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【映画『PERFECT DAYS』】中野有紗がデビュー作で気づいた“今の東京”の魅力。そして語る「今」と「未来」

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smart創刊当初から続くスタイリスト・熊谷隆志氏の連載「Tokyo Fashion Tribe」。前回に引き続き、現在公開中の映画『PERFECT DAYS』で女優デビューを飾った中野有紗さんが登場。ヴィム・ヴェンダース監督は好きな映画監督の一人と語る熊谷さんと、映画談義に花を咲かせました。読めば『PERFECT DAYS』がさらに楽しめる、お二人の対談をお楽しみください!

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【映画『PERFECT DAYS』】中野有紗がデビュー作で気づいた“今の東京”の魅力。そして語る「今」と「未来」

中野有紗(smart12/24売り2月号「Tokyo Fashion Tribe」より)

年代ごとに解釈が変わるヴィム・ヴェンダース作品の魅力とは

熊谷隆志(以下、熊谷)「僕はヴィム・ヴェンダース監督作品の中では『ベルリン・天使の詩』が大好きなんです。若い頃はあまり分からなくて、ナスターシャ・キンスキーが出演していた『パリ・テキサス』のような作品が好きだったのですが、見返していくうちにどんどん心に染みるようになりましたね。『ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ』も印象的でしたね」

中野有紗(以下、中野)「私も今回のお話が決まる前から、『ベルリン・天使の詩』と『パリ・テキサス』は観ていました。『パリ・テキサス』は人の人情が表現されていて、心に響くものがありました」

熊谷「あと、映画の色みもいいんだよね。そして『PERFECT DAYS』は、2023年のカンヌ映画祭に招致され、主役を務めた役所広司さんが最優秀男優賞を受賞したことでも話題になりました。中野さんもカンヌ映画祭に参加されましたが、カンヌはどうでしたか?」

中野「これまでも家族で海外旅行に行ったことはあるのですが、ヨーロッパは初めてでした。ただ、向こうでのスケジュールが結構タイトだったので、街をゆっくり楽しむといったことは何もできなかったのがちょっと残念でしたね」

熊谷「レッドカーペットを歩いた感想は?」

中野「もう夢みたいな気持ちでした。今、思い返しても夢のようで『私、本当にカンヌに行ったんだっけ?』という気持ち。けれど、カンヌの会場での景色や空気を思い出すと、色んな方々がこの作品に対して色んな思いを込めて作られたので、その思いが観てくださった方々に伝わったんだなっていうのを肌で感じることができたので、今思い出しても鳥肌が立つくらいのすごい経験だったなと思いました」

熊谷「今回、素敵な作品に出演して、今後の目標はありますか?」

中野「演技に関してはまだ自分のやり方というものが明確になっていないのですが、映画に参加したことで、作品に関わる全ての人が、作品をまるで自分の子供のように愛して作っているんだということを肌で感じることができました。私もまた、他の作品に参加して、たくさんの方の思いやこだわりを汲み取りながら、最大限に表現できる人になれたらいいなと思っています」

熊谷「撮影中で印象に残っていることは? ヴィム・ヴェンダース監督の視線を通した“今の東京”を感じる場面はありましたか?」

中野「完成した映画を観たときに、ストーリーの合間に映る数秒の風景がステキでした。木々の揺れる木漏れ日が降り注ぐシーンなどを繊細に捉えていたので、東京に住んでいても見落としがちな自然の景色や空の美しさも表現されていたのが、とても印象的でした。やはり、ヴィム・ヴェンダース監督ならではの視点なんだと感じました」

熊谷「中野さんは現在高校3年生。将来の夢は?」

中野「大学進学も視野に入れつつ。モデルや女優として表現するというお仕事を続けていきたいと思っています」

【映画『PERFECT DAYS』】中野有紗がデビュー作で気づいた“今の東京”の魅力。そして語る「今」と「未来」

ダウンジャケット¥77,000/WIND AND SEA(franky☎03-5708-5757)、その他/スタイリスト私物

Profile/中野有紗(なかの・ありさ)
モデル・女優 モデルとして 広告や雑誌などで活躍中。ヴィム・ヴェンダー ス監督作品『PERFECT DAYS』に役所広司演じる主人公の姪役で出演。現在、公開中。

Profile/熊谷隆志(くまがい・たかし)
1994年スタイリストとして活動を開始。1998年フォトグラファーとしての活動もスタート。 広告・雑誌等で活動するかたわら、様々なファッションブランドのブランディングやショップ内装、植栽のディレクションなど、幅広い分野で活動。公式Instagram@takashikumagai_official

PERFECT DAYS
現在、TOHOシネマズシャンテほかで公開中

【映画『PERFECT DAYS』】中野有紗がデビュー作で気づいた“今の東京”の魅力。そして語る「今」と「未来」

【映画『PERFECT DAYS』】中野有紗がデビュー作で気づいた“今の東京”の魅力。そして語る「今」と「未来」

ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース監督が役所広司を主演に迎え、東京の渋谷を舞台にトイレ清掃員の男が送る日々の小さなゆらぎを繊細に描いた物語。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され役所広司が日本人俳優としては2人目となる最優秀男優賞を受賞。

監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース、 高崎卓馬
製作:柳井康治
出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和
製作:MASTER MIND
配給:ビターズ・エンド
2023/日本/カラー/DCP/5.1ch/スタンダード/124分
ⓒ 2023 MASTER MIND Ltd.

撮影&スタイリング=熊谷隆志
ヘアメイク=小澤麻衣(mod's hair)
インタビュー&文=佐藤玲美

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佐藤玲美

佐藤玲美

東京在住のライター・エディター。『smart』『sweet』『steady.』『InRed』など、ウィメンズ、メンズを問わず様々なファッション誌やファッション関連のwebでライター&編集者として活動中。写真集やスタイルブック、料理本、恋愛心理、インテリア関連、メンタル&ヘルスケアなどの本の編集にも携わる。独身。ネコ好き。得意ジャンルはファッション、ビューティー、インテリア、サブカル、音楽、ペット、料理、お酒、カフェ、旅、暮らし、雑貨など。

Instagram:@remisatoh

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