「あなたの精子の状態は芳しくない」衝撃の一言から、アラサー男子の精子運動率が3カ月で約1.5倍になるまで
執筆者: ライター/佐藤隼秀
「あなたの精子、芳しくない状態ですね……」
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今年の4月なかば、筆者はとあるメンズクリニック(薄毛・ED・男性更年期・男性不妊など、男性の美容と健康に特化した男性総合クリニックのこと)の担当医に、こう告げられた――。
筆者は今年で28歳になるアラサー世代。男性の初婚年齢の全国平均も近づき(2021年の厚生労働省のサイトによると30.4歳)、周りの同級生も結婚・出産が増えていくなか、ライフステージの変化が他人事とは思えなくなっている自分がいた。
そこで結婚や出産についてネットで調べてみると、一定数のカップルが「不妊」に悩んでいることを知る。「不妊治療」「妊活」というと、どこか“女性主体の問題”というイメージがあった。
しかし、2017年にWHOが発表したデータによれば、不妊に悩むカップルの約半数が、男性に原因があるケースだったという(不妊カップルの定義は、避妊せずに1年以上かけて性行為しても妊娠できないとする)。
さらに調べていくと、精子はデリケートで、生活リズムや食生活、酒やタバコ、ストレスによって、その時の健康状態も大きく変化するらしい。今では男性が健康状態に気を使うことや、健康課題をテクノロジーでケアすることを「メンテック(「Men=男性」と「Technology=テクノロジー」を掛け合わせた)」と表現する造語も浸透してきている。
フリーライターという仕事柄、生活リズムは昼夜逆転、締め切りに追われるストレスの反動で過剰な飲酒に喫煙、食事は外食メイン……。荒んだ生活習慣だからこそ、自分の健康状態も気になる。
ということで今年の春、筆者は自身の精子検査を行おうと思い立った。
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ただ、病院で精子検査を受けるとおおよそ5000〜10000円かかるうえ、わざわざ病院に行くのも面倒臭い。そこでネットで見つけたのが、自宅で簡易的にできる精子検査キット。その中でも手頃な1650円(税込)で入手できるのが、TENGAヘルスケアから展開されている「TENGA MEN’S LOUPE(以下メンズルーペ)」だ。
あくまで「医学的な判断をするものでない」と注意書きがされているものの、Amazonのレビュー数は3500を超え、平均星4.1の評価がついている。それなりに信頼できそうなので、早速購入して、結果を専門医に分析してもらった。
その結果が、以下の画像だ。
今回使用したスマホ用精子観察キット「TENGA MEN’S LOUPE」
精子の拡大画像
精子の結果
結果は、精子数が2615万匹、濃度が3126万匹、運動率が21.8%となった(すべて1ミリリットルあたりで換算した数値)。また精子を拡大すると、おたまじゃくしのようにうじゃうじゃ動いている様子に少し驚いてしまう。
この結果が良いのか悪いのか無知な筆者が、のんきに医師(福元メンズクリニックの福元和彦先生)に結果を見せたところ、最初に言われたのが冒頭の一言というわけだ……。
福元メンズクリニックの福元和彦先生
正直、アラサーとはいえまだ20代。精力も衰えていないし、まさか自分の精子が「芳(かんば)しくない」と言われるほど深刻だったことが少しショックだった。
筆者:あの……精子の状態が芳しくないというのは、どういうことなのでしょうか?
福元:精子の数や濃度は問題ないですが、運動率が極端に低いです。『あくまでも大体これぐらいあれば女性が妊娠しやすい』という基準で話すと、1ミリリットルあたり、精子の数が大体2000万匹、濃度が1600万匹、運動率は40%、精液量は3ミリリットルです。あくまでもこの数値は全世代の平均なので、20代ならもう少し高くてもいいという感じですね
筆者:運動率が悪いのはなぜですか?
福元:それは完全に、不摂生や生活リズムの乱れですね。簡単に言ってしまうと、精子の運動率が悪いのは、内臓などの状態が悪くて精子に元気がない状態なんです。精子の数がどれぐらい作られるかは先天的な体質で決まりますが、どれほど精子が健康かはその時の健康状態に左右される部分が大きい。
精子ってかなりデリケートなので、日によって検査も結果もだいぶ変わってきます。例えば、深酒した翌日に測ると、運動率が約20%近くまで減少してしまうケースも。その日の健康状態が反映されやすいんですよ
筆者:逆に言えば、改善しやすいということですか?
福元:そう! 精子って完成形になるのに約70日かかるんですよ。その間に、生活習慣に気をつければ安定的に数字が向上してきますよ!
まず食生活。夜に、ファーストフードなどで使用される質の悪い油や、糖分が多く含まれる食品、炭水化物を食べると、太る原因にもなりますし精子にも良くないんです。
それにタバコと酒は控える。特にタバコは絶対ダメです。特にタバコには体内の細胞を壊す酸化作用があり、1本でも吸ったらかなりの悪影響。酒も1日ビール2〜3缶ほどに抑えましょう。
あとはストレスをかけないこと。単純に考えて、男性は興奮すればするほど射精時にたくさん精液が出るんです。逆に性行為の最中に、翌日の仕事のことや憂鬱(ゆううつ)なことを考えてしまうと興奮度は下がってしまう。スムーズに妊活を進めていくためには、余計なストレスを抱えないことが重要です。それから……。
親切に対策を教えてくれる福元先生だが、話を聞きながら上の空になっていった筆者。健康な食事、断酒に禁煙、ストレスフリーな環境……。
(正直、まったく実現できる気がしない」)
(規則正しい生活を約70日も送るなんて無理!!)
