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韓国の人気セレクトショップ「SOUND SHOP balansa」のオーナーが明かす、日本の音楽とファッションが好きな理由

執筆者: エディター・ライター/相馬香織

韓国発のセレクトショップ「SOUND SHOP balansa」

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本誌4月号付録でコラボレーションを果たした、韓国発のセレクトショップ「SOUND SHOP balansa」。balansaに惹かれる理由が、その歩みをひもとくことで見えてきた。オーナー兼ディレクターのキム・ジフンさんが本誌だけに語ってくれたスペシャルインタビューをお届け。

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“日本から一番近い海外の都市”である釜山で日本の音楽とファッションを全身で吸収してきた

韓国発のセレクトショップ「SOUND SHOP balansa」

――日韓のストリートシーンを賑(にぎ)わせているSOUND SHOP balansa(以下バランサ)ですが、ジフンさんはどんなカルチャーに影響を受けてきましたか?

キム・ジフン(以下、ジフン) 僕の住む釜山は、日本から一番近い海外の街で、幼い頃から日本の音楽やファッションの影響を受け、全身で吸収してきました。距離が近いことから、日本のテレビやラジオの電波が釜山にも届いていて、リアルタイムで日本のテレビやラジオを視聴できたんです。夜遅くに日本のMTVを観て、たくさんの音楽を聴きましたし、当時はまだ、韓国では禁止されていた日本の雑誌や漫画、CDなどが初めて解禁されたのも釜山でした。また、実家にはオーディオ機器やビデオデッキ、カメラなど日本の電化製品がたくさんあって、そういう意味でも日本の影響を受けて育ちました。韓国の電圧は日本と異なり220Vなので、変圧器を使わないと使用できないという不便さはありましたけどね。

――日本のカルチャーの中でも特に好きなものはありますか?

ジフン オタク文化が好きです。僕のオタクの先生でもある友人・エースケさんは、あらゆる文化に詳しく、彼が作るバッジは世界一だと思います! ぜひ彼のインスタグラムをチェックしてみてください(@esqwe)。

――そんなジフンさんがショップを始めたきっかけは?

ジフン 何かきっかけがあったというよりも、自分で何かを始めたいと思い、2008年に釜山の慶星大学エリアに小さなショップを開きました。当時の慶星大学エリアには釜山の中でもたくさんのクラブがあり、文化の中心地といえる場所でした。でもそこに店を出したのは、漫画・アニメ『スラムダンク』の流川楓が湘北高校を選んだのに似ていて、家が近かったからというのが一番の理由です(笑)。

――スタート当時はどんなアイテムをセレクトしていたんですか?

ジフン 自分が集めてきたものやお気に入りのスケートボードブランドの商品のほかに、日本のJAZZYSPORTのCDや僕の親友で韓国を代表するDJ・360 soundsのミックスCDも取り扱っていました。学生時代の夢がレコード店を経営することだったので、少しだけですが夢が叶った瞬間でした。

韓国発のセレクトショップ「SOUND SHOP balansa」

――セレクトアイテムだけでなく、オリジナル商品を作り始めたきっかけは?

ジフン 一番の親友でよき相談相手でもあるmake -1からのアイデアで、釜山と書かれたTシャツを作り始めたのがきっかけです。韓国で地域名が入ったTシャツを販売するというのは賭けに出るようなチャレンジでしたし、今考えても斬新なアイデアだったなと(笑)。釜山の新世界百貨店センタムシティ店にバランサのショップがオープンし、そのときにスタッフ用に作ったTシャツが現在のSOUND SHOP Tシャツの始まりになっています。

――今は釜山でも若者に人気のエリア・西面にお店を構えていますが、移転した理由は?

ジフン ショップの契約が終了したというのもありますが、お店の近くが飲み屋に変わってしまって営業していくことが難しくなってしまい、2018年に移転しました。西面は釜山の中でもたくさんの人が行き交う場所ですが、店を構えている田浦洞という場所は当時は工具店が立ち並んでいて、アパレルショップはバランサしかありませんでした。でも再開発がどんどん進み、今ではたくさんのカフェやヴィンテージショップが並ぶ通りになっています。

――お店でこだわっているところを教えてください。

ジフン BGMは店の第一印象になるものだと思っているので、音楽にはこだわっています。今もCDとLPレコードで音楽を流しているんです。また、香りも大切だと思うので、最近ではDUMBO INCENSE×バランサのお香を焚いています。

――“SOUND SHOP”を営むジフンさんの「音楽」への想いとは?

ジフン 音楽の専門家ではないので、音楽について話すのは少し恥ずかしいのですが、専門知識がなくても、いい音楽を楽しむことが重要だと思っています。僕はいつ、どこにいても音楽を聴いていますが、一日中音楽を聴きながら仕事ができるので、とてもいい職業だなと思いますね。

――日本を始めさまざまなブランドとのコラボ商品を手がけて、特に思い出深いものはなんですか?

ジフン オカモトレイジくんの助けで、彼が主催するYAGIとのコラボレーションと渋谷PARCOでのポップアップストアを実施したことが印象深いです。レイジくんがバランサを紹介してくれたのがきっかけとなり、たくさんの友だちができましたし、彼から多くのことを学んでいます。バランサは、彼だけでなく多くの友人が愛用してくれて、サポートしてくれています。友だちが愛用してくれることが、何よりも嬉しいです。

韓国発のセレクトショップ「SOUND SHOP balansa」

新しくできたOFFICEで作業するジフンさん。
デスク回りも宝物でいっぱい。

――日本と韓国、メンズファッションの違いはありますか?

ジフン 恐らくですが、多様性が違うと思います。韓国はトレンドの移り変わりが早いのですが、日本はマニアックなジャンルやコンテンツが長く続いていて。多様性があると思います。

――バランサでは、日本で人気の商品はどういうものでしょうか?

ジフン 僕のブランドの場合、日本の方に人気のアイテムは帽子ですね。ポップアップだけでなく、釜山のお店に直接来てくれる方もいて、この場を借りて感謝を伝えたいです。

――『smart』とのコラボの話が来たときの感想は?

ジフン 日本語が読めないので、僕にとって『smart』は内容を理解することができない雑誌でした。でも、文字は読めなくてもファッションを見ることはできますし、素敵な付録が付いているので、付録のために購入したこともありました。学生時代から憧れていた雑誌でもあります。そんな雑誌の付録を手がけることができるのは、僕にとって夢のようなオファーだったので、迷いなく引き受けました。

――これからの目標や展望を教えてください。

ジフン 目標は、『着実に前進していくこと』です。いつもインタビューでは話していますが、僕たちのような小さなショップがどこまで進んでいけるのか。それをずっと学びながら、一歩一歩進んでいっています。日本では、今後もアーティストとのコラボ商品やポップアップストアなどを行う予定ですので、楽しみにしていてください。

――最後に『smart』読者へのメッセージをお願いいたします!

ジフン たくさんの本と音楽を楽しんで、『smart』もたくさん買ってください(笑)。たくさんの本を読むことや、たくさんの音楽を楽しむことは、人生が健康で豊かになるための近道だと思います。

この記事を書いた人

映画配給会社を経て、出版社で企画立ち上げ、海外取材などを数々こなし編集長に就任。現在はベトナム・ハノイを拠点に、日本、韓国を飛び回りフリーランスの編集者として活動中。趣味はアクセサリー製作。インスタではベトナム情報をメインに発信中。

Instagram:@_kaori.soma

Website:https://smartmag.jp/

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