【村上隆】主宰ギャラリーで個展開催!ディオールとのコラボにも登場した大谷工作室のオリジナルキャラクター怪獣『タニラ』の魅力に迫る
執筆者: smart編集部
ヒレと牙を持つ怪獣「タニラ」は、彫刻家・大谷工作室のオリジナルキャラクター。今年1月にはDIORのメンズコレクションにコラボアイテムが登場し、大きな話題に。「タニラ」をテーマとした大谷工作室による個展も2月17日まで開催された。
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「作者の分身のタニラ、長く見てほしい」という思いが込められている
東京・麻布のカイカイキキギャラリーで、大谷工作室の個展「タニラタニラタニラ」が開催された。展示された47点のほとんどが初公開、事実上の新作である。
美術大学では彫刻を学んだ大谷だが、卒業後は滋賀県信しらがき楽で陶芸作品を制作、そして彫刻や陶芸だけにとどまらずペインティングなどでも精力的に作品を制作。屋号の“工作室”というのはオールジャンルでアートに取り組みたいという本人の思いから来ている。
展覧会は日本だけでなく、パリ、ニューヨーク、上海、ソウル、香港など、世界各地で開かれていて、今回日本では約7年ぶりの開催となる。ペインティング作品では近年の大谷の作品で見られるようになった大きいサイズのものも登場していて、本人のスキル、気力、体力などが進化成長していることの証に他ならない。
さて、タイトルとなっている「タニラタニラタニラ」の“タニラ”とは大谷がずっと作っている怪獣で、大谷の“タニ”+ゴジラの“ラ”をミックスしたネーミングである。しかし本人に思いを聞いてみたところそこまでの怪獣マニアではないのだった。ではそのルーツは何なのだろうか。そこには大谷が若いときから強くインスパイアされているアルベルト・ジャコメッティの存在がある。一見するとヒョロヒョロでガリガリのジャコメッティの作品だが、見た目とは反対の力強いフォルムとパワーで空間を支配しているそのボリューム感は見る者を圧倒する。
ジャコメッティにそれらを作らせた源泉には昔の仏像やエジプトの彫刻などがあったというが、大谷はこう語っている。「僕はいまの時代に仏像を作るわけにはいきませんし、また誰か身近な人をモチーフにするというのも違います。そうしたときに昔からみんながイメージを共有できているもののひとつにゴジラがありました」。なるほど、ジャコメッティにとっての仏像が大谷にとってのゴジラであり、両者は時代を超えて世界的にレコグナイズされているアイコンという点で共通点がある。
「タニラは自分の分身」と語る大谷だが、会場内には様々なカタチや表情のタニラがあるが、どれも眠そうな半開きのまぶたが特徴づけるように、怪獣と呼ぶには少し優しくもの哀しいような表情だ。これについて大谷のコメントは「長く見られるものを作りたいんです、強い表情だとそんなに長い時間見ていられませんから。
そして最初に見たのと別の角度から見ると今度は違った表情になる、そんな作品を作りたいと思いました」というものだった。確かにどのタニラも、いつまでも見ていられるような不思議な雰囲気があった。会場にはペインティングから陶器、ソフビなど様々な素材で作られたタニラが展示されている。見ればきっと自分の好きなタニラがあるに違いない展覧会だった。
“DIOR & OTANI WORKSHOP” カプセルコレクション
Photography_SATOSHI OMURA
Text_HISANORI NUKADA
©Otani Workshop/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
※この記事は2024年smart3月号に掲載した記事を再編集したもので、記載した情報もその時点のものです。
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