「20代、30代未婚女子のリアルを描く」女子は自分の悪い顔を見ている感覚になり、男子はスカッとできる作品【ドラマ『結婚詐欺師と堕ちる女』山谷花純×田島亮対談】
執筆者: ライター・エディター/佐藤玲美
田島亮が今、注目する映画作品を語り尽くす
山谷「そして、映画にまつわる連載ということで、映画のお話を。事前に作品をピックアップしていただいたのですが、その一つが『さかなのこ』。ちょっと意外でした」
田島「ここ数年で観た邦画で一番好きだね」
山谷「誰も悪い人がいない作品」
田島「やっぱりさかなクンってすごいよなって。その上で、さかなクンを演じたのんちゃんもすごかった。この作品は小学校で観せるべきだと思う。LGBT的な部分もあるし、いじめ問題もあるし、それをエンタメとして成立させているっていうのがね。難しいことをやさしく伝えるっていうのが、もう一番理想的なエンターテインメントだなって。基本的には笑いを生み出しているんだけど、奥にはものすごく深いテーマが潜んでいてっていうのを座組(作品制作への出資者の組合せや、配給に関する興行網の選定方針)全体で理解しているなって」
山谷「(のんさんが演じたさかなクンの)あの中性的な感じだったり、他の人がやったらわざとらしくなるようなことをさらりと演じられるところもすごい」
田島「ぜひ、smart読者のみなさんにこういう視点で観てほしいっていうおすすめポイントがあって。柳楽(優弥)くんや夏帆ちゃん、磯村(勇斗)くんがサブキャストとして出演しているんだけど、その3人の主役であるのんちゃんの支え方がすごいの。3人とも自分が前に出ようとせず、作品をよく見せるためにパスを出しまくっている。何これ、ってもう涙が出ちゃう(笑)。座組のために演技するってこういうことだよなっていうね」
山谷「それは脚本をちゃんと読める人たちということなのかな?」
田島「そうだし、のんちゃんという主役をちゃんと愛してリスペクトしていたんじゃないかなと思う」
山谷「それって、役者じゃない人が観てもわかるものなのかな?」
田島「わかるんじゃないかな。そういった視点も持って観ていただけたら、また作品の魅力が広がるんじゃないかなって思う」
――そういった俳優さんたちの視点を持つことで、さらに、素人の批評家が増えてしまう可能性もあるのでは?
山谷「みんな欠点を探すことばかりにかまけて、魅力だったり、いい部分に目を向けることが下手になってしまっているのは、やっぱり感じますよね」
――SNSなどで、作品を観た方の解説や批評などを目にする機会があると思うのですが、2人はどのように向き合っているのでしょうか?
山谷「私は大好き。『もっと言ってくれ!』みたいな気持ち(笑)。映像作品の場合はもう、撮影が終わっているので変えようもないし(笑)」
田島「舞台公演のときは、結構エゴサしていて、鋭いこと言われているなぁって思うことはあるけどね」
山谷「それで、公演の途中でも変えたりするの?」
田島「大きくは変えないけれどね。舞台の場合は、『そこを駄目出しするんだ』っていう視点があったりするんだよね。例えば『髪型が気になって物語に集中できませんでした』とか『2幕と3幕で別人に見えました』とか。そこは微調整したりするかな。なんか鋭い人、いっぱいいるよ(笑)」
山谷「受け取り方次第ではいいアドバイスになったりするってことだよね」
この記事を書いた人
東京在住のライター・エディター。『smart』『sweet』『steady.』『InRed』など、ウィメンズ、メンズを問わず様々なファッション誌やファッション関連のwebでライター&編集者として活動中。写真集やスタイルブック、料理本、恋愛心理、インテリア関連、メンタル&ヘルスケアなどの本の編集にも携わる。独身。ネコ好き。得意ジャンルはファッション、ビューティー、インテリア、サブカル、音楽、ペット、料理、お酒、カフェ、旅、暮らし、雑貨など。
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