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「ゲイ公表AAA與 真司郎が語る“人生そんなもん”の真意」だからこそ、前を向いていける。フォトエッセイでつづったありのままの自分と生きる道

執筆者: ライター/石野志帆

「ファンを傷つけてしまうかも……」カミングアウト後の葛藤と再生

フォトエッセイ『人生そんなもん』を出版した與 真司郎

――2023年7月には、ファンと対面しながらゲイであると告白されました。カミングアウトした一番の動機はどんなものでしょうか?

 一番大きかったのは、嘘をつき続けることに本当に疲れてしまったということです。仕事の現場でもプライベートでも、ずっと嘘をついているのが辛かったので決意しました。例えば週刊誌やSNSなどで写真を撮られたり噂されたりして変に伝わるより、自分の言葉でスッキリ言いたかったんです。僕にとってファンの方は本当に大切な存在だからこそ、SNSや本ではなく自分の言葉で直接伝えたいという気持ちがありました。

――ファンの前で直接カミングアウトするというアイデアは、アメリカのスタッフの方からの提案だったそうですね?

 「シン、SNSもいいんだけど、やっぱり自分の口から言った方がいいんじゃない?」と言われました。最初に聞いたときは「あり得ないでしょ!」と思いましたね(笑)。アメリカでもファンの前でカミングアウトする例はなかったと聞きましたし、最初は「やりたくない」と思いましたよ。でも、しばらく考えるうちに自分の中で腑に落ちていったんです。SNSや本などでは、感情も伝わりにくいしトーンもわかりにくいですよね。自分の言葉で伝えることができたからこそ、僕の誠意が伝わり、今もファンの皆さんが応援してくれているのだと感じています。

――カミングアウトする際、一番怖かったことは何ですか

 一番は、ファンの皆さんが傷つかないかどうかでした。目の前で「僕はゲイです」と自分の言葉でファンのみなさんに言うのってなかなかパンチがありますよね。僕を異性として見て憧れてくれている女性ファンの方もいることは理解していたので、重い感情を抱かせてしまうのではないかという不安が大きかったです。それに、当時はまだ“ゲイ”という言葉自体を日本語で発することにも僕自身慣れていませんでした。ゲイだと告白したら、みんなに嫌われるんじゃないかという恐れもありました。 

フォトエッセイ『人生そんなもん』を出版した與 真司郎

――実際にカミングアウトしてみて「嫌われるのではないか」という気持ちはすぐに解消されましたか?

 「カミングアウトしたら結構すっきりするのかな」と思いましたし、思ったよりも良い反応はあったんですが、意外とカミングアウトした後のほうが精神的にやられました。少なからずバックラッシュ(反動)もありましたし、応援してくれたファンの子たちが離れたこともありました。SNSで「え、ゲイ?無理。気持ち悪い」というような発信を見ると「やっぱりカミングアウトしなかったほうが良かったのかな」と感じたこともありました。それからやっと抜けだせることができて、いま本当に人生を楽しめているという感じですね。

――その間、どのようにして立ち直られたのでしょうか?

 一番大きかったのは、友達の支えです。すぐにLAに戻ったのですが、「シン、行くよ!」と友達が外に連れ出してくれたり話を聞いてくれたりして、力になってくれました。それでも自分の中で完全に腑に落ちずにモヤモヤしていた時期もあったんですが、トークショーを企画したり、宇野実彩子(AAAメンバー)のライブにゲスト出演させてもらったりする中で、ファンの皆さんやいろいろな方々からの温かい反応に触れて「あぁ、大丈夫なんだ」と思えるようになっていきました。徐々に自信を取り戻していったという感じです。

――カミングアウトに後悔はありませんか?

 今は本当にしてよかったと思っています。何をやってもアンチの人はいますが、最近では「勇気をもらいました」といろんな人から言ってもらえる機会があり「あぁ、してよかったな」と心から思います。自分の生き方に100%の自信を持てる人間になれたと、36年かけてやっと思えるようになりましたね。

この記事を書いた人

TV局ディレクターや心理カウンセラーを経て、心を動かす発見を伝えるライター。趣味はリアリティーショー鑑賞や食べ歩き。海外在住経験から、はじめて食べる異国料理を口にすることが喜び。ソロ活好きが高じて、居合わせた人たちの雑談から社会のトレンドをキャッチしている。

X:@heartsilvermist

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