「90年代の原宿には“やってやるぞ感”が漂っていた」名優・永瀬正敏が認める“一番かっこいい男”とあの代表作への思い
執筆者: 編集者・ライター/高田秀之
撮られる側も撮る側も…カメラマンとしての気づき
――映画シリーズから始まり、テレビドラマ化もされ、永瀬さんの中でも重要なキャラクターかと思うんですが。
永瀬「よく言ってたんですけど、種を蒔く作業をしたかったんです。テレビは映画よりも近いから不特定多数に広がるし、それがいつか芽が出て花が咲くといいなぁと。“濱マイクを観てスタイリストになりました、映画の道に進みました”っていう話も聞くから、伝わる人には伝わって、そういう意味では頑張ってよかったなと」
――「濱マイク」にも出演していた(元・ブランキー・ジェット・シティの中村)達也くんは一緒に『smart MAX』の表紙にも出てもらいました。当時、永瀬さんが「一番かっこいい」と言っていたのを覚えてます。
永瀬「今でもかっこいいと思ってます。ブランキーとかミッシェル(・ガン・エレファント)がかっこいいと思ってて、そういう界隈で会うようになったんですよ。人柄も僕からすればキュートで素敵な人たちだったから、達也くんはテレビシリーズにも出てもらいました。生き方がカッコいいんですよね。“バンドいくつやってるの?”ってぐらい、数えられない数のバンドをやってるじゃないですか。一個のバンドだけやって、じっくりツアーも回って、年に1枚アルバム出すでもいいのに、常にいろんな人とコラボして、ミュージシャン以外でも踊る人とか絵を描く人とかと、毎日どっかで何かをやってる感じで、それがいいんですよね。タイコを叩いてる=生きているって感じが達也くんにはする。忙しすぎて、僕も全然会えないですもん」
――永瀬さんは今、カメラマンとして写真集も出したりと活躍中ですが、撮る側になって気づいたこととかはあるんですか?
永瀬「カメラマンさんにリスペクト感はあります。でも、とってもいい人なのに、たとえばポラをパンッて投げる人とか、アシスタントさんに乱暴なことを言う人とか、そういうのは見てると少し冷めちゃいますね。想いを伝えるアピールなんでしょうけど、あんまりいい気はしないので、僕はそうしないでおこうと思ったり。
それと逆で以前、鋤田(正義)さんに撮ってもらったときは、僕が写真を見に行ったときに、半目になってるのを本人が来る前に、“あ、これは違うから”ってよけてくれてたんですよ。そういうことにはすごい愛情を感じるから、真似しようとか心がけたりとかですね。あと、同じポーズの画面でカメラ何台も変えてずーっと撮ったりとか、あるときふと“これ、俺がやられたらイヤだよな”って気がついたり。でも今でも2台持ちとかはしちゃうんですけど」
――ファッション撮影と演技の違いってなんでしょう?
永瀬「僕が着た服を、見た人が買いたいって思えば一番いいと思う。あと、服のテーマなりカメラマンさんの切り取り方から、自分が演じるときはありますね、短編映画を撮ってるような感じで。それががっちりいったときは、いろいろできちゃうっていうか、スタッフさんたちと一緒に作っていくことが楽しい。以前smartに出させてもらったときはそういうのが楽しかったですね」
――smartで印象に残っている撮影ってありますか?
永瀬「さっき、ヘアメイクしてもらってる合間に昔のsmartを見てたんですけど、今でも付き合いのある方々がすごく若いなとびっくりしました(笑)。(井浦)新くんとか(オダギリ)ジョーくんとか。KEEくんが一番変わんないですね。そういうタイムカプセル的なものがいまだに地続きなのは、すごいなと。
地続きのタイムカプセルで、いろんな方々とご一緒させていただいたんだと思いましたし、結構アバンギャルドなことを、当時は他の雑誌も含めてしてましたよね。写真も実験的というか。それまでのきちっとしたものじゃなくて、カメラマンやスタッフさんを含めて、新しいものをみんなで作ろうぜっていう、その匂いがすごく面白い。だって、こんなの(96年6月号)表紙にします? 僕も雑誌の表紙を撮るときには、“目線をください”って必ず言っていたけど、これ、全然目線きてないですもん(笑)」
――(笑)。これまで数多くの映画に出演されてきましたけど、映画を選ぶ基準は何かあるんですか?
永瀬「(脚本の)初見が一番大事な気がします。初見が一番お客さんみたいな気持ちで読める。一気に読めたやつはやらせてもらってる気がするし、読んでいる途中で飼ってる猫の世話が頭に浮かんだり、途中下車したやつには参加していない。
もうデビュー40何年なんで、折り返せないんですよ。百何十本と出てますけど、この先もう一回百何十本はできないですからね。一つ一つが残っていけばいいなと思ってやってます。でっかい作品でなくても、後に残っていく何かを作りたいというか。昔は1人で攻めてた気がするんですけど。ある時期からみんなとタッグを組むこと、コラボレートするほうがいいなと思えてきた。それが今も続いてる感じです。同じ気持ちの人たちと共犯関係みたいに何か作っていければいいなと思います」
Profile/永瀬正敏(ながせ・まさとし)
1966年生まれ。1983年、映画『ションベン・ライダー』でデビュー。ジム・ジャームッシュ監督『ミステリー・トレイン』(89)で主演を務めて以降、『アジアン・ビート(香港編)オータム・ムーン』、『コールド・フィーバー』など海外映画への出演も多数。『あん』、『パターソン』、『光』でカンヌ国際映画祭に3年連続で公式選出された初のアジア人俳優となった。近年では、『星の子』、『百花』、『GOLDFISH』、『箱男』などに出演している。最新作は『いきもののきろく』(一部公開中/井上淳一監督)、今後の公開作は『オリバーな犬』(25年秋/オダギリジョー監督)他。2018年、芸術選奨・文部科学大臣賞受賞。
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Photography _ MARI AMITA
Styling _ MASATOSHI NAGASE
Hair&Make-up _ KATSUHIKO YUUMI
Interview&Text _ HIDEYUKI TAKADA
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この記事を書いた人
流行通信社、ロッキング・オン社をへて、1990年に宝島社入社。Cutie編集長ののち1995年にsmartを創刊。2024年に退社し、現在はフリー。
Instagram:@htakada1961
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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