「サウナが流行ったのはサウナには上手い、下手がないから」ととのえ親方&サウナ師匠が紐解く“サウナ―急増の理由”
執筆者: smart編集部/熊谷洋平
とどまることを知らないサウナブームだが、そのけん引役とも言えるのが、“ととのえ親方”こと松尾大さんと“サウナ師匠”こと秋山大輔さんの二人だ。TTNE株式会社の“顔”とも言える二人に、今後のサウナ業界をどうしていきたいかという知られざる野望を聞いた。聞き手は「smartサウナ部」部長のスタイリスト・有本祐輔さんとsmartサウナ部員兼編集部員の熊谷でお送りします。
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お母さんに「ちょっとサウナでも入ろうぜ」
と言うのって最高に親孝行じゃない?
編集部 ここまで、「寒の地獄温泉」に「暖の地獄サウナ」を作るという、Makuakeプロジェクトについてお話を伺ってきましたけど、smartサウナ部長の有本さんからも何かお二人と話したいテーマみたいなものはありますか?
有本祐輔(以下、有本) 僕は週末に結構いろいろなところにサウナに行ってるんですけど、来週末は高知の「Saunaグリンピア」のこーへーさんと二人で愛知にサ旅に行ってきます。愛知のおすすめサウナはありますか?
ととのえ親方 愛知は「KIWAMI SAUNA」ができていたり、元々ウェルビーのサウナがいくつかあるじゃない?だからウェルビーグループは全部行っとくべきだよね。今だと栄と今池にありますよね。
サウナ師匠 「Private Sauna EXIT」も行ってください!あとは豊橋ですけど「サウナピア」とか。「サウナピア」は休憩室にあるテレビがすごくない?12台くらい並んでいて、1チャンから12チャンまでテレビ局みたいに全部映ってる(笑)。全然サウナと関係ないんですけど(笑)。
一同 爆笑
ととのえ親方 あと、サウナじゃないけど、きしめんがめちゃくちゃ美味いところがある。「東山ニコ天」っていう、水風呂を連想させるきしめんを出すところがあるんですよ。
サウナ師匠 きしめんの麺も、結局一度温めて茹でられて、その後相当冷やされてるという意味では他人事ではない(笑)。
一同 爆笑
編集部 麺を締めるのとサ室後の水風呂は一緒ですね(笑)。
ととのえ親方 「東山ニコ天」は行ってほしいなぁ~。きしめんは駅で食べちゃダメ。名古屋駅とか住吉駅で食べないで、あれはあれで美味しいんだけど(笑)。あとあそこじゃないですか、森實(もりざね)さんのところ。
サウナ師匠 そうだ、オフィスサウナ!会社の一番上に、オフィス内にサウナを作っているんですよ。「LUOVA SAUNA(ルオヴァ・サウナ)」っていうサウナなんですけど、「タマディック」っていう会社の、坂茂(ばん・しげる)設計の新社屋の一番上のフロアにあります。
有本 そこは一般の方も入れるんですか?
ととのえ親方 入れないけど、言えば入れる。連絡して、「取材だ」と言ったらちょっと開けてもらえると思う(笑)。
編集部 そもそもそのサウナは社員のためのサウナっていうことですか?
サウナ師匠 そう。その上、駐日フィンランド大使公認サウナです。
編集部 駐日フィンランド大使公認サウナって日本には少ないんですか?
ととのえ親方 日本だと初めてじゃないですか?別に大使公認って言っても、なんてことはないんだけど(笑)。
サウナ師匠 フィンランド式サウナがあるっていうことよりも、会社の中にそういうサウナを作ったっていう、その取り組みに対して公認しているっていうことみたいです。実際フィンランドの大企業は、役員フロアにサウナがあったりという慣習が元々あるから、それを取り入れたっていう意味での公認ですね。
編集部 フィンランドはオフィスにサウナがあるっていう会社が多いんですね。
ととのえ親方 社屋にもあったり、ホテルの会議室みたいなところにサウナがあって、サウナでみんなでミーティングしたりっていうのが結構あるんですよ。フィンランドには文化としてそういうのがあるから。
編集部 そうなんですね。次に、お二人は全国各地に行かれていて、日本だとどのエリアにサウナの盛り上がりを感じますか?
