山谷花純「人生で一番自信のある姿です」30歳を前に挑んだ2nd写真集の舞台裏
執筆者: ライター/黒川すい
写真集制作=自分の人生にたくさん向き合う時間
──改めて、タイトルに込められた想いについても伺いたいです。
山谷 以前、『遠距離現在』という写真展を観に行かせていただいたことがあったんですけど、すごくそのタイトルが記憶に残っていたんです。どこか切ない気持ちになるし、温かい気持ちになる懐かしさもあって、すごく素敵な言葉だなって思って。
今回、前乗り含め3泊4日の撮影を行って、小豆島からの帰路の新幹線に乗っているとき、片道6時間ぐらいかかる小豆島との距離感だったり、18年間続けてきた自分の仕事を振り返る距離感だったりが、この言葉(『遠距離現在』)にすごく似ているなと感じました。振り返りきった現在、私は東京の自宅に帰ろうとしている……その描写をきっかけに、『遠距離、現在此。』というタイトルを提案させていただきました。
──なるほど、個人的に“現在此”の“此”の字が、なんだか素敵だなと感じました。
山谷 “此(ここ)”っていう文字が、私自身すごく好きなんです。あえて当て字のような形で、この漢字を付けさせてもらいました。
──ちなみに『遠距離、現在此。』以外の候補はあったんでしょうか?
山谷 もともとKADOKAWAさん側から英語のタイトルを提案していただいていました。そのタイトルも撮影前、すごくぴったりだなと思って、そのままタイトルにしようとしていたくらいで。だけど小豆島での写真を振り返ったときに、英語より日本の文字、特に漢字のほうがぴったりくる街だったなと感じたんです。そして結果的に、今回のタイトルに落ち着きました。

──気持ちや制作の面で、前作から変化を感じたことはありましたか?魅せ方の違いなどを含め、伺いたいです。
山谷 前作のときはまだ18歳だったこともあって、全部大人のみなさんがレールを引いてくださっていました。私はそこに乗って完成を待つっていう受け身側の立ち位置だったんです。だけど、今回は29という歳にもなったので、やっぱり制作側にも関わりたいなと思って。
写真に対しては、客観的に見た今の私の姿や表情に興味があったので、 “こういうものを撮りたい”という要望はあえて出さなかったのですが、撮影後は裏の部分にものすごく携わらせていただきました。例えば、写真のセレクトをしたり、インタビューの文字起こしの言葉を直したり……そんな感じでしたね。
──ロケ地選びに関しても、提案などされましたか?
山谷 はい、それこそ海外も提案させていただきました。だけど、日本に焦点を当ててみたとき、ずっと行きたくても行けていなかった場所ってどこだろう?と振り返ってみると、小学校6年生のときに初めて親元から離れて地方に一人で行った小豆島だなって気づいて。
当時、昼ドラの『ラブレター』という作品のために(小豆島に)行かせていただいたんですけど、このときが初めてセリフをいただいた役だったんです。だから今、17年ぶりに帰ったらどんな感情が芽生えるんだろう?とすごく興味を持っていて、この場所を選びました。ちなみに、エンジェルロードと二十四の瞳映画村は、私から提案させていただいたスポットです。
──写真集の制作にあたって、『ラブレター』を観直すことはされましたか?
山谷 自分が出演している作品は観るタイプではあるんですけど、あまりにも昔すぎるので、恥ずかしくて観られてないですね。たまにベロベロに酔っ払ったときは観るんですけど……(笑)。
──(笑)。
山谷 そうやって観返してみると、お芝居の“お”の字も知らないような、無邪気な感覚を思い出すんですが、やっぱり今じゃもう真似できないです。あの当時のお芝居は、上手い下手じゃない。ただそこにいて一生懸命取り組んでいる姿なんですよね。やっぱりそういう姿は、自分自身の芝居だとしても感動しちゃいます。
──ドラマのお話にも触れましたが、それも踏まえて、山谷さんにとって小豆島はどのような場所ですか?
山谷 “出発地点”です。このドラマの翌年に、寮に住むようになってお芝居の環境が変わったことをはじめ、ここからすごく歯車が動き始めた実感が、自分の中にあります。
──今のお話を伺っていると、小豆島での撮影に対する感慨深さが一層増しますね。
山谷 今回の撮影期間中は、自分の人生についてもたくさん向き合う時間にしたかったんです。いま目の前で起きていることにすごく一生懸命になっていると、過去を振り返る機会ってなかなか作れないじゃないですか。そういう機会ができたこともすごく良かったなって、改めて思います。

──ドラマ当時のご自身にメッセージを送るとするなら、いま伝えたいことはありますか?
山谷 「ようこそ芸能界へ」(笑)。もともとテレビの仕組みを知りたくてこの業界に入ったので、お芝居がしたかったわけじゃないんですよ。お仕事を始めてから、お芝居と出会って好きになった……という経緯があって、今ここまで続けてきているので、当時の自分には“これからもっと大変なことあるから頑張れよ”としか言いようがないですね。
この記事を書いた人
アパレル業界に勤めた後、フリーライターに。ファッションはもちろん、グルメ、エンタメ、お出かけ情報など幅広いジャンルの執筆経験あり。ウェブを中心に活動中。趣味はアートトイの収集や喫茶店巡り、読書。
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