MARIMO。は“あるあるネタ”で地元の有名人に。“三面性”のキャラクターを演じていた学生時代【MARIMO。のVAZらせ講座（前編）】

大手YouTuber事務所であるVAZとの連載インタビュー企画【VAZによるVAZらせ講座】。昨年、思い切ったダイエット企画を敢行して見事に減量に成功し、話題をさらったMARIMO。（マリモ。）さん。特有のコミカルな動画配信はYouTube配信以前からもファンを多く獲得してきたそうです。まずはYouTubeを始めるに至るまでの、道のりについて伺っていきます。

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そんなに明るくない本当の自分と
みんなが求めるお調子者の自分

――実際に今回お会いしてみてYouTube上のユーモラスなイメージとまったく変わらない印象ですが、小さい頃から明るい性格だったんですか？

MARIMO。　もう絵に描いたようなお調子者でしたね（笑）。ただ、意識的にお調子者を演じていた部分があったかもしれません。「こういうのがみんな好きなんだろう」って、周りが僕自身に求めるキャラクターを叶えてあげるっていうか。実際はそんな明るいわけじゃないんすよ、僕。小さい頃から読書が好きで、正直休み時間とか、本当は本を読んでいたかったタイプ。だけど友達が誘ってくれるからサッカーをしちゃう、みたいな。だからそのシワ寄せで授業中に本を読んじゃって怒られたり。クラスメイトからはお調子者だと思われていたと思いますが、そんなこともあって先生からは“本の虫”だと思われていたみたいです。

――「みんなが求めるキャラを演じる」というのは小学生にしてはかなり早熟な考え方のように思いますが、そう考えるようになったきっかけはあったんですか？

MARIMO。　今のご時世だと違うかもしれないんですが、僕の頃って給食の時間に隣とか後ろの人と机をくっつけて班みたいにしていたんですね、5〜6人くらいの。確か小学校2年生の頃だったかな、当時好きだった子が、そのときに目の前だったんです。本当にわかりやすいんですが、その子を笑わせて牛乳を吹かせることがすごく楽しくて（笑）。イメージとしては友達やクラスメイトもその延長って感じですかね。

――演じることに対して嫌になったりストレスを感じたことはありませんか？

MARIMO。　「みんなのイメージの自分だったら？」って、ただただ考えて行動してたんですけど、やっぱり小学生なので気分じゃないことだってあったりするわけで。それでも合わせないといけないって、無理をしていた部分はありましたね。でも嫌じゃなかった。どちらかというとそれをしてきたおかげで友達がかなり幅広くできましたから。イケている人たちにも、あまり目立たない静かな人たちにも、どちらにも合わせることができたんですよね。

――中学、そして高校へと進学していきますが、環境が変わったことで変化はありましたか？

MARIMO。　中学校に至っては小学校のときよりもさらに顕著になりましたね（笑）。同じ小学校から進学する人が多かったので、自分のホームのまま。周りが極端になっていったので、それこそ超ヤンキーから秀才まで幅広く。しかも今でも仲がいいんです。高校はかなり田舎のところに進学したので、打って変わってアウェイでしたね。そこでできた群れの意識みたいなものが強くて、「あ、ちょっとやばいかも」って最初は思いましたね。今までも周りの反応を意識して行動していましたけど、なんだろう……「空気を読む」っていう意識がより強くなりましたね。

――ちょうど活動をスタートした頃ですよね？

MARIMO。　そうですね、中学の終わり頃に“MARIMO。”という名前で活動を始めたので、高校に入る頃には地元の有名人みたいになっていました。活動して本当にすぐに注目されることになって、知られるようになりましたね。小中学校の頃は「あまり明るくない自分」と「みんなに求められる面白い自分」の二面性で、ただどちらも“自分”であることには変わりはなかったんですが、高校になってみんながMARIMO。を知るようになったから、さらに3つ目の人格というか「MARIMO。だったら」という行動の選択肢が増えたんです。自分でやり始めたことなんですけどね（笑）。高校は山の上にあったので、3年生の時には毎日タクシーで登校したりして、友達からは「さすがだな」なんて言われたり。そんな配信者MARIMO。としてもみんなの期待に応えたい、がっかりさせたくないなと思ってましたね。

