「田中みな実が語る“推し活”論」好きな人に夢中になるということは……田中みな実の連載 「となりのみな実さん」 episode 53
執筆者: ライター/東海林その子
今月の写真テーマは、古着ショッピングデート。そこで、中目黒のヴィンテージストア〈DROP〉を訪れたみな実さん。野球ガチ勢が多い“となみな連載”スタッフの勢いに押され(!?))、Tシャツやトップスをお買い上げ。古着digを楽しむみな実さんも新鮮ですね。
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田中みな実の連載「となりのみな実さん」
episode53 読者からの質問:「推しが好きすぎて、現実を見られません……」
そこまでハマれる推しに出会えたことは幸せ
たとえば相談者さんが、いついつまでに結婚したい、子どもがほしいなどのライフプランが明確にあるにもかかわらず、推し活に夢中なら、少なくともその期間、推し活はセーブする必要がありそう。
でも、そうでなければ問題なくない?仕事をして、推し活の費用を捻出して、誰にも迷惑をかけずに日常生活を送れているなら、しっかり現実をみられている気がしますけどね(親や友達にお金を借りての推し活は言語道断)。それに推しがいるのといないのとでは、日々のうるおいというか、充実度がまるで違うと思うんです。
うちの母が大の井上芳雄さんファンで、最近ファンクラブに入会したらしい。芳雄さんの話をしているときは声がワンオクターブ高くなり、少女のように目を輝かせていて、なんだか微笑ましい。
この前メールしたら大阪の帰りだと返信があり、何かと思えば芳雄さんのミュージカルを観に行っていっていたという。『赤系のワンピースに合わせるならどんなジュエリーかしら?』と相談されたのは、そのためだったか! 好きな人に会うために洋服を新調して、コーディネイトを考えて、新幹線の切符を買って……楽しそうでうらやましかった。
芳雄さん、海外公演とかしてくれないかな〜。母世代ともなると、海外旅行なんて何かのきっかけでもないと、なんだかんだ理由をつけて行かなくなっちゃうじゃない?祖父の病院の送り迎えや孫たちのお世話で日々奔走してくれている母は、現実を見っぱなし。私たちはおかげでとっても助かっているけど、たまには羽をのばしてきてほしい。ときには現実を手放したっていいと思うんです。VIVA芳雄サマ!!
しかーし、仮にお付き合いしている人が推し活に夢中になって、そっちに時間もお金も惜しみなく使い始め、こちらに見向きもしてくれなくなったら、私、きっとスッと身を引きます(笑)。あまりに惨め。そこまで夢中になれるような人に出会えたのは素晴らしいことだから、それを許容できなかった自分が彼の元を去らなアカンな!と、自分の中にアンミカさんを降臨させてすべてに感謝してドロンします。
でも、やっぱりアンミカさんにはなりきれないから、その推しを見る度、しばらくは嫌悪感を抱くと思う。母は、(また母の話になってしまうけど)『芳雄さんは相づちひとつとっても人間性が素晴らしいことがわかる!』と、うっとりしながら『行列のできる相談所』を観ているんだけど、それで父がイヤな気持ちになるかといったらそんなことはなくて。
人間性、歌声、パフォーマンス、そういうものを周囲とシェアしてくれる分にはOKなのかも。『顔が好き』『脚がキレイ』『スタイルがいい』など、容姿について、異性としての魅力を延々語られるのはご勘弁いただきたい。あ〜あ、いつか私も夢中になれる推しに出会いたーい。
Profile/田中みな実(たなか・みなみ)
1986年11月23日生まれ。元TBSテレビアナウンサー。近年は役者として映画やドラマなどでも活躍中。
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Photography _ YUJI TAKEUCHI[BALLPARK]
Styling _ YUKO OBARA
Hair&Make-up _ YUKARI HAYASHI
Text _ SONOKO TOKAIRIN
撮影協力_DROP 中目黒(東京都目黒区青葉台1-15-5)
※この記事は2024年smart12月号に掲載した記事を再編集したもので、記載した情報もその時点のものです。
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この記事を書いた人
出版社を経てフリーライターに。ファッション誌、エンタメ誌、web媒体などでインタビュー・執筆。smart本誌では田中みな実さん、山本彩さんの連載などを担当。アイドル、アニメ、食、ドラマなど幅広く興味あり。最近は韓国語を勉強中。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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