『あんぱん』ヒロインの同期役・鳴海唯が語る、“アンパンマンになりたい”と願った日
執筆者: ライター/石野志帆
喪失の先にある“生き抜く力”『高知新報』パートで描かれるヒロインたちの再出発
――朝ドラ『あんぱん』の第二次世界大戦のパートでは、視聴者としても愛着のある人物たちの喪失が描かれてきたなか、小田琴子が登場する第14週からの新しい風に期待が高まります。
鳴海 『高知新報』のパートに入る前に、制作のみなさんから「ここは戦争が明けてから最初のパートなので、自由と活気に溢れた明るいパートにしたいです」という思いを最初に話していただいたのが、すごく印象に残っています。終戦後、言論の自由をはじめとして世の中に大きな変化があり、みんなが「力強く生き抜いてやるんだ」という思いを抱えて生きている時代だと思います。一方で、ただ明るいパートにするのではなくて、戦争があったからこそのバックボーンみたいなものがあり、『高知新報』のパートがあるんだということを、しっかり見せていければいいのかなと思って演じました。
――戦後すぐに女性が前に出ていくというのは、時代を描くうえですごく大事な役割になってくると思います。小田琴子を演じるうえで大切にしたことを教えてください。
鳴海 “あの時代を生き抜いた女性である”という説得力を大切にしたいと思いました。琴子は、一見明るいキャラクターには見えるんですが、私はただの明るい女性にしたくはないと思っていて。「なぜ彼女が明るく振る舞っているんだろう」という、その背景にあるものを丁寧に表現できれば、もっと人間味のあるキャラクターになるんじゃないかなと思ったんです。のぶと嵩に対して、すごく愛のあるおせっかいをするんですが、「それはなぜなんだろう」と脚本を読みながら考えていました。これは本当に勝手に自分の想像なんですけど、「もしかしたら戦争で、琴子も大切な人を亡くした経験があるのかもしれないな」と思うと、彼女のおせっかいがすごく自然に感じられたんです。戦後を2人が生きていて、そして思いやっているという事実がどれだけ尊いことなのかというのを、もしかしたら琴子は誰よりも理解しているのかもしれないな、と。そんなことを感じながらやっていければ、より魅力的なキャラクターになるのかなと思って演じました。
――最後に、毎日楽しみにしている視聴者へのメッセージをお願いします。
鳴海 第14週からの『高知新報』のパートでは、ヒロイン・のぶにとっての正義が逆転した後の話になります。ヒロインのこれから始まる新たな葛藤や、のぶと崇2人の恋の行方に注目して観ていただければいいなと思います。そして私が演じる小田琴子に関しては、2人の関係性を大きく変える事になるので、ぜひ楽しんで観ていただけたらなと思っています。
(了)
Profile/鳴海 唯(なるみ・ゆい)
1998年5月16日生まれ、兵庫県出身。趣味・特技は洋服・和菓子。NHK連続テレビ小説『あんぱん』に出演中。
Instagram:@narumi_05
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撮影=田中利幸
ヘアメイク=丸林彩花
スタイリスト=中井彩乃
インタビュー&文=石野志帆
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この記事を書いた人
TV局ディレクターや心理カウンセラーを経て、心を動かす発見を伝えるライター。趣味はリアリティーショー鑑賞や食べ歩き。海外在住経験から、はじめて食べる異国料理を口にすることが喜び。ソロ活好きが高じて、居合わせた人たちの雑談から社会のトレンドをキャッチしている。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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