【SNSで最もバズるトランぺッター】Z世代の音楽家・寺久保伶矢は「音楽への愛を叫び続ける」ジャズ内外の偏見を超えた1stアルバム語る8月30日、表参道WALL&WALLでリリースライブ開催
執筆者: 音楽家・記者/小池直也
Instagramで7万人以上のフォロワーを持つ音楽家/トランぺット奏者・寺久保伶矢が、1stアルバム『Reiya The P.A.V.E.』をリリースした。寺久保は、100年以上の歴史を持つジャズをルーツに、今の音楽を鳴らす2001年生まれのZ世代。雨のパレード「Domino」やS.A.R「Cannonball」などに客演参加し、どこかミステリアスな魅力を持つ彼の音楽観に迫る。
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バラバラなジャズの印象
――1stアルバム『Reiya The P.A.V.E.』の完成、おめでとうございます。今の心境を教えてください。
寺久保伶矢(以下、寺久保):長い道のりでした。「僕のやりたいことを敷き詰める(Pavement)」という意味を込めて、同世代のメンバーとReiya The P.A.V.E.というプロジェクトをスタートさせたのが2021年。
当初はフュージョン(ロックとジャズが融合した音楽)っぽい曲が多かったんです。でも、だんだんと自分のやりたいことが変わっていくので、どういう形でリリースするか悩んだ結果、このタイミングでアルバムを発表することになりました。
――音楽性が変わっていったのはなぜ?
寺久保:もともとジャズが好きで、地元・北海道のジャズクラブに入り浸っていました。でも東京に出てきたら、地元から飛び出して音楽に愛と情熱を持った人たちがいろいろなジャンルで集まっていて。そこでダンスミュージックやヒップホップに影響されたんです。
今の僕の音楽は、東京で起きている音楽全部を自分なりに解釈したもの。食べたカルチャーを血肉にしてアウトプットしている感じですね。食べ物だから常に取り込む必要があるし、消化して外に出さないといけません。
――さらさ、NAGAN SERVERを客演に迎えた理由は?
寺久保:さらさは2年前にリリースされた「火をつけて」という曲に僕が参加したのが出会いでした。彼女の声や音楽性に惚れ込んで何度か共演し、今回も参加してもらいました。
NAGAN SERVERは2025年から一緒にスタートしたクルー「N.S.DANCEMBLE」のメンバー。このプロジェクトが始まってから、演奏する機会はもちろん、日々の音楽や意見の共有が増えました。今や僕の音楽形成にかなりの影響を与えてくれてる先輩でもあり、かけがえのない仲間ですね。
――従姉妹で本場アメリカのジャズシーンで活躍しているサックスプレイヤー・寺久保エレナさんの参加も気になります。よく話したりするのですか?
寺久保:僕の一番のルーツといるほどの存在です。1stアルバムにエレナを呼ぶことは、小学生の頃から決めていたので呼びました。9個上で今も仲はいいですよ。昔からよく練習していましたし、今も帰国したら必ず遊びに行きます。古着屋に行ったりとか(笑)。
――アルバム全体は自身で歌っている場面が多いのも特徴だと感じます。
寺久保:「声で言葉を伝える」という、新しい表現方法を見つけたこともポイントのひとつ。ここ数年でチャレンジした、自分の中での新しい表現方法です。
――アルバム全体はジャズというよりも、ハウスなどのクラブミュージックやR&B的なサウンドデザインですね。微妙にジャンルを示しづらい気がします。
寺久保:今は細分化しすぎていて、自分がどのジャンルに適合するのかがわからず悩みました。もちろんルーツはジャズなんですけど、出しているサウンドと表現したい内容は間違いなくジャズじゃない。さらに若い人たちからは「ジャズだから踊れない大人な音楽だ」という目で見られることも多々……(笑)。
そんな価値観の解離が辛いときも正直ありましたね。僕自身はジャンルが何であろうと好きなものは好きです。そもそも音楽が好きな人に聴いてほしいだけだし、最終的に枠を考えないようにしました。
この記事を書いた人
音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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