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連載山谷花純の映画連載「All is True」

【山谷花純×のん対談】のんの告白「初共演の時から花純ちゃんの顔が本当に好きだった(笑)」

執筆者: ライター・エディター/佐藤玲美

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演技派若手女優・山谷花純さんの映画連載『ALL IS TRUE』。「対談編」の記念すべき第一回のゲストに来てくれたのは、女優ののんさん。のんさんとは映画『告白』(2010年公開)、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(2013年放送)に続き、現在公開中の映画『天間荘の三姉妹』でも共演。10代の頃から女優として同じ作品で切磋琢磨(せっさたくま)しつつ、それぞれの道を歩んできたその軌跡と演技にかける想い、そしてそれぞれの好きな映画作品についてなど、二人にとっての“映画”を語り尽くしました!

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『あまちゃん』での共演から
時を経て再会した2人の思い出

山谷花純(以下、山谷) のんちゃん、連載の一回目のゲストに来てくれてありがとう~! 連載を持つのも対談をするのも、人生初の体験なのですごく緊張しています(笑)。初めてのんちゃんに会ったのは映画『告白』のときだよね。あのとき、のんちゃんは高校生だった?

のん うん!私は高1だった。

山谷 私は中1だったんだよね。

のん 同い年くらいの子どもたちが多く集まっていたから、自分も含めてみんな騒がしかったよね。大人の人に「うるさい!」って怒られて、「静かに」って撮影現場に張り紙までされたけど、黙れなくて(笑)。

山谷 懐かしい(笑)。それから7年経ってドラマ『あまちゃん』でまた一緒になったんだよね。それからまた時を経て、『天間荘の三姉妹』で再会するっていうね。いい具合に年数を空けて一緒に作品に参加できるっていうのがいい感じ。お互い、ターニングポイントになるタイミングで会えているなって感じてる。

のん 私は『告白』で初めて花純ちゃんに会ったときに、すごくエキゾチックでミステリアスな人がいるなって思ったの。

山谷 嬉しい(笑)。最後のほうの撮影でみんなが血だらけにされるシーンのときに、泊まりのロケがあったじゃない? そのときにのんちゃんと同じ部屋に泊まったことが印象に残っていて。「隣のお布団で一緒に寝よう」ってのんちゃんが誘ってくれたことを今でもずっと覚えてるの。

のん あの頃から、花純ちゃんの顔、本当に好きだったんだもん(笑)。

山谷 時を経て『天間荘の三姉妹』で再会できて。

のん すごく嬉しかった。ちゃんと劇中で2人が絡むシーンがあるのも今回が初めてだったよね。『告白』のときはみんなで仲良くしていたので、今回2人だけでお芝居をするのも色々話せたのも嬉しかった。やっぱり時が経って、お互い成長してからまた会えるのって楽しいよね。

山谷 再会したとき、どんな感じだった?

のん 勝手に同志感があったよね。

山谷 そうだよね。お互いお芝居を始めた10代の頃から知っていて。ただ、会うたびに間が空きすぎていて「(前の作品のときは)どのくらいの距離感で接してたっけ?」ってわからなくなっちゃう(笑)。のんちゃん、(私のこと)覚えてるかな?とか思っちゃう。

のん 覚えてるよ!だってすごく顔が好きだったもん(笑)。最初の頃からいい子だなって感じがにじみ出ていたし。花純ちゃんは人としてバランスのいい人だと思う。

山谷 何度か一緒になっているのに、今までは連絡先を交換してこなくて。今回、初めてLINEを交換したんだよね。お互い、連絡先とか聞くのが得意ではないタイプじゃない?(笑)

のん 私は本当に聞けない(笑)。今回は本当に勇気を出して聞いたの。

山谷 そのときののんちゃん、「(『天間荘の三姉妹』の役柄の小川)たまえっぽいな」って思った。役柄でも寡黙なのが私の演じた優那(ゆうな)で、たまえももちろん心に傷を抱えているんだけど、猪突猛進(ちょとつもうしん)なところとかもあって。そういう役の上での関係性も連絡先交換につながったのかなって思った。

のん “たまえハイ”で(笑)。その勢いでそのまま聞けた感じがする。

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『天間荘の三姉妹』で
互いに見せた女優魂

山谷 たまえという役はどうだった?

