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【妊活のヒントを医師に聞いた】精子量、精子濃度、精子運動率ほか、男性が意識すべき“妊活のイロハ”

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過去40年近くの間で、男性の精子の量は50%以上減少している――。2017年7月に発表された「Human Reproduction Update」という学術誌から、衝撃的なデータが公表されているのをご存知だろうか。同学術誌によれば、ヨーロッパ、北米、オーストラリア、ニュージーランドなどで暮らす男性を対象に、1回の射精時に含まれる精子の総数を計算したところ、1973年から2011年の間で約59%も少なくなっていたという。明確な原因は特定されていないものの、世界的に男性の精子が年々減少していることが明らかになっている。

妊活は女性だけの問題ではない

アラサー男性の筆者にとって、このデータは他人事とは思えなかった。結婚やパートナーの出産も視野に入ってくるなか、自分の精子に問題があって妊娠ができなかったら……と、ちらっと不安がよぎる。

また、厚生労働省が2020年に発表した「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」によれば、夫婦全体の約2.6組に1組が不妊を心配し、約4.4組に1組が実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)という。

そこで筆者も、妊活の第一歩として自分の精子を調べてみた。TENGAヘルスケアから発売されているスマホ用精子観察キット「TENGA MEN’S LOUPE」を使って、射精時にどれぐらいの精子が含まれているのかをチェックしてみた(前回記事のリンク)。

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精子の状態は4つのバロメーターから判断される。1回の射精時に含まれる「精子の総数」「精子の濃さ」「精子の運動率」に、1回の「精液量」だ。これらの数値が総合的に上がれば上がるほど、卵子への着床率も上がり、妊娠しやすいと言われているらしい。

筆者の結果は、“精子の運動率”だけ基準値の半分の結果に。まだ20代にもかかわらず芳しくない数字が出てしまったが、一体どのように改善すればいいのか。福元メンズヘルスクリニックの福元和彦氏に、改善策や効果的な妊活方法を聞いた。

【妊活のヒントを医師に聞いた】精子量、精子濃度、精子運動率ほか、男性が意識すべき“妊活のイロハ”

タバコは1発アウト

――なぜ、“精子の運動率が低い”結果が出てしまったのでしょうか?

福元和彦氏(以下、福元) 精子の運動率だけ低い方は、生活習慣が悪いのが原因です。着床できる精子がどれぐらい作られるかは先天的に決まりますが、精子が元気かどうかは射精時の健康状態に左右されます。簡単に言ってしまうと、精子の運動率が低い時は、全身の臓器がうまく機能していない状態なんです。食生活や生活リズムを改善すると運動率も如実に上がってきますし、精子の運動率によって、その時の健康状態が把握できると言っても過言ではないでしょう。

――具体的にどのように生活習慣を改善すればいいのでしょうか?

福元 基本的なことですが、大きく3つあります。

1つ目は「食生活」。ファストフードなどで使用される質の悪い油や、糖分が多く含まれる食品ばかり食べるのは避けましょう。逆に摂取すると効果的なのが、サーモンやいくら、アボカド、青魚。サーモンやイクラには、アスタキサンチンと言う強力な抗酸化作用を持つ成分が含まれており、精子を健康に保ってくれます。アボカドや青魚に含まれる良質な油は、精子の量や質を向上させる効果があります。

2つ目は「タバコ、酒を控える」。特にタバコには体内の細胞を壊す酸化作用があり、1本でも吸ったらかなりの悪影響。もともと精子はかなりデリケートなうえ寿命も短いのに、喫煙によって鮮度が失われてしまうため、より妊娠しづらい精子に劣化してしまうのです。また、日常的にアルコールを摂取している男性は、精液の質や量が低下します。1日で350mlの缶ビール2本程度に留めておけば問題ないので、ほどほどにしておきましょう。

3つ目は「ストレスを抱えない」。単純な話ですが、男性は興奮すればするほど射精時にたくさん精液が出ます。逆に性行為の最中に、翌日の仕事のことが頭から離れないとどうしても興奮度は下がりますよね。精液をたくさん出して、スムーズに妊活を進めていくためには、余計なストレスを抱えないことが重要です。

長時間のサウナもNG

――生活習慣以外でも、気をつけておくべきことはありますか?