有本 北海道がすごくないですか?5月頭のゴールデンウィークは北海道・釧路の「THE GEEK」に行ってきました。日本で最後の桜も咲いていて、最高でした。
ととのえ親方 釧路の「THE GEEK」もいいし、あとは……帯広、知床エリア。釧路から足を伸ばすと、知床の「北こぶし知床 ホテル&リゾート」とか。ほかにも僕がね、すごく大好きなところが一つあって、あれあれ、女満別(めまんべつ)空港から1時間ぐらいなんですけど、養老牛温泉(ようろうしおんせん)。そこの「湯宿だいいち」っていう宿があるんだけど、そこは素晴らしいね。目の前が川でさ、川に入れるから。知床の北こぶしに行って養老牛に行って、それでGEEK行ってとかだと、サウナ旅としても面白いですね。
編集部 あと野球好きとしては、北海道といえば「エスコンフィールドHOKKAIDO」も外せないですよね。サウナに入りながら野球観戦ができるという新しい観戦スタイルをTTNEでプロデュースされましたけど、今のところ反響はいかがですか?
ととのえ親方 やっぱりみなさん面白がってくれていますね。あれは世界初だからさ、何がどうなるかわからないんだよね。ただやっぱり面白いよね。
有本 サ室にもテレビが付いているんですか?
ととのえ親方 付いています。
編集部 開幕したときに、(ととのえ)親方がサ室内でメガホンを一生懸命叩きながら応援されてるのをテレビで拝見しました。
ととのえ親方 そうそう(笑)。だからいろんな人に来てもらいたいなと思ってます。年齢層もバラバラで、おじいちゃん世代の人も子供たちもいるし。
サウナ師匠 日帰り入浴ができるっていうのもすごいよね。しかも入浴料は2500円ですよ!
ととのえ親方 試合が終わった後にサウナに入ってから帰る人もいます。
サウナ師匠 そうすると渋滞回避にもなりますね(笑)。観に来る人は試合に出てないから、疲れていないはずなんだけどね(笑)。
有本 「エスコンフィールドHOKKAIDO」はみんな車で来るんですか?
ととのえ親方 やっぱり試合がある日は駐車場に停めるのも争奪戦なのね。でも、試合のない日は車で行って、車を停めてサウナだけ入ることもできますからね。試合がなくても、球場を眺めながらサウナを楽しむこともできるので。試合を観なくても、全然それはそれで俺はいいと思うんだけどね。3年前くらいから日本ハム球団と密にやり取りして完成させることができました。3年間、月4回、週1ぐらいは球団側とひざを突き合わせて打ち合わせをしていました。
編集部 ちなみに、サウナ施設をプロデュースする場合、1施設あたり完成までにどれぐらいのスパンがかかるんですか?
ととのえ親方 短いのだと半年とか、長いのだと1~3年とか、プロジェクトによります。今お話をいただいている案件でも、完成するのが2030何年とかという案件もあります。
有本 今注目してるエリアとか県とかはありますか?日本でも中国地方とかはあまり有名なサウナがないようなイメージがあります。
ととのえ親方 う~ん、注目してる場所とか県はそんなにはもうないかな。北は北海道の帯広とか南は九州とか、今までいろいろ見てきたでしょ。
サウナ師匠 3年前はまだそういうエリアがあったんですよ。北海道がここから熱くなるとか、熱くしようとか、今度は九州を熱くしようとか、そうすると間の本州を回ってきて、今度が離島に飛ぶんですよ。屋久島とか直島とか。そこまでは見えてきたので、だいたいもうある程度日本全国を総ざらいできたというか。だからあとは日本以外のアジアをやるかみたいなことを言っていて。
ととのえ親方 あとはもう地方の人たちが「あの街はこういうふうにやってるんだ」とかって、各々がいいところをマネしていけばいいだけなので。
サウナ師匠 体験価値を求めるサウナと、あと家の中に入っていくっていう普段づかいとしてのサウナを広めることがやりたいことですかね。
編集部 今後は自宅サウナみたいなものも普及していくのでしょうか?