のん 優那の存在があったから、たまえはがんばれた気がする。つまりは花純ちゃんのおかげでもあって。花純ちゃんと演技するのが楽しかったんだよね。あと、お守りをくれたんだよね?あのお守りのおかげでイルカのショーも頑張れた。元気づけられたよ!

山谷 大人になると、友だちの始め方がわからなくて。自分は友だちだと思っているけど相手はもしかしたら思っていないんじゃないかなって心配になって。それでワンクッション挟むようになってきちゃったんだけど、のんちゃんはそれを飛び越えて来てくれたっていうのが嬉しくて。私はお守りを渡すことで気持ちを伝えたという感じだったんだよね。

編集部 お守りは撮影前から用意されていたんですか?

山谷 のんちゃんのイルカショーのシーンを宮城と伊豆で撮影していたんだよね。それで、私がイルカを調教するシーンはないんだけど、なんか一緒にやりたいと思って買いに行ったんです。それで一緒にやっている気分になれたらいいなという思いと、友だちになってくださいっていう思いを込めて渡しました。

編集部 イルカショーのシーンの撮影は大変だったんですか?

のん 練習する時間も短いし、一つ一つの技もかなり難しいんです。イルカのお腹の上に乗る技だったり、ヒレに足をかけてイルカがジャンプするのと同時に人もジャンプしたりとか。空中で体重移動をしなければいけないので、体幹がないとできなかったりして。

山谷 他のシーンの撮影の合間に練習していて、すごくヘロヘロになって戻ってくる姿をよく見かけてたよ。

のん 水の中ってすごくエネルギーを消耗(しょうもう)するから、体力を奪われるの。撮影でも、現場では一番いいものを目指しているから、成功しても「もう一回やってみようか」みたいなのが続いて(笑)。みんないい作品を作ろうと映像に集中しているのでその気持ちもわかるのですが、とにかく大変でした。

山谷 あとは、今回の作品ではそうそうたる先輩方とご一緒したんだよね。

のん 緊張したね! (撮影が)始まる前は楽しみだったんだけど、いざ現場に立つと緊張したね。リハをやっている最中に『(先輩方は)そういう感じで演じられるんだ』っていうのを目の当たりにしたよね。

山谷 まさに個性のぶつかり合いだったよね。みんな違って、みんないいっていう状況の中で、真ん中に立っているのんちゃんはどんな気持ちでいるんだろうって。

のん 段取りをつけている最中は、すごく緊張してるんだけど、カメラが回るとまた段取りのときよりさらにプラスの演技が乗っかってくるんだよね。それと対峙(たいじ)できたのがもう楽しくて興奮してた。

山谷 財前様役の三田(佳子)さんとのシーンは会話のキャッチボールがすごく楽しそうだなって思った。

のん 本当に大・大御所の方だからね。なんだか、千鳥(ちどり)さんみたいになっちゃったけど(笑)、大御所の上だから。でも三田さんの演じられた財前様って、一見つっけんどんで怖いイメージなんだけど、チャーミングな一面もあって。演じている中で、財前様のこういう部分にたまえが惹かれていくんだなっていうのがその場でリアルに実感できて、そういう気持ちに刺激されながら、たまえとして心が沸き立つ演技ができたから、すごい体験だった。

