「“馬鹿”って言われるくらいクソ真面目にやることが大事」アントニオ猪木の教えがあったから戦国プロレス時代を生き抜けた前田日明と藤原喜明が大放談した書籍『アントニオ猪木とUWF』(宝島社)
執筆者: smart編集部
「前田がいちばん猪木さんに似てるかもしれない」
――やはり若手時代に叩き込まれた猪木さんの影響というのは大きいですか?
前田 教えって言われてもパッと思い浮かばないんだけど、まあでも、何をやるにしてもまっすぐに考えてたよね。変な入れ知恵は入れられなかったんだよ。
藤原 でも、俺に言わせりゃ、前田がいちばん猪木さんに似てるかもしれないよ。
前田 俺がですか?
藤原 うん。
前田 どういったところですか?
藤原 まず騙されやすいところ(笑)。あとはクソ真面目でバカ正直なところ。猪木さんも真面目だったからな。
前田 そうですよね。
藤原 あんなに忙しい人なのに練習は怠らず、ズルはしない人だった。その一方で、自分から騙されに行っているようなところがあったな。永久電池とかね。
――猪木さんの大好きな発明シリーズですね(笑)。
藤原 俺は猪木さんに言ったんだよ。「あれは力学的に不可能なんですよ。食材がないとちゃんこがつくれないのと一緒です。力学のことは多少わかりますから、私に聞いてください」って。そしたら「わかった、力学のことはお前に聞くよ。……でもな、もうできてるんだよ」「だからそれが騙されてるんですって!」って(笑)。
前田 何億、何十億円ってやられてるでしょ?
藤原 やられてる、やられてる。
前田 キューバのカストロ議長から宝島をもらったとかね。
――「宝島」ってところがロマンがあっていいんでしょうね(笑)。
藤原 その時も俺は言ったんだよ。「本当に財宝が出るなら、誰にもしゃべらずに自分のものにしますよ。そんなのに騙されちゃダメです」って。そしたら「お前は盆栽が趣味だろ。俺はこれが趣味なんだ」って。そう言われたらしょうがねえもんな(笑)。
――猪木さんもプロレスだけやってたら、ものすごい資産を築いてたんでしょうけど(笑)。
前田 あっという間にデカいビルが建ってたよ。
藤原 きっとお城に住んでたよな。でも、プロレスだけやってても結局、自分の会社の営業とかに騙されてたかもしれないけどな(笑)。
前田 さっきも言ったけど新日本の営業のヤツらは、ブランドブームのはるか前にルイ・ヴィトンのアタッシュケースを持ってたからね。ホントにビックリしたよね(笑)。あの頃の俺はそれの意味がわからなかったけど、あとあとブランドブームになってから「えっ、そういえば俺がハタチの頃、加藤っていう営業のヤツがルイ・ヴィトンのアタッシュケースを持ってるのを見たな……」と思ってね。
藤原 アイツは俺がいちばん嫌いなタイプだったな。
前田 大塚も悪かったけど加藤も悪かったですよね。
――結局、ジャパンプロレスがいちばんダメじゃないですか(笑)。
前田 大塚、加藤、ジャパンプロレスのツートップだよ。長州さんもね……まあ、いいや。あの人はやめておこう(笑)。
藤原 まあ、来世があるなら俺はこういう商売は絶対にやらない。俺は真面目に公務員をやる(笑)。
――いや、でもいい人生だと思いますよ。
藤原 そうか? まあ、騙すほうになりたかったな(笑)。真面目に頑張って残ったのはボロボロの体だけだよ。
(続きは書籍『アントニオ猪木とUWF』(宝島社)でお楽しみください)
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※本記事は書籍『アントニオ猪木とUWF』(宝島社)の一部を抜粋したものです。
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