福元 精子は、34℃前後で1番作られるようにできています。陰のう(金玉袋)って股間からぶら下がっていますよね。あれは体内の体温が36~37℃なので、そこから距離を置くことで、温度が高くなって精子が死滅するのを防いでいるんですよ。よくお風呂上がりに陰のうの皮がビヨーンと伸び切ってるじゃないですか。あれはふやけているのではなく、熱を放出している証拠なんです。

だからこそ「サウナや長時間の入浴」「長時間のデスクワーク」「通気性の悪いブリーフの着用」など、長時間にわたって陰のうを温めてしまう行為は注意したほうがいいでしょう。

――逆に、健康な精子を生成するために必要なことを教えてください。

福元 手軽に精子の量や質を改善したい場合は、サプリを摂取するのはどうでしょう。例えば、「TENGA MEN’S LOUPE」と同じTENGAヘルスケアが販売している、「精育支援サプリメント」というモノがあります。サプリには、精子の生成を促す亜鉛に、抗酸化作用を持つビタミン群、精子量増加に寄与するプリマビエというミネラル、これら栄養素の吸収を促進するコエンザイムQ10などが含まれています。

来院した患者さんにもよくこのサプリを勧めています。個人差ありますが、3カ月飲むことで精子の量や運動率が平均150%前後まで改善されています。

【妊活のヒントを医師に聞いた】精子量、精子濃度、精子運動率ほか、男性が意識すべき“妊活のイロハ”

TENGAヘルスケアから展開されている「精育支援サプリメント」。30日分で税込4298円

精子を溜め込むのは逆効果

――妊活で意識したほうが良いことはありますか?

福元 よくある勘違いとして、“禁欲して精子を溜めれば着床しやすい”と思い込んでいる方は多いですが、これは逆効果です。前述の通り、精子はとてもデリケートで鮮度が失われるのも速い。寿命は約3日間と言われています。排卵日に合わせて精子を溜めて、渾身の一発を出そうとする男性もいますが、すでに古い精子は生きていないので意味がないんですね。大体、最後に射精してから2日後に性行為するのがベストなタイミングでしょう。

しかも射精する頻度が少ないことで、身体が“精子を作らなくていい”と思い込んでしまう危険性もあります。精巣でも貯蔵できる精子は10億個ほどと言われており、1秒間に約1000〜1500個ほどの精子が作られるので、大体10日間ほどで貯蔵量は上限に達します。満タンに溜まった状態が続くと、精子を作る機能が抑制されるので、適度に射精するように意識しておきましょう。

――なるほど。大体どれぐらいの頻度で射精するのが健康的なのでしょうか?

福元 1週間に2~3回は射精するのが良いでしょう。精子自体の生産能力は35歳をピークに下降していきますが、精子が元気かどうかは適度に性行為や射精をしているかで変わります。もちろん出し過ぎも弊害ですが、こまめに発散しておくことが重要です。

あともう1つ、精液量が多いから妊娠しやすいという勘違いもあるあるです。たとえ精液がたくさん出ていても、その中に精子がまったく含まれていない、元気がなかったら元も子もないですよね。だからこそ精子検査を一度行うのが大事なんです。目に見える精液ではなく、顕微鏡を通してみないとわからない精子の質や運動率など、総合的に把握しておくことが、男性の妊活の第一歩だと思いますね。

 

ここまで精子の運動率を回復させるため、色々と改善策を聞いてきた筆者。そこで、まず手軽に始められるサプリの摂取を始めることに。福元氏イチオシTENGAヘルスケアの「精育支援サプリメント」を購入し、3カ月ほど飲んでみた。次回は、実際に数値はどう改善したのかをレポートする。

この記事を書いた人

佐藤隼秀

佐藤隼秀

1995年生まれ。大学卒業後、競馬関係の編集部に勤め、その後2021年頃から本格的にフリーライターに。Webメディアを中心に、マネー、芸能、ノンフィクションなどを執筆。趣味は飲み歩き、競馬、読書。好きなお酒はキンミヤのソーダ割り。

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