山谷 なんか、三田さんの演技ってやんわり誘導してくれる感覚なんだよね。お芝居も会話も。本当に独特な雰囲気で、スターだなって思った。

のん セリフの一音目からなんか気持ちが入っている感じなんだよね。

山谷 この作品は、三田さんのようなベテランの方から子供まで全世代が出演していて。いろんな世代がいる現場ってなかなかないからすごく不思議な感覚だった。私はのんちゃんと三田さんとのお芝居がメインで、天間荘のご家族との絡みもあまりなかったんだよね。だから私の『天間荘』はやっぱりのんちゃんであり、たまえだったなって思うよ。『天間荘』の中でのんちゃんが一番好きなシーンは?。

のん 優那のシーンは物語のカギとなる部分だから好きだな。“瓦礫(がれき)注意”って書いてあるところで風に吹かれているところとかね。

山谷 このあいだ、大阪の舞台挨拶のトークでも言ってたよね。それで(のんちゃんと)同じシーンが好きなんだって思って、ちょっとキュンとしちゃった。それでこの連載のゲストとの対談では、共通のテーマのドレスコードを衣装にしたいなって思っていて。それで、今回は、あのとき(共演したシーン)に一緒に見た「夕日」をテーマに衣装をお願いしたの。(真っ赤なニットアップの)のんちゃんは、情熱的な赤い夕日だね。

のん 夕日を煮詰めて熟成していった色。あのシーンを何度も思い返した、その反芻(はんすう)した数を色に込めました。

山谷 私は海に沈んでいく夕日と、あのときに見た伊豆の青空に沈む夕日をイメージしてみました。夕日が海に反射して水面でゆらゆら揺れている雰囲気。すごく眩(まぶ)しかったよね。あのシーンはテストも重ねずにすぐに本番をやったじゃない? 「セリフも入っているけど、大丈夫かな?」みたいな気持ちとともに、なんかあの日の夕日を思い出すんだよね。

のん 花純ちゃんのシーンで好きなのはラストで涙を流しているシーン。三ツ瀬で色々あって現世に戻って、たまえと関係性を育(はぐく)んで。その上ですごく美しい涙を流しているんだと思ったら、そこに優那の人間味がぎゅって詰まっていると思った。

山谷 たまえはね、家族でケンカしているシーンとかがよかったな。あとは、朝食のシーン。みんなが食べているシーンは誰ひとり欠けても作れない空気感で、素敵な家族だなって思ったよ。この作品は、ご飯を食べているシーンがすごくよくて。ご飯を運んでいたり、美味しそうに食べていたりしているたまえがイキイキしてた。何か食べることって、命に繋がっていくんだなっていうことを感じたりしたよ。

のん 私ね、忘れられないのがオールアップの日に車に乗って帰ったんだけど、遠巻きに花純ちゃんがいるのが見えて、車の中から窓を開けて『花純ちゃーん』て手を振ってたの。そしたら一緒にいた花純ちゃんのマネージャーさんが『不審者がいる』って思って、困った顔をしていたような気がしていて(笑)。

山谷 いや、すぐにわかったよ! 500メートルくらい離れていたかな? 最初、選挙カーかと思ったの(笑)。撮影していた小樽(おたる)がちょうど選挙中で、選挙カーの演説で何度か撮影が中断したりしてたんだよね。そしたらのんちゃんだったっていう(笑)。それもすごく嬉しかったし、また絶対会いたいと思ったし、この撮影が終わっても続く関係でいたいなって思った。

のん 嬉しい! 続くよ。お守りも目の届くところに飾ってあるから!

山谷 のんちゃんにもらった和紙の巾着はもったいなくて使えていないんだよね(笑)。

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“インタビュアー山谷”がのんの
知られざるプライベートに
斬り込む!

山谷 のんちゃんって、プライベートが見えないイメージなんだけど、あえて隠してるの?

