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美食家ジャイアント馬場が「こんなに旨いものがあったのか?」と絶賛した意外な料理“デンジャラスK”川田利明が「麺ジャラスK」に“転職”した理由

執筆者: smart編集部

さらば愛するリングよ、そしてセカンドキャリアへ

 本当はプロレスをやりながら、お店をやるのがベターなのは明らかだ。プロレスラーとしての知名度そのものが看板になるし、リングに上がることが、そのまま店の宣伝にもなる。

 でも、中華料理屋で勉強を始めたら、それは無理だとすぐに悟った。

 何度も言うけど、飲食業はそんなに甘いもんじゃない。

 俺の名前で店を出して、俺がいない日があったら、絶対に上手くいかない。試合の度にお店を休んでいたら本末転倒だし、俺のファイトスタイルではお店との両立は体力的にも無理だな、と思ったのだ。

 実際、店を出すと決めたあとも、前から約束していたスケジュールがあったので、その試合だけは出場したけれど、あぁ、これを続けながら、厨房に立ち続けるのは体力的にも精神的にも無理だな、とすぐにわかった。

 ただ、ひとつだけ両立する方法はあった。

 それは今までのファイトスタイルを捨てて、「エコなプロレス」をすること。メインイベントにこだわらず、前座や6人タッグで客席が笑顔になるような試合をしていれば、なんとか両立できるのかな、と。

 そういう試合も興行の中では必要だし、長くプロレスを続けていくんだったら、徐々にそういうスタイルにシフトしていくものだけど、俺が急にそれをやってしまったら、お客さんはきっと「なんだよ、川田。がっかりだよ」と失望するだろう。

 プロレスラーとして、リング上では激しい試合を繰り広げ、ファンに夢を与えてきた人間として、それだけはどうしてもできなかった。

 だからこそ、正式に引退はしていないけれど、リングからは離れて、飲食店の経営に専念することを俺は決めた。

 馬場さんが亡くなったことも、実は大きな理由のひとつだ。

 全日本プロレスという会社は本当にちゃんとしていて、馬場さんが社長だった時代は厚生年金もしっかり加入していたので、年金だって受け取れる。たとえ会社の状況が良くない時でも、ギャラの遅配や減額といったことは一度もなかった。

 だから俺は全日本プロレスを信用していたし、骨を埋める価値のある会社だと思っていた。それは嘘偽りのない感情だ。

 しかし、馬場さんが亡くなり、どんどん会社は変わっていってしまった。奥さんの元子さんが経営から離れ、全日本プロレスは名前だけ残って、いつしか中身はまったく違う会社になってしまった。

 そして、ついにギャラの遅配が始まり、最終的には1年以上、ギャラを払ってもらえなかった。こうなるともう生きていくためには全日本プロレスを離れて「無所属」として活動していくしかない。

 これは決して愚痴ではなく、生きていくための現実的な話だ。

 実際、全日本プロレスに不満があったなら、天龍さんが「SWS」を、三沢さんが「プロレスリング・ノア」を設立した時についていくこともできただろう。あるいは新日本プロレスとの交流戦の流れのままに、移籍することも可能だっただろう。

 でも俺はそれをしなかった。全日本プロレスが好きだったからだ。

 だけど、馬場さんが亡くなって、元子さんも経営から離れ、徐々に変わっていく全日本プロレスに愛着が薄れていった。いつしかギャラも出なくなった。

 そして、三沢さんの死でプロレスに対する情念も薄れてしまった。

 プロレスラーになって27年目にして、初めて考えたセカンドキャリア。ただ、そこにあったのは厳しい現実だけだった。

 第2章では店の開店準備から、オープン直後の地獄のような日々についてありのままを書いていきたい。

 きっと、誰もが「ラーメン屋をやることだけはやめておこう」と思うはずだ。いや、思ってくれるはずだ。

続きは『プロレスラー、ラーメン屋経営で地獄を見る(宝島SUGOI文庫)』をチェック!

麺ジャラスK
住所:東京都世田谷区喜多見6-18-7 ビスタ成城 1F
アクセス:小田急小田原線「成城学園前」駅から徒歩約12分
定休日:火曜日
営業時間 昼12:00~14:00(オーダーストップ13:30)
夜18:00~21:00(オーダーストップ20:30)
都合により異なる場合もあり。
最新情報については、「X」(旧Twitter)をチェック。
Xアカウント:麺ジャラスK店長 川田利明:@orenooudou

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※本記事は5月7日発売の書籍『プロレスラー、ラーメン屋経営で地獄を見る(宝島SUGOI文庫)』の一部を抜粋したものです。

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