有本 いや、俺はでもやっぱり外に入りに行きたいなぁ~。
ととのえ親方 本当にそうで、僕らもそうじゃないですか。いろいろなところのサウナに入りに行くのが好きで。ただ、今僕らが今後の5年間で狙っているところが実は家庭で。昔から日本は銭湯の文化だったわけですよ。日本人って、60年前は家に風呂なんてなかった。だからお風呂は近所の銭湯に行っていたんだよね。その時代に「ノーリツ」っていう会社があってね、ノーリツが瞬間湯沸かし器を作ったり、あとは風呂釜を作ったりしていたのが、もう今から確か50年とか60年前くらい。それが発展していって、今、家の中にお風呂が付いているのが当たり前になって街の銭湯がだいぶなくなっちゃったんだけど、これが実はフィンランドもそうでね。家に昔はサウナなんか置けなかったんですよ。だからサウナも公衆浴場とかで楽しんでいたんだけど、サウナの本場フィンランドにおいてもサウナの歴史は70年ぐらいしかない。サウナが家庭に入っていった歴史はね。
有本 サウナがマンションの中にとかにできるとすごくいいですよね。
ととのえ親方 そう!共用部もそうだし、あとは地方の広い家。東京に暮らしている方たちはなかなか家にサウナを入れるのが、スペース的に難しいし、スペースをサウナに使うのがもったいないしってなるじゃん。だけど本当にね、フィンランドだと、洗濯機の上とかにサウナを入れてる家とかもあったりするからね。スペースの有効活用。
サウナ師匠 サウナって高いところにあるのがいいじゃないですか。洗濯機の上にらせん状の階段があったりして、サウナの下にスポっと洗濯機が置いてあったりするんです。デッドスペースをうまく活用していたりする。そうなると、ある意味、サウナという乾燥機を家に付けてるようなものなんです(笑)。
ととのえ親方 少し昔にウォシュレットが各家庭のトイレに付いたときのように、サウナが各家庭にどんどん付いていけば僕らもそれは面白いし。ちなみに二人には娘さんとかいる?
有本 娘がいます。
ととのえ親方 娘さんだと、お風呂に一緒に入れるのって小学4年生ぐらいまででしょ?
有本 もう今は東京の銭湯とかだと、条例で一緒に入れるのが6歳までになっちゃったんですよ。
ととのえ親方 銭湯もそうだし、家で一緒にお風呂に入るとかって、大きくなるともう絶対にできなくなってしまう。入浴の文化って、日本ってそういうふうに必ず性別で分離しちゃうんだけど、でもサウナだけはさ、一緒に入れんのよ。だからフィンランドとかもそうだけど、バスタオルを巻いてお父さんとお母さんと娘と息子でサウナ室で汗をかきながら一緒に入るっていうのが自然の光景であるの。ああいうのって、日本人はあまり知らないんだよね。だから俺はそれが日本に普及すると、もっと面白くなるというか、それって家にサウナが普及するとできるから。今後は各家庭に1台サウナみたいなものが当たり前になってくればいいっていうのが、僕らの今の思想かな。サウナのことをこの10年近くやってきたから、次の5年はそれが僕らのやりたいことかな。
サウナ師匠 だからある意味、“当たり前”と”とんでもない”を両方やるのが僕らなのかもしれないですね(笑)。当たり前があるから、とんでもないに興味を持つしね。逆にとんでもないがあるから、当たり前も欲しいよなっていう。
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この記事を書いた人
スポーツ新聞社、編集プロダクションを経て宝島社に入社。2014年よりsmart編集部に所属し、2022年9月よりsmart Webの専任担当。タレント特集を中心に、ファッション、スニーカー、腕時計、美容などを幅広く担当。3度のメシより野球好きで、幼稚園年長の頃からの熱狂的な東京ヤクルトスワローズファン。最近はサウナにハマっており、smartサウナ部の広報担当も兼務。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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