改善策を列挙していく福元先生に痺れを切らし、思わずこう聞いてみた。
「あの……もっと簡単な方法ないですか?」
正直、こんな元も子もないことを言ったら嫌な顔をされるかもしれない……。少し不安になりながらも、福元先生はある男性妊活向けのサプリを紹介してくれた。
このサプリは、ヒマラヤ山脈の植物性有機物などから抽出された「シラジット」の精製粉末であるプリマビエをメインとし、これら栄養素の吸収を促進するコエンザイムQ10などが含有されている。
「来院した患者さんにもよくこのサプリを勧めているのですが、約3カ月飲み続けることで精子の量、濃度、運動率に変化がみられます。特に生活習慣を変えずとも数値の変化が見られるので、とりあえず妊活したい人にはおすすめ。それにプリマビエには精液の量が増える効果もあるので、性的な快感も増すんですよ。単純に、射精時の快感って、精子が出る量に比例すると言われているので。あとビタミン類も日常生活のさびつきも取ってくれて、元気で健やかになる。そういったことから体の体調が整う効果もあるので、妊活後にも継続して飲んでる患者さんもいますよ(福元先生)」
価格は、30日分で税込約4000円、1日あたり約140円。特に数値が低い人は改善の余地も大きいということで、飲むだけなら試してみよう……と、妊活の第一歩を踏み出した筆者だった。
そしてサプリの飲用を始めてから3カ月。特に生活習慣で変えたところとしては、深夜の食事を控えたぐらい。純粋にサプリの効果を検証したかったので、あえて生活習慣は変えずに過ごした。
そして肝心の結果がこちら。なお精子は計4日間分を計測した。
サプリ摂取後の精子データ画像
左の画像が、4日間のなかで1番数値が良かった結果。逆に、右は1番微妙だった時だ。サプリ摂取後の4日間の平均としては、精子の数や濃度は約2倍に、運動率は約1.5倍に、精液量は微増したという数値だった。
正直、1カ月4000円ちょっとで、生活習慣もほぼ変えずにここまで結果が出るなら上々だろう。
今後は生活習慣も改善し、さらなる数値の改善を目指そうと思った筆者。そこで福元先生は、簡単かつ妊活にプラスに働く“4箇条”を伝授してくれた。
「1つ目は、週に2〜3回は射精すること。よくある勘違いとして、精子を出しすぎると薄くなるから良くないと思われがちですが、精子が生成されるスピードは速いので気にしなくても大丈夫です。逆に、精子を溜めすぎると精子を作る機能が抑制されるので、適度に射精するように意識しておきましょう。
2つ目は、適度な運動をすること。家でゴロゴロするよりは、軽く散歩をするだけでも男性ホルモンが分泌されるので良いでしょう。ただし疲労困憊(こんぱい)するぐらいの過度な筋トレは、逆に男性ホルモンが出尽くしちゃうので注意しましょう。
3つ目は、性交渉は朝がオススメ。朝は男性ホルモンも高まっているうえ、朝勃ちを利用することもできる。それに就寝前の夜は、昼間の仕事のストレスや、明日やらなきゃいけないタスクを思い出しがちで、性交中も興奮しづらいことが多い。それなら何も考えずにいられる朝のほうがタイミングとしてはオススメです。
4つ目は、デスクワーク中にストレッチをすること。精子は34℃前後で1番作られるようにできているので、蒸れたり血流が悪くなったりすると、睾丸の温度が上がって死滅してしまうんです。そこで気をつけたいのが、長時間のデスクワークで血流が悪くなること。特に足を組んだりすると余計に悪影響なんですね。そこで適度に、スクワットや足のむくみを解消するストレッチをするのが、健康な精子を保つためにも効果的です」
確かに、規則正しい生活をキープするのは難しいうえ、妊活という言葉を聞くと「どこか大変そう」「何をしていいかわからない」と、ハードル高く感じてしまう読者も多いはず。ただ、簡単なストレッチや射精するタイミングを調整する程度なら続けられる。
しかも、自分の精子の状態を知ることは、“自身の健康状態を知るための手段”としても機能する。自分の生活習慣が乱れてないか、慢性的にストレスを抱えていないかの、判断材料の1つにも使えそうだ。
精子を観察する行為を通して、妊活や、自分の健康、体調も意識するようになった筆者。簡単なことからでも始められることは多そうだ。
文=佐藤隼秀
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この記事を書いた人
1995年生まれ。大学卒業後、競馬関係の編集部に勤め、その後2021年頃から本格的にフリーライターに。Webメディアを中心に、マネー、芸能、ノンフィクションなどを執筆。趣味は飲み歩き、競馬、読書。好きなお酒はキンミヤのソーダ割り。
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