のん 隠してないんだけどね。私は「のん」になる前は、(イラスト)を書いたり(音楽や映画を)作ったりしていなかったのもあったし、自分のことを話すのも苦手だった。あとは、作品や役のことだけ伝わればいいって思っていた部分もあったから、(自分のことは)話さなくていいっていう気持ちもあって。

山谷 話し始めるとどこまで見せていいとか、そういうフィルターをどこにかけていいのかわからなくなっちゃったりするのかな?

のん それもあったかも。最近はちょっとずつ話せるようになってきたんだよね。

山谷 10代の頃ののんちゃんはホワホワしているイメージだったから、この間の舞台挨拶ではたくましくなったなーって思ったし、かっこよかった。

のん 『Ribbon』という作品を(監督として)撮ったんだけど、そのときに自分のメッセージをちゃんと伝えなきゃいけないんだなって思ったの。そのときに監督としてかっこつけていろいろやったので、最近は伝える力が育まれていると思う(笑)。

山谷 10代で出会ってから、お互い会わなかった時間があるじゃない? その過程で、他にも成長したなって感じることって何かある?

のん 仕事だと、監督が難しい顔をしてたり、OKでも弱い声のときとかあるじゃない? あれって「私の演技が意図と違っていたのかな?それなら言ってくれればもう一回やるのに」みたいに思ってたの、昔はね。でも、自分が監督をしてみて、別にそれって妥協しているわけではないんだってことがわかったの。

山谷 そうなんだ?

のん 監督の優先順位は映像が一番で、その場面に対してどう撮って欲しいとか、どんな光が最適なのかとか、常に考えているから、その画面の中にいる役者が自分の出す「OK」に対してどう思っているかなんて考えてないんだよね。撮れた映像に集中しているっていうことがわかったら、役を演じるときも監督の顔色をうかがうことがなくなったしすごく楽になった。

山谷 監督って、役者とは違う目線を持っているってことだよね。

のん そう、違う生き物。常に頭をフル回転させているから、アドレナリンが出っぱなしの状態になるの。現場で眠くなんてならなくて、まさに“監督ハイ”な状態。自分が眠くならないから、他のみんなが疲れていても、「なんでみんな眠そうなの?」みたいな感じ(笑)。

山谷 確かに映画は特に、どの作品でも監督ってめっちゃ元気だよね(笑)。

のん 監督側を体験して役者に戻ったときに、そこが一番ラクになった部分だと思う。

山谷 私は役者というより、人間性の部分かな。ずっと感情の赴(おもむ)くままに、自分の思うことを躊躇(ちゅうちょ)なく言ってきたけど、いろんな人に会って歳を重ねて、言葉を発する前に一度冷静になれるようになったことが成長かなって思う。

のん そんなに花純ちゃんってズバズバ言ってたの?

山谷 言葉をストレートに言いすぎるから誤解されることも多かったと思う。だから、のんちゃんとこのタイミングで再会できてよかった。その前だったら、めちゃくちゃ仲が悪くなっていたかもしれない(笑)。

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お互いに見て欲しい映画
お互いの作品で好きな映画は……

山谷 のんちゃんは普段、映画を観たりする?

のん 観るよ、暇なときに。コロナ禍でなかなか行けなかったけど、映画館も好き。ポップコーンを食べながら映画を観るのもいいよね。

山谷 好きな映画のジャンルってあるの? なんか、のんちゃんのこと意外と全然知らないのよ。好きな食べ物とかも知らないし。撮影中ってずっと一緒にいるようであまりお互いについて話す機会はないんだよね。

この記事を書いた人

東京在住のライター・エディター。『smart』『sweet』『steady.』『InRed』など、ウィメンズ、メンズを問わず様々なファッション誌やファッション関連のwebでライター&編集者として活動中。写真集やスタイルブック、料理本、恋愛心理、インテリア関連、メンタル&ヘルスケアなどの本の編集にも携わる。独身。ネコ好き。得意ジャンルはファッション、ビューティー、インテリア、サブカル、音楽、ペット、料理、お酒、カフェ、旅、暮らし、雑貨など。

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