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連載Back to 90s

伊勢谷友介が自らに課すトリックスター的役割「自分のメッセージが人の実生活の中に入り込むっていうのが、今の僕のアート作品」

執筆者: 編集者・ライター/高田秀之

伊勢谷友介が自らに課すトリックスター的役割「自分のメッセージが人の実生活の中に入り込むっていうのが、今の僕のアート作品」

雑誌smartが創刊30周年を迎える2025年。そのアニバーサリーイヤー特別企画として、1990年代に数多くsmartの表紙を飾っていただいた方々に当時の話を伺う連載『Back to 90s』。第4回のゲストは、モデルとしてsmartを始めとしたメンズファッション誌でデビューしたのち、俳優としても映画や大河ドラマなど、多くの作品に出演してきた伊勢谷友介。彼が語る1990 年代とは?

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かつては“考えても作れないもの”を作る強さがあった

伊勢谷友介が自らに課すトリックスター的役割「自分のメッセージが人の実生活の中に入り込むっていうのが、今の僕のアート作品」

――モデルになったのは、学生時代にアルバイトをしていたカフェで声をかけられたのがきっかけだったということですが。

伊勢谷友介(以下、伊勢谷)「そうですね。そのときは芸大(東京藝術大学)にいて、映像の監督になりたいと思っていたんです。監督のことを学ぶには、俳優なら同じ現場にいられるし、当時モデルから俳優になる人も多かったっていうのがあったのと、モデルの仕事は一日の撮影で3万円くらいもらえて、それって当時のバイトの30時間分なんですよ、だから効率もいいし、そのぶん自分の作品作りにも時間が割けるから、事務所に入るまではフリーでモデルをやっていましたね」

――モデルの仕事は楽しかった?

伊勢谷「洋服好きな人たちと、カメラでグラフィックを作っていく感じは僕の中でも新しかったし、刺激的だった。大企業の薄利多売じゃないものがかっこいいとも思ったし、パーティーや舞台の演出の渦中にいると、自分がなりたい世界の美意識を見せてもらった感じになりましたね」

――のちに一緒にリバース・プロジェクト(衣食住など人が関わる分野での社会貢献を目指す目的で伊勢谷が設立した会社)を始める亀石さんとはその頃、出会ったんですか?

伊勢谷「オリジナルのメゾンを最初に作った人たちですよね。それまでは海外のVANとかを輸入しているだけだったのを、自分たちでストリートブランドを作り始めたのがあの世代で。原宿とか渋谷とか、自分にインスピレーションを与えてくれる場所にショップがあったから、そこに溜まれたんですよ。ショップごとに独自の美意識を出していたから、それに感化もされつつ、Tシャツのプロジェクトとかもやらせてもらったり。A NEW SHOP(“パイドパイパー”の後にオープンしたショップ)では途中から隔週でBARもやっていて、そこで音も鳴らしていたんで、結構行っていました」

――当時のファッションシーンでの思い出は何かありますか?

伊勢谷「さっき昔のsmartを読んでいて思い出したんですけど、トライベンティ(後に20471120と改名。奇抜なアイテムが人気だった)って、東京独特のことをやっていたんだなと。その前には山本寛斎とかコシノジュンコとかがいたけど、そういう人がやってきたことを別の形でストリートブランドがやっていて、ショーとかもすごかったですよね(ヘリポートでコレクションを発表するなどしていた)。無駄のオンパレードで、カッコいいかどうかもわからない混沌としたものから生まれるパワーというか、タガが外れた感じ、考えても作れないものを作る強さがあったと思う」

――その後、1999年に是枝(裕和)さんの映画(『ワンダフルライフ』)に初出演。しかも伊勢谷友介という本人役でした。

伊勢谷「事務所にオーディションの話がきたんだと思います。僕の役は死んだ人が人生の大切な瞬間を自分で選ぶっていう設定だったんですけど、台本がなく、自分で考えて言う設定だったので、じゃあ、役名でなく伊勢谷友介にしてくださいって頼んで、『選べない』と劇中で言ったんです。記憶を選べないって言ったのは、僕だけだったみたいですけど」

この記事を書いた人

流行通信社、ロッキング・オン社をへて、1990年に宝島社入社。Cutie編集長ののち1995年にsmartを創刊。2024年に退社し、現在はフリー。

X:@hideyuki1961

Instagram:@htakada1961

Website:https://smartmag.jp/

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