【映画『バービー』ネタバレあり】女優・山谷花純が鑑賞後に思ったこと「好きという根本的な価値観こそ、いくつになっても進むべき道を照らしてくれる」
私、山谷花純の映画連載『ALL IS TRUE』。8月11日より「可愛いは正義!」とばかりに声高らかに公開された映画『バービー』の完成披露試写会へ皆様より一足早く足を運ばせていただき、レビューを書かせていただきます!
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2人のビジュアルが完璧に投影されていてすごい!
試写会当日、胸を躍らせて劇場へ訪れると、まず目に飛び込んできた光景に圧倒された。あたり一面、ピンク!ピンク!ピンク!夢憧れるバービーと同じファッションに身を包んだファンの方々で溢れ返っていたのだ。バービーファンは年代が幅広く、幼い子供から大人まで。今なお続くバービーの歴史を鑑賞前からひしひしと感じ、高揚感でチケットが折れ曲がった。
まぶしいほど煌(きら)びやかで完璧な毎日を繰り返す“バービーランド”と、日々老いと変化をくり消す“人間界”の交差を描いた今作。マーゴット・ロビー演じる主人公・バービーとライアン・ゴズリング演じるケン。2人のビジュアルは、ファンを唸らせるほど完璧に投影されていた。変化がないバービーランドに身を置くバービーとケンは、“見た目は大人で心は子ども”。“見た目は子どもで心は大人”という、どこかで聞いたことがあるフレーズの真逆なのだ。世界的に実力派と認知されている主演の二人が、真面目に全力で振り切る姿につい吹き出してしまった。
物語が大きく動き出すのは、ある日バービーの踵(かかと)が地面に着いてしまった瞬間から。バービーの代名詞でもある“バービー・フィート”(ハイヒールを履くように踵を上げた状態)が地面にべったり!毎日が完璧であるバービーランドに突然舞い降りた非日常。大事件だ。その変化の原因を突き止めるべく、遠く離れた人間界へバービーと一緒になぜかケンも一緒に出かける。
私たちにとって、変化とはごく日常である。油物を沢山食べた翌日、頬っぺたに大きなニキビが出没して後悔したり。昨日と今日を比べ、得たものとなくしたものなど、様々な度合いの変化を数えたら両手に収まらない。
そんな我々人間たちの“普通”に触れ、新しい価値観を学んだ二人が出す答えとは何か。時計の針を止めることができる存在など無に等しい。子供の頃、一度は口にしたことがないだろうか?「早く大人になりたい」と。時を経て大人になった今、時代の変化と同じくらい、心身共に自分の変化が止まらない現実にブチ当たる。
人はないものねだり。だからこそ大切にしたいこと
現状維持を求めれば、現状以上の新しい努力を強いられる。そんな悩みを抱いていた私にとって、今作との出会いで改めて痛感させられたことがあった。人はないものねだりであること。目尻に浮かぶシワの数だけ、その人にしか歩めなかった歴史がある。そして、重力に抗えなくなってきた姿になっても、心の形を変える必要はないと。「女の子」「男の子」と呼ばれていた当時、口にできていた“好き”という根本的な価値観こそ、いくつになっても進むべき道を照らしてくれる大切な人生のパートナーなのかもしれない。
今回ご縁が繋がり、今作の監督を務めたグレタ・ガーウィグさんとお話しすることができた。言葉は通じなくとも、作品への情熱や彼女の中に確かにある人生プランを語る眼差しに、簡単な言葉で表すと“ワクワク”した。国境を越え、物作りが好きな者同士が集い、短時間であれど意見交換ができたことが嬉しかったのだ。そして幼い頃から今に至るまで、「私は、人が好き」という変わらない軸を再確認できた瞬間でもあった。
映画『バービー』に導かれたグレタ監督との出会いは、十数年経ちシミや皺が増えた自分の心の中でも色褪せずにきっと存在し、今作が自分の中に眠る本当の好きを再確認する一つのきっかけになりますように!
ジャケット/AKIKO OGAWA(BRAND NEWS ☎03-3797-3673)、シューズ/ジェフリーキャンベル(ジェフリーキャンベル ラフォーレ原宿店 ☎03-6434-0335)、ピアス・リング・ブレスレット・ネックレス/以上すべてアビステ(アビステ ☎03-3401-7124)、トップス・スカート/ともにスタイリスト私物
『バービー』
8月11日(金)全国ロードショー
あらすじ
どんな自分にでもなれる完璧で<夢>のような毎日が続く“バービーランド”で暮らすバービーとボーイフレンド(?)のケン。ある日突然身体に異変を感じたバービーは、原因を探るためケンと共に〈悩みのつきない〉人間の世界へ!そこでの出会いを通して気づいた、“完璧”より大切なものとは?そして、バービーの最後の選択とは――?
キャスト:マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング、シム・リウ、デュア・リパ、ヘレン・ミレン他
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ
脚本:ノア・バームバック
プロデューサー:デイビッド・ヘイマン
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
公式サイト:barbie-movie.jp
公式Twitter:@BarbieMovie_jp
公式Instagram:@barbiemovie_jp
Profile/山谷花純(やまや・かすみ)
1996年12月26日生まれ。宮城県出身。みやぎ絆大使。2007年、エイベックス主催のオーディションに合格し、翌年ドラマ『CHANGE』でデビュー。18年、映画『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』で末期がん患者役に丸刈りで臨み注目される。また、主演映画『フェイクプラスティックプラネット』がマドリード国際映画祭2019最優秀外国語映画主演女優賞を受賞した。22年放送のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では比企能員の娘・せつ役を好演し、今後が期待される女優。主な出演作は、映画『告白』『寄生獣』『耳を腐らせるほどの愛』『人間失格 太宰治と3人の女たち』『天間壮の三姉妹』、ドラマ『あまちゃん』『ファーストクラス』『私の正しいお兄ちゃん』『liar』、舞台シェイクスピアシリーズ『ヘンリー八世』『終わりよければすべてよし』など。23年春の朝ドラNHK連続テレビ小説『らんまん』では主人公の万太郎の住む十徳長屋の住人で小料理屋の女中、宇佐美ゆうを演じている。朝ドラは『おひさま』『あまちゃん以来、3度目の出演。
山谷花純公式インスタグラム:@kasuminwoooow
山谷花純公式ツイッター:@minmin12344
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文=山谷花純
写真=斎藤大嗣
スタイリング=高橋美咲(Sadalsuud)
ヘアメイク=永田しおり
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