「4月ドラマは濱正悟祭り!」テレビドラマに配信ドラマ…出演作を語り尽くします
執筆者: ライター・エディター/佐藤玲美
日常が続いていく様を描いた作品なんです。
――そして2作目がHulu配信オリジナルドラマ『おとなになっても』。山本美月さんの夫役で「女性が気になっている」と不意に告白され、結婚生活への複雑な気持ちを抱える夫役を演じていらっしゃいます。女性同士のピュアな恋愛が描かれつつ、いろいろな思いを持った人たちが描かれていくわけですが、濱さんが演じた大久保渉という役はどんな人物ですか?
濱「思考型の人間で、感情がかき乱されても自分の中でいろいろ答えを出して飲み込んでいくタイプなので、爆発的になる感じの人ではないんです。最初に監督ともお話をさせていただいたのですが、セリフも“へぇ”とか“うん”とかそういう短い言葉が多いんですね。なので、そういう言葉って頭で想像するよりも現場に入ってみないとわからないなと思っていました」
――大久保渉は結婚したのに、妻の気持ちが移った相手は女性だったわけじゃないですか。そこには普通に浮気をされたのとは違う感情が沸き起こるものなのではないかと思うのですが、その心情をどんなふうに意識されましたか?
濱「悲しいとか切ないとか怒りとか喪失感とか、そういう感情が出る一瞬もあるんですけど、割とずっと、“わからない”という感情が一番多かったのかな。“なんでだろう”とか“自分はどうしたらいいんだろう”とか。
僕が演じた大久保渉は、仕事もしっかりしていてやらなければいけないことがたくさんあって。妻とちゃんと向き合うために時間を作ったとしても何を言えばいいんだろうっていう、どうしたらいいかわからない時間が結構続いていくんです。この物語自体、長いスパンで描かれているんですけど、主人公の2人の恋愛もちょっと冷戦状態になるときもあって、さまざまな感情が入り乱れる状態なんです。僕の母親・依子役の麻生祐未さんが結構ガツガツおせっかいを焼いてくださる方だったりして。それで渉は板挟み状態になるし、その上、妹は引きこもり気味でそっちもわちゃわちゃしているし」
――大久保渉の感情も丁寧に描かれているんですね。
濱「この作品は大久保彩乃(山本美月)と平山朱里(栗山千明)の恋愛模様がガッツリ描かれているんだけど、それにまつわる人物全ての人生も、かなり深くまで描かれているんです。なので、恋愛が成就して、デートしてハッピーエンドとかじゃなくて、答えが出ないまま続いていって、また何か小さな出来事を繰り返してという、日常が続いていく様を描いた作品なんです。だからこそ、生々しい部分もあって、なんだかんだで、どうすればいいかわからないありのままの自分もそこに映り込んでいる気がします。それが渉という役に投影されている感じがよかったと監督にも言っていただきました」
――理解して演じるのではなく、ご自身でもわからないままだったのが渉の気持ちとリンクしたということですね。
濱「自分でも不思議な感覚でしたね。割と僕だったらなんか言っちゃうだろうなっていうところでも渉は言葉を飲み込んでいたり、仲良くやっているように見えるけど、心の内側ではそうなっていないんだろうなっていうシーンもあったので。一つの感情で演じられる役ではなかったので、そのバランスが難しかったですね」
――現場で印象に残っていることは?
濱「この作品の撮影が始まる前日くらいまで他の作品に入っていたので、そこでまず気持ちを切り替えました。この物語の中で、結婚生活が5年間あるんですが、1話目で結婚1年目が始まるので、そこを演じるにはコミュニケーションを取っていくしかないだろうと思って妻役の山本(美月)さんをはじめ、監督やスタッフさんといろいろ話をしながら進めていった感じでしたね。
時系列通りに撮影していたこともあれば、順撮りではないときもあったので、想像力を働かせることも大切でしたね。現場に行く前や本を読んでいる段階では選択肢もいっぱいあるし、どう演じようかなって迷いもあったけど、『この場面、こうしようと思うんですけど、どうですか』っていうのもすごく言いやすい環境だったし、監督の中にもこうしたいという方向性が明確にあったので、現場に入ってからはすんなり役に入れた気がします」
――妻役の山本美月さんとはどのようにコミュニケーションを取っていったのでしょうか?
濱「僕は山本さんが出演されていた『刑事ゆがみ』(フジテレビ/現在、アマゾンプライムで配信中)が好きなんです。そのドラマを配信で見ていたので、それもお伝えしたんです。それで、ドラマを作っていた時の裏話を聞いたりして盛り上がっていました」
――作品の見どころは?
濱「いろんな登場人物がいて、それぞれにいろんな人生があって。なので、最初にこの作品を見たときは、いろんな人に心が揺さぶられすぎて、なんか混乱しかけたくらい(笑)。感情の向かう先がごちゃごちゃだし、全然、主軸に関わっていない人もいたりして。いろんな人の立場になってみると、物語もまた違う感覚で楽しめるんじゃないかと思います」
この記事を書いた人
東京在住のライター・エディター。『smart』『sweet』『steady.』『InRed』など、ウィメンズ、メンズを問わず様々なファッション誌やファッション関連のwebでライター&編集者として活動中。写真集やスタイルブック、料理本、恋愛心理、インテリア関連、メンタル&ヘルスケアなどの本の編集にも携わる。独身。ネコ好き。得意ジャンルはファッション、ビューティー、インテリア、サブカル、音楽、ペット、料理、お酒、カフェ、旅、暮らし、雑貨など。
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