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【水曜日のカンパネラ・詩羽インタビュー】壮絶な半生を初エッセイ本で明かす。マルチな活動で「愛」を伝えたい理由とは?

執筆者: ライター/石野志帆

水曜日のカンパネラ・詩羽『POEM』(宝島社)

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2024年3月15日(金)に初の書籍『POEM(ポエム)』(宝島社)が発売される「水曜日のカンパネラ」2代目ボーカリストの詩羽さん。台湾や日本各地で撮り下ろした写真の数々とともにつづられたのは、今まで誰にも語ってこなかった壮絶な半生だ。重く、苦しかった時期を経て、歌手・女優・モデルなどマルチに自己表現をする詩羽さんが、その活動を通して「愛」を伝えたいのはなぜか。その背景を鮮やかに書き下ろしたフォトエッセイについての想いを聞いた。

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3月15日(金)に自身初の書籍『POEM(ポエム)』を発売

水曜日のカンパネラ・詩羽『POEM』(宝島社)

“違和感”&“大人に対するヘイト”を表現。
撮り下ろし写真は「普通よりもっと面白く」

――台湾と日本各地で撮影されたそうですが、スタイリングやテーマでこだわったことや表現したかったことはありますか?

詩羽 全体的に普通の写真集よりもっと面白いものにしたくて「違和感があるスタイリング」っていうのをテーマにしています。ロリータと怪獣っていうテーマや、私服の感じの妖精に羽をつけるとか、セーラー服とロボットを合体させたのを洋風な場所で撮るとか、“組み合わせの違和感”を意識しましたね。あとは、オフィスでパンクロックなスタイルをした写真があるんですが、本でも書いた“大人に対するヘイト”みたいな感情がある中で、会社内で敢えてそうしたスタイルをするっていうのをやりたかったので、組み込みました。

水曜日のカンパネラ・詩羽『POEM』(宝島社)

水曜日のカンパネラ・詩羽『POEM』(宝島社)より

――撮影場所の台湾には昨年ライブでも行かれていますが、どんな印象ですか?

詩羽 人生で初めて行った海外が去年の頭に行った台湾なんです。日本が好きな方が多いところなので、みんなすごく優しくて、(ライブの)お客さんも本当に愛のある人たちが多かったんです。まだ2回しか行ったことないんですけど、この撮影の時に長居したこともあって、自分にとってすごく大事な場所になってます。

水曜日のカンパネラ・詩羽『POEM』(宝島社)

水曜日のカンパネラ・詩羽『POEM』(宝島社)より

――撮影を担当したのは、詩羽さんご自身が信頼を寄せる3名の写真家ということでした

詩羽 私がこの活動を始めるタイミングからお世話になった横山(マサト)さんと、学生のときに出会って、この活動を始める前から一緒に写真を撮ったり散歩に行ったりしてすごく仲が良い仲川晋平さんと野口花梨さんにお願いしました。あとはスタイリストさんもずっとずっとお世話になってる人と一緒に作り上げたくて、多くの人たちに関わっていただきました。1人1人に「これが合うだろうな」っていうのをお願いしたので、ベストな写真ができたと思っています!

水曜日のカンパネラ・詩羽『POEM』(宝島社)

機能不全家族で育ち、いじめ被害も。
「愛って大事」を伝えたかったホントの理由

――今回の自叙伝は、ご自身の壮絶な半生が書かれています。なぜ今このタイミングで、赤裸々に自身の経験を告白しようと思ったのですか?

詩羽 (3月16日に現体制になって初の)武道館ライブっていうのが、自分の中で一つの区切りだなと思っていて。この活動を始めて2年半になるタイミングですが、改めて多くの方に知っていただく機会になると思っているんです。これまでいろんな場所で「愛を大事にして生きていきたいね」って言ってきたなかで、言葉の重みが変わってくるのではないかと。ただただ愛されてきた人間が「愛って大事だよね」って言うのと、逆に愛が足りなかったからこそ「愛って大事だよね」と言うのとでは言葉の重みが違ってくるし、伝わる相手や響く相手が変わってくるなと思ったんです。区切りのいいこのタイミングだからこそ、いま発信するべきなんじゃないかと思いました。

――一歩踏み込んだ内容を書くのに、迷ったり怖れたりしたことはなかったですか?

詩羽 私は覚悟を決めたら割と行動が早いタイプなので、バーンっと書くことはできたんですけど、思い出したくないこともちゃんと思い出さなきゃいけなかったので、(メンタルが)落ちる日もやっぱりありました。でも「自分みたいに上手に生きられない人間を減らしたい」っていう思いがすごく強いんです。家庭環境や対人関係などで“人生に愛が足りてないタイプの人”が溢れている社会だと思うので、そこに届けるためには、自分が一番怖い「素直になる」っていう方法を取らないと、何も変わらないと思いました。

水曜日のカンパネラ・詩羽『POEM』(宝島社)

――より多くの方に届けたい言葉があったんですね

詩羽 自分の事をすごく支えてくださるファンの人たちにもちゃんと説明をしなきゃいけないなと思っていました。一方で、マイナスなところで渦巻きながら、まだ(自分の言葉が)届いていない人たちもたくさんいる。でも、今の私は「“ポップなだけ”に見えてる人間だな」って自分でも理解しているんです。“ポップなだけ”なやつの言葉なんて、やっぱ受け入れられないと思っていて。それだけでは自分のやりたいこと、変えたいことが何も変わらないな、と。その人たちにも届けられるように、ちゃんと言葉にしようと思いました。

この記事を書いた人

TV局ディレクターや心理カウンセラーを経て、心を動かす発見を伝えるライター。趣味はリアリティーショー鑑賞や食べ歩き。海外在住経験から、はじめて食べる異国料理を口にすることが喜び。ソロ活好きが高じて、居合わせた人たちの雑談から社会のトレンドをキャッチしている。

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