「あのちゃん、激動の2024年を振り返る」人の心を揺さぶるような表現者になりたい…“ネオY2K”なストリートスナップも
執筆者: コンテンツディレクター/田島 諒
「smart」創刊30周年イヤーの幕開けとなる11月に発売したsmart1月号の表紙を飾ってくれたのは、音楽活動にドラマ、映画、バラエティと大躍進を続ける〈あの〉さん。あのさんのタフでしなやかな表現力と根底に流れるパンクな精神に共鳴した編集部の熱烈オファーにより、多忙なスケジュールを縫っての撮影が実現した。あのさんらしい〈ネオY2K〉な着こなしを、smartが生まれた90年代ストリートを彷彿(ほうふつ)とさせる夜のストリートスナップで表現したら……。エモな空気が流れる夜の散歩タイムに出かけよう。
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「次々に出していかないと自分自身に追いつかなくて逆にしんどくなっちゃう」
――2024年はアーティスト、俳優、タレントと、大活躍の一年でした。活動を振り返って、思い出に残っていることをカテゴリー別に教えてください。まずは、俳優業についていかがでしょう?
あの どれも印象深いんですけど、特に『民王R』は自分にとって挑戦的な役でした。一人二役、かつ世代も違う異性を演じるというのは、結構ハードルが高かったですね。だけど、その分、周囲からの反響も大きくて嬉しかったです。芝居をすることで、自分の中にない価値観や考え方をもらうことが多くて、普段は偏った自分だからこそ、俳優業でしか得られないものもあるのかなって、俳優業をやりながら考えています。
――では、音楽活動を振り返ってみて、ターニングポイントになったことはありましたか?
あの やはり『絶絶絶絶対聖域』をリリースできたのが大きかったです。今後の音楽活動における軸になるような曲になったなって。それに、バラエティ番組の“あの”っていう世間的なイメージをひっくり返してくれたようにも感じました。「あのちゃんって、こういう音楽もできるんだ」っていう。僕の中では当たり前にやってきたことですけど、そこを世の中にちょっとだけでも広めるキッカケになったんじゃないかと思います。今年はフェスにもたくさん出演させてもらいましたけど、その現場でライブを観てくれた人からの意見が「こんなことができるなんて知らなかった」っていうのが多くて。そんな風に自分のことを伝えることができたし、表現をするという意味で、すごくやり甲斐がありました。
トップス¥25,300/HOLIDAY(フラッグサロン オフィス☎︎03-6805-1273)、スカート¥20,900/MOMENTEL、レッグウォーマー¥36,300/AQUA LIXUN SU、シューズ¥69,300/grape(以上すべて9FOX @9fox_showroom)、その他/スタイリスト私物
――フェスではメインステージでの出演も多く、大勢の前でライブをする機会が多かったです。世間に広く受け入れられていると実感できる現場も多かったんじゃないでしょうか?
あの そうですね。そこは昨年と全然違いました。何万人もの人がいる前で、一人で音楽を表現するっていうのは、やっぱり特別なことというか。ライブ中はすごく楽しいし、自分の音楽ができることに喜びを感じるんですけど、終わった後に映像を観ると、よくここに立ってたな……って思うんですよ。怖かっただろうなって、なんかすごく客観的な感じなんですけど。音楽が好きで楽しんでいるんですけど、冷静に考えると、すごいことしてるなって思いますね。
――10月にリリースされた楽曲「許婚っきゅん」ですが、実にあのちゃんらしい曲だと感じました。
あの アニメ『らんま1/2』のオープニング曲ということもあって、アニメの世界観を大切にしながら制作を進めて、新しさの中に懐かしさも感じさせるようなポップな曲に仕上がったと思います。
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――MVのワンカットで描かれたシーンも話題になりましたが、結構大変だったんじゃないでしょうか?
あの 大変でしたね。挑戦していくっていう構成のMVなんですけど、本当に試練だったなっていう(笑)。『かわいいだけじゃだめですか?』ってあるじゃないですか?
――SNS上でバズっている曲ですね。
あの はい、本当にそれでした。かわいいだけじゃだめですか? って気持ちにめちゃくちゃなりました(笑)。だけど、あのシーンあってこそのMVになったと思うので。観てくれる人が楽しんでくれたら、あの試練の時間も報われる気がします。
ワンピース¥59,400/JennyFax、帽子¥20,900/ FILME FILLED(ともにSHEEP☎︎03-6434-0333)、シューズ¥60,500/grounds(FOOLS Inc.☎︎03-6908-9966)、その他スタイリスト私物
――それにしても、本当にテレビにラジオに音楽活動と、実に忙しい日々だと思います。そんな中で活動に対するモチベーションをどう引き出しているんですか?
あの なんか体の中にすごく溜まっている感じがあって、それを外に出さなくちゃ気が済まないんですよ。次々に表現していかないと、自分が自分に追いつけなくて、逆にしんどくなっちゃうんです。ずっと、そういうことをやっていたいんですけど、そうじゃないこともあるじゃないですか。淡々と作業的にやらなくちゃいけないことに直面すると頭がパンクしそうになるというか。でも、結局やるしかないんですよ。それしか方法がないなって。さすがに、ちょっとはご褒美がないと厳しいなー……とか思いながら、やっていましたけどね(笑)。
――やっていくうちに次の表現に繋げていくわけですね。
あの そうです。そういう作業的なこともやるからこそ、僕はもっとこういう表現をしたいとか思い浮かぶし、すべてのことが無駄ではないなと思いますね。俳優業なんて本当にそうで、人間らしさをすごく学んでいると感じます。
――次々に表現に繋げるという話でいくと、2024年1月1日にシングル「YOU&愛Heaven」をリリースされましたが、あの曲は一夜で衝動的に作り上げた曲なんですよね? 音楽表現は癒やしにも繋がるものですか?
あの あの曲を制作したのは、一時期から、死にたいとか消えたいのひと言で片付けるのがイヤになってきたんですよね。その感情を歌にしようっていう意識は前々からあったんですけしんどいときはなるべくギターを持つようにしていますど、それがさらに強くなって作ったというのもあって。だから、今もしんどいときには、なるべくギターを持つようにしています。それで、メロディだったりが浮かんできたら、スイッチが変わって一気に衝動で曲を進めちゃう感じですね。そういうときは体の中に溜まっているものがスッと抜けていく感じがあります。
デニムつなぎ¥79,200、シャツ¥68,200/ともにBUZIGAHILL、イヤカフ(上)¥10,780、イヤカフ(下)¥13,750、ピアス¥8,250/以上すべてYPARIS(以上すべてWANDERLUST DISTRIBUTION INC.☎︎03-3797-0997)、ポロシャツ¥30,800/BASICKS(ベイシックスinfo@basicks.jp)、ブーツ¥29,700/MOHI(レイ ビームス 新宿☎︎03-5368-2191)
この記事を書いた人
DMRT inc.所属。数々のインディペンデントカルチャーメディアを経て2016年に独立。ロック全般をベースとする音楽コンテンツの制作、メディアディレクション、地域振興系メディアのエディットなどを行う。日夜チャリで渋谷を爆走する漆黒のCITY BOYとして、365日スコッチを手放さない。
Instagram:@ryotajima_dmrt
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