【大胆な演技が話題】中﨑絵梨奈「愛って……と語ってる自分が恥ずかしい(笑)」谷崎潤一郎の名作を“男女逆転”アレンジした映画『卍 リバース』に出演
執筆者: ライター・エディター/佐藤玲美
多様性とか関係なくみんながそれぞれの形で幸せになればいい
――キャストの皆さんと現場ではどのようにコミュニケーションを取っていたのでしょうか?
中﨑「短い期間にギュッと凝縮して撮影をしたんですが、お弁当の時間はよく3人でおしゃべりしましたね。(園田幸太郎役の)鈴木(志遠)くんも(宇佐美光役の)門間(航)くんも普段はすごくゆるい雰囲気なので、一緒にいるのが心地よかったですね。後半、海ロケがあったのですが、物語の中でも『周りは気にせず自由に生きていこう』と決意する場面の撮影だったこともあって、撮影後もみんな心を開放して海辺で遊んでいたことが印象に残っています」
――『卍』という小説は『痴人の愛』と同様に、日本の映画史の中で何度も映画化されてきた作品です。その作品が男女逆転という今の時代らしいアレンジを加えて世に送り出されることについてどう思いますか?
中﨑「物語が男女逆転の“リバース”になったことで、よりたくさんの方に受け入れられやすい作品になったかなという思いはあります。完成した作品も見たのですが、映像もすごくキレイで叙情的なんです。今はこの作品に描かれている同性愛も受け入れられやすい時代だし、この作品を観ることで同性愛について考えたり、理解を深めるきっかけになったらいいなという思いもあります。不倫に関しては、また別の問題ではあると思いますが、多様性の時代にふさわしい作品だと思います」
――夫である園田孝太郎が宇佐美光と身体を重ねていることに気がついた時に弥生が「これは不倫なのかな?」とつぶやくシーンが印象的でした。つまり同性愛は不倫になるのかどうかということなのですが、弁護士である弥生らしい言葉だなと思いました。
中﨑「弥生の中では夫に不倫された、という感覚ではなかったんですよね。夫に同性の恋人がいても別れたいわけではなくて。自分とも関係が続けられるのなら3人で幸せになればいいと思っているんです。つまり3人でいることが愛だと思っているんですよね。弥生を演じながら、世の中とか多様性とか関係なく、みんながそれぞれ好きな形で幸せになればいいんじゃないか、という気持ちになりましたね。形にとらわれる必要はないんだって、自分の中でも愛の幅が広がった気がします」
――弥生は園田と結婚しなければ真っ当な人生を歩めたと思うのですが、やはり園田と出会えてよかったと思いますか?
中﨑「弥生にとって、園田はそばにいてほしい存在だったんですよね。弥生から見て可愛い部分もいろいろあったし、どんな結末を迎えたにしろ、やはり園田と結婚してよかったと思っていると思います」
――弥生という役を脱ぎ捨てて、中﨑さん自身が一番惹かれる登場人物はどなたですか?
中﨑「園田ですね。光はちょっと危険すぎる(笑)。20代だったら光くんって言っていたかもしれないけれど、今の私にはふんわり包みこんでくれる園田のほうが一緒にいたい存在ですね」
――この作品では「愛」と「欲」が描かれているのですが、その境目はどこにあると思いますか?
中﨑「難しいですよね。3人の愛はやはりどこかいびつな感じはしますよね。光に関しては自分のことばかりで欲だらけのような気がするし、園田は園田で『どっちも好き』という曖昧さが愛と欲の間で揺れ動いているような印象。弥生は愛だけのようなイメージですね。光の欲と弥生の愛に挟まれた園田がどう動くのかというところがまた見どころなのかなという気がします。3人とも違うベクトルで向き合った結果、感情が混ざりあい、溶け合って最後のシーンに繋がっていくと思うので、その感情の動きにも注目していただきたいです」
この記事を書いた人
東京在住のライター・エディター。『smart』『sweet』『steady.』『InRed』など、ウィメンズ、メンズを問わず様々なファッション誌やファッション関連のwebでライター&編集者として活動中。写真集やスタイルブック、料理本、恋愛心理、インテリア関連、メンタル&ヘルスケアなどの本の編集にも携わる。独身。ネコ好き。得意ジャンルはファッション、ビューティー、インテリア、サブカル、音楽、ペット、料理、お酒、カフェ、旅、暮らし、雑貨など。
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