【映画『バジーノイズ』栁俊太郎インタビュー】繊細でリアルな若者像と、DTMをテーマにした新しい音楽青春映画は「背中を押してくれる優しく柔らかい作品」
執筆者: ライター/石野志帆
現代の繊細さを表現している音楽青春映画は大人でも楽しめる
──「今を生きる若者たちの心に届く音楽青春映画」がコンセプトの本作ですが、どのあたりが“今を描いている”と感じましたか?
栁 僕が10代の頃も『ソラニン』とか『BECK』とかいう音楽映画にはだいぶ影響されました。あのとき考えていた繊細な感情って、言葉にはできないんですよね。それを映画とか漫画とかで代弁してくれたことに、すごく救われていたっていう気持ちがあります。この作品も、そういう意味では昔と変わらないというか。もし僕が10代の頃にこの作品を観ていてもそう思うだろうし、その気持ちは割と一緒だと思うんですよ。若者が「やりたいことを見つけられない」とか「やりたいことに向かって行きたいんだけど……」っていう葛藤みたいなものって大枠としては変わらないと思います。でも『バジーノイズ』が「ちょっと現代っぽいな」と思うのは、まず音楽そのものがやっぱり全然違いますよね。昔のものに比べてもうちょっとプラトニックというか、無機質な色が強いと感じます。
──若者の葛藤や不安にも“今っぽさ”を感じましたか?
栁 “不安なもの”っていうのは、昔はもっとわかりやすく大きく「ドーン!」ってあったと思うんですよ。例えば「学校でのいじめ」とか「やりたいことが見つからない……」みたいに、“不安のプラットフォーム”みたいなのが一つだったと思うんですよね。昔はトピックが大きかった気がするんですけど、それがもっと細分化されていて、一つになるのが難しい……というところに“今っぽさ”を感じます。
──昔と比べて多様化している悩みも映し出されているんですね。
栁 昔みたい悩みがわかりやすかったら、わかり合える人の分母がでかいじゃないですか。でも多様化している中で悩みが細分化されていると、全部合致する人ってなかなか見つけにくいと思うんですよね。たぶんその細かさというか繊細さみたいなのが、『バジーノイズ』独特のもので、今までにない感じかなと思って。それがやっぱり音楽にも表れていると感じます。
──改めて映画『バジーノイズ』の見どころをお聞かせください。
栁 この映画は「一人で音楽をやるのもいいし、バンドでもいい。ただ『お前のやりたいことを、俺は応援するぜ!』」っていう背中を押す感じが今の時代に合っていて、優しく柔らかさのある映画だと思います。“説教くささ”は一切ありません。音楽青春映画なので、ティーンの子たちには絶対響くと思いますし、30代40代の方にも懐かしいって気持ちを抱かせつつ、メッセージ性のある映画でもあると思っています。人によっていろいろな青春があって、大人にだって青春はあると思うので、いろんな人に楽しんでもらえる作品だと思っています!
(了)
Profile/栁俊太郎
1991年5月16日生まれ、宮城県出身。2009年、第24回MEN’S NON-NOモデルグランプリを受賞。2012年、俳優デビューした後、『東京喰種トーキョーグール』シリーズ(17-19)、『弱虫ペダル』(20)、『るろうに剣心 最終章 The Final 』(21)、『猿楽町で会いましょう』(21)、Netflix映画『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』(23)などに出演。24年1月公開の映画『ゴールデンカムイ』では二階堂浩平/洋平の二役を好演し、話題をよんでいる。
『バジーノイズ』作品情報
主演:川西拓実(JO1) 桜田ひより
出演:井之脇海 栁俊太郎 円井わん 奥野瑛太 天野はな 駒井 蓮 櫻井海音 馬場園梓 /佐津川愛美 テイ龍進
監督:風間太樹
原作:むつき潤「バジーノイズ」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
Music concept design:Yaffle
主題歌:「surge」 清澄 by Takumi Kawanishi(JO1) ©︎LAPONE Entertainment
音楽プロデュース:菊地智敦 音楽:坂本秀一
脚本:谷口恒平、沖野浩孝、風間太樹
製作:映画『バジーノイズ』製作委員会
制作プロダクション:AOI Pro.
製作幹事・配給:ギャガ
2024/日本/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/119分
©むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会
公式サイト:https://gaga.ne.jp/buzzynoise_movie/
5月3日(金・祝)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
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写真=田中利幸
インタビュー・文=石野志帆
©むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会
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この記事を書いた人
TV局ディレクターや心理カウンセラーを経て、心を動かす発見を伝えるライター。趣味はリアリティーショー鑑賞や食べ歩き。海外在住経験から、はじめて食べる異国料理を口にすることが喜び。ソロ活好きが高じて、居合わせた人たちの雑談から社会のトレンドをキャッチしている。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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