Vinerとして瞬く間に有名に
東京への強い憧れで上京を決意

――配信活動を始めたきっかけについて改めて教えてください。

MARIMO。　中学3年って受験シーズンじゃないですか。だけど自分は絶対受かる高校に進もうと思っていたのでヒマだったんですよね。それでVine（ヴァイン※すでにサービスが終了しているショート形式の動画共有サービス）を始めたんです。本当に、何の気なしに。YouTubeもやってみたかったんですけど、当時ケータイしか持っていなくて。当時はYouTube始めるならPCはマストだったんで。それで最初に投稿した動画は普通の自己紹介。誰も見てくれるわけがないんですよ、面白くないから（笑）。でも自分自身の覚悟というか、「よし、始めたぞ」ってスタートを切ったことがすごく大事でした。

――Vineを始めて早々にバズったわけですね？

MARIMO。　最初こそ自分だけで楽しんでいる“遊びツール”だったんですけど。周りの友達が観てくれて、せいぜい20再生とかそんな程度で。それで、友達の間とかでやっていた“厨二（ちゅうに）病あるある”っていう動画を投稿したんです。それが、大関れいかさん（※当時Vineで最もフォロワーが多かった配信者）が「面白い！」と言ってくれたことで一気にバズって。ちょうど友達の家に泊まりに行っているときで、ふとVineを開いたら通知が99（最大）になっていて本当にびっくりしましたね。それからも“厨二病あるある”を続けていたら、ある日メディアが“おもしろ高校生”って拾ってくれたんです。その影響で一気に知名度が上がりました。最初にバズったときは現実味がなかったんです、正直。ただ、そのメディアの一件で友達が部活の仲間を引き連れて「神が来たぞー！」って盛り上がっていて、それで現実的になりました。

――高校生で一躍有名になったと。そうなると少し浮き足だったりもするように思います。

MARIMO。　周囲の見方が変わったのは大きかったですね。ただ、一番近くにいる友人たちが変わらず接してくれていて。それもあって現実離れすることなく、いい感じにバランスが取れていたように思いますね。それ以上に先輩や先生にまで活動を知られてしまってクラスにまで興味本位で見に来たりするのが怖くて。今考えるとクラスに人だかりができるってめっちゃかっこいいっすけど（笑）。高校時代はあまり活動に対していいイメージはなくて、電車で寝ているのに窓を叩かれて「MARIMO。だ！」なんて言われたり、先生からは高校でイレギュラーな存在として異質な目を向けられたり……。とにかくこう、調子に乗るようなことはなかったですね。あ、でもちょうどその頃初めての彼女ができたんでそういった意味では浮き足立っていたかも（笑）。

――高校卒業後、上京してVAZに在籍することになりますが、その経緯も教えてください。

MARIMO。　Vineでバズってから徐々にViner（ヴァイナー※Vine配信者のこと）として案件やイベントなどで東京に行く機会が増えたんです。高校が田舎ですから、東京の都会な感じだったり華やかさみたいなものが強烈に刺激的で。「卒業したら上京しよう」って当然のように決めていました。それで何度か東京に行って仕事をするうちにクリエイターの友達も増えてきて。その友達からVAZができることを教えてもらったんです。他の事務所からも声をかけてもらえたんですが、やっぱり当時かっこいいYouTuberがいっぱいいましたし、友達もVAZに入るってことで。あとはVinerとしてVAZに所属することが単純にかっこいいなって思いましたね。親からは「怪しいぞ」って心配されましたけど（笑）、いい決断だったかなって振り返っても思います。

（後編に続く）

Profile／MARIMO。（マリモ。）
1999年4月27日生まれ、富山県出身。“あるあるネタ”で多くの共感を得る、おもしろクリエイター。2023年2月現在、YouTubeチャンネル登録者数は34万人以上。約2年間に及ぶダイエットにより約75kgの減量に成功し話題に。配信活動のほか、テレビやイベントにも活躍の場を広げている。最近では音楽活動も行なっており、セカンドシングル『仮恋』が好評配信中。
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写真＝大村聡志
インタビュー＆文＝小林大甫

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