピノキオピー。かねてよりAdoがリスナーとして聴いてきたアーティストであり、ファンにとっても待望のタッグとなった。さながら、Ado自身の現状をシニカルに歌い上げたような本楽曲は、言うなれば「うっせぇわ」と対になる楽曲とも言える。自身にとってどんな曲になったのか。インタビューで心境を聞いた。
今の“本音”を歌い上げた
楽曲「アタシは問題作」
――約4カ月ぶりとなる新曲「アタシは問題作」がリリースされましたね。どんな楽曲になったと感じていますか?
Ado 「アタシは問題作」はボカロPのピノキオピーさんに書き下ろしていただいた楽曲で、昔からピノキオピーさんの楽曲が大好きなので、今回こうやってご一緒できたことは本当に喜ばしいことですし、ピノキオピーさんの楽曲を聴き続けていた小学生の自分に伝えてあげたいくらい光栄なことだと思っています。
――ピノキオピーさんから「アタシは問題作」の原曲が上がってきたときにどう感じましたか?
Ado 特に歌詞の内容についてですが、まさに私が考えていることを、あまりにもストレートに表現していただけたので、(ピノキオピーが)エスパー(超能力者)なんじゃないかと思ったくらいでした。私からどんな曲にしてほしいのかについての具体的なリクエストをしたわけでもないのに、Adoのことを理解してくれていて、それを楽曲にできるなんてすごいなと思いました。ピノキオピーさんだからこそできるAdoを表現してくれたと思います。
――Adoさんが抱えている思いをピノキオピーさんが代弁してくれた感じですか?
Ado そうですね。「アタシは問題作」は自虐的でどこか皮肉めいた内容の楽曲だと思っていて。Adoのイメージはいまだに「うっせぇわ」が根強いと思います。そのイメージと実際の私のイメージは真逆と言いますか、「全然そんなことはないのにな……」と、呟いている自分の本音みたいなものを込められたのかなと思っています。
――歌詞の中で強く共感したり印象に残っているのは、どの部分ですか?
Ado すべてに共感しているのですが、Aメロの<ちょ 待ってよ/なんで?/過大評価です/本音言えず/胸焼けしてる>から始まる1番の歌詞は、完全に気持ちがリンクした内容だと思います。だから、歌っているというよりも、そのまま本音をしゃべっているような感覚です。
――歌詞の内容でいくと、ラストの<あんたはどうだい?>は、こちらに呼びかけるようなすごみを感じましたが意識したことはありますか?
Ado ここは特に印象に残る歌い方にしようと思った部分です。純粋に「アタシは問題作」を聴いてくださるリスナーに向けても、心に刺さるような表現にしたいという気持ちがありました。
新境地とも言える
無理に明るく
振る舞うような歌い方
――そういった本当の気持ちを歌うにあたって、何か歌唱表現について工夫した点はありますか?
Ado 楽曲自体はすごくポップなので明るい感じで歌っているのですが、その明るさは空元気というか、無理して頑張って振る舞っているような歌い方っていうのは心がけましたね。例えば、「阿修羅ちゃん」や「私は最強」といった楽曲はパワーがあって力強いもの。それらの楽曲と「アタシは問題作」における明るさは全然違って。「うわぁ……頑張らなくっちゃな(苦笑)」みたいな。それもまた私らしいものだし、そういった歌い方ができたのは新境地だと思っています。
――Adoさんの新たな魅力が聴けるという点においても、「アタシは問題作」は重要な曲になったと思います。さて、昔から聴いてきたボカロPが楽曲を手掛けているということで、Adoさんのルーツに近い部分も表現されたのではないかと思います。改めて、ボカロミュージックの魅力をどう感じていますか?
Ado 本当に多種多様で十人十色、アーティストによって色んなカラーを自由に表現できるという魅力をボカロ音楽から感じます。私がボカロ音楽を聴き始めた頃、まだ世間にボカロが浸透していない状況だったのですが、今ではポップミュージックにボカロ音楽が溶け込んだと思いますし、ネットから生まれる音楽が市民権を得つつある状況だと感じるので、本来、ボカロ音楽が持ち合わせていた独特で魅力的な要素が多くの音楽ファンを魅了したということだと思います。この変化は自分にとってすごく嬉しいことです。
――ありがとうございます。最後に、6月からは全国ツアー2023「マーズ」がスタートしますが、今年をどんな一年にしていきたいと思いますか?
Ado ツアーに関しては開催時期が夏ですし、来てくださる方にとって、忘れられない燃え上がる夏の思い出となるように気合いを入れて臨みたいと思います。2023年という意味では、昨年が自分にとって新たなことにチャレンジしようという一年だったこともあって、今年はより自分自身が成長していければいいなと思っています。
Information①
Ado × ピノキオピーの強⼒タッグ!
約4カ月ぶりの新曲
「アタシは問題作」
2.20 (Mon) Digital Release
2022年10⽉の「⾏⽅知れず」配信以降、約4カ⽉ぶりの新曲が2023年2⽉20⽇に配信リリース!詞曲・編曲は「神っぽいな」「魔法少⼥とチョコレゐト」などの楽曲を⼿掛けるボカロP・ピノキオピーが担当。ジャケット/MVのイラストはえいりな刃物 が担当。ファン投票にて“Adoに歌って欲しい曲”として「神っぽいな」が選ばれるなど、ファン待望の強⼒タッグが織りなす中毒性の⾼い楽曲に仕上がっている。
Information②
6月からスタート!
全国ツアー2023「マーズ」
6.29(⽊)埼⽟ ⼤宮ソニックシティ⼤ホール
7.1(⼟)宮城 東京エレクトロンホール宮城(宮城県⺠会館)
7.8(⼟)⾹川 レクザムホール(⾹川県県⺠ホール)
7.16(⽇)福岡 福岡サンパレスホテル&ホール
7.22(⼟)新潟 新潟県⺠会館 ⼤ホール
7.30(⽇)愛知 名古屋国際会議場 センチュリーホール
8.12(⼟)北海道 札幌⽂化芸術劇場hitaru
8.20(⽇)広島 広島⽂化学園HBGホール
8.29(⽕)東京 ⽇本武道館
8.30(⽔)東京 ⽇本武道館
9.9(⼟)⼤阪 ⼤阪城ホール
9.10(⽇)⼤阪 ⼤阪城ホール
9.16(⼟)神奈川 横浜アリーナ
9.17(⽇)神奈川 横浜アリーナ
Profile/Ado(アド)
2002年10月24日生まれの歌い手。2020年に「うっせぇわ」でメジャーデビューを果たし社会現象を巻き起こし、 2022年1月に発売した1stアルバム『狂言』もロングヒット中。 8月にさいたまスーパーアリーナで開催した2ndライブはチケット即完売。 同月に公開した映画『ONE PIECE FILM RED』では主題歌/劇中歌を含む全7曲の歌唱を担当し、 CDアルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』もランキングを席巻しロングヒット中。Billboard JAPAN Artist 100アーティストランキング年間1位を獲得。 2023年6月からは自身最大規模となる初の全国ホール&アリーナツアー『マーズ』の開催も決定している。
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インタビュー&文=田島 諒
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この記事を書いた人
DMRT inc.所属。数々のインディペンデントカルチャーメディアを経て2016年に独立。ロック全般をベースとする音楽コンテンツの制作、メディアディレクション、地域振興系メディアのエディットなどを行う。日夜チャリで渋谷を爆走する漆黒のCITY BOYとして、365日スコッチを手放さない。
Instagram:@ryotajima_dmrt
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