村上隆の「お花」が韓国で咲き誇る!「Seoul, Kawaii Summer Vacation」で解き明かすカワイイの裏側
執筆者: smart編集部

世界中で大人気の村上隆さんの「お花」が、真夏の韓国・ソウルで咲き誇った。今月は、そのタイトルも可愛い最新の個展〈Seoul, Kawaii Summer Vacation〉を紹介する。
【村上隆】率いるカイカイキキ所属・AYA TAKANOがロサンゼルスで個展開催…無意識と宇宙を描く最新作に注目
村上隆の源流としての“Flower”が韓国でも大注目

村上隆の個展「Seoul, Kawaii Summer Vacation」が、韓国ソウル市龍山区のアモーレパシフィック本社「APMAキャビネット」で2025年10月11日まで開催された。今回の新作ペインティングとスカルプチュアの展覧会は韓国内では2023年に釜山美術館で開催された回顧展「Murakami Zombie」以来となり、村上のソウルでの個展としては2013年にサムスン美術館で開催された「Takashi in Superflat Wonderland」以来ということで注目されている。
というのも韓国でも村上隆の人気は大きく、今夏もソウルでは狎鴎亭、島山公園で村上隆とコラボレーションしたLouis Vuittonのポップアップショップと、「村上隆 x CASETiFY:KAIKAI AND KIKI」コレクション&カフェが話題を呼びたくさんの動員があったばかりだからだ。特にCASETiFYはiPhoneケースをはじめとして“カワイイ”を全面に打ち出したデザインで、そのテイストはテーマを含め、今回の展覧会へとつながっているとも言える。
さて、展示内容を見てみよう。「カワイイ」がテーマということで、村上&カイカイキキのアイコンともなっているモチーフである「Flower」を中心に構成されている。2Dキャラの「Flower」だが、その源流は日本画にルーツがあることは明らかだ。日本画を徹底的に学んだ村上は、そこからのインスピレーションをもとにしてアニメ、漫画などのテイストを融合させた「Superflat」を提唱、以後この概念はすべての村上作品を貫くバックボーンとなる。
また同時に「Flower」は1960~70年代にアメリカの若者を中心に起きたフラワームーブメント、いわゆるヒッピームーブメントのアイコンでもあり「Flower」は平和と愛の象徴でもあった。このスピリットは多くのアーティストに現代までも支持され続けていて、たとえばその広がりはバンクシーの作品などにも見ることができる。展覧会では「Flower」をモチーフとしてさまざまな作品が展示されているが、金箔地に満開のフラワーという「Summer Vacation Flowers under the Golden Sky」、尾形光琳を再解釈した「Tachiaoi-zu」などは前述した村上の日本画への深い造詣を表した作品だ。「Flower」の持つカワイく無邪気な子どもっぽさは、そのまま戦後日本人の姿へとオーバーラップしている。そしてそれはこれもまた村上の提唱している、大人になれない日本人「リトルボーイ」へともリンクしていくのだ。
そういえばここ最近カイカイキキの所属アーティストKasing Lungの「ラブブ」が大変な人気となっているが、そのブームの火付けとなったのは韓国のアーティストBLACKPINKである。BLACKPINKと村上隆のコラボは本誌でも以前に伝えたとおりだ。こういったカタチで日本と韓国、そして中国などのアジアが互いに刺激し合い新しいカルチャーを発信していく流れも面白い。
関連する人気記事をチェック!
Photo_JEON BYUNG CHEOL(STILL), REIKO MITAKE(SNAP)
Text_HISANORI NUKADA
©Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
※この記事は2025年smart11月号に掲載した記事を再編集したもので、記載した情報もその時点のものです。
この記事の画像一覧
この記事を書いた人
ファッション、カルチャー、ライフスタイルなど、今旬なモノ、コトを厳選してピックアップ。モノ・コトに加えて、“時代の顔”ともいうべき人物をファッションモデルに起用するのはもちろん、インタビューでその人となりに迫るなど、smartを読めば“今”がわかります!
Instagram:@smart_tkj
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
この記事をシェアする
この記事のタグ
関連記事





















