「真面目にバカをやったら格好いい」若手随一の“カメレオン女優”田辺桃子がたどり着いた境地
執筆者: クリエイティブ集団/画画画
毎回様々なジャンルで活躍するゲストをモデルに迎え、大判カメラで10枚(ONE ROLL)の写真を撮影し、その写真からストーリーを紡いでいく連載「4×5(シノゴ)」。「4×5」という連載名は、大判カメラで使用されるシートフィルムのサイズが由来です。第4回のゲストは、個性的な役を演じさせたら若手随一なカメレオン女優・田辺桃子さん。ティーンモデルから女優へとステップアップしてきた次世代のニューカマーにフューチャーします。
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ジャケットにヒール、
ワンピースにスニーカー。
多ジャンルを混ぜて着るのが好き
――撮影お疲れ様でした!まず、今日の撮影を振り返ってみて、普段はデジタルカメラでの撮影が多いと思うんですけど、こういう風に1枚1枚撮るっていう感じはいかがでしたか?
田辺桃子(以下、田辺) 私自身カメラが好きで、特にフィルムカメラが好きなので、なんかすごく贅沢な撮影だったなと思いました。10枚しか撮れないから、その10枚の中で何ができるのかっていうのをいつも以上に考えました。デジタルだと、やっぱり何枚でも撮れるし撮り直しもきくし、最終的にセレクトすればいいから何枚でも撮りがちですが、逆に10枚しか撮れないと最初から決まってると、より一層1枚1枚をどういう風に撮ろうとか、どういう表情でどういう角度で撮ろうとか、そういう風にいつも以上に考えながら撮れたので、それがすごく楽しかったです。
――撮影スタッフ的に一番言って欲しいことを言っていただきました(笑)。
田辺 普段から他の媒体でもそういう風に撮りたいと思うことはありますが、時間的な制限があったりしますし、1枚(1カット)ずつストーリーとか画角とかを考えてやったりとかは普段なかなかできないので、それはすごく楽しかったです。
――田辺さんが昔からフィルムカメラが好きって言うのは情報として知っていたので、写真のことについてちょうど聞こうと思ってました。
田辺 質問される前に先にお話しちゃいましたね(笑)。
――(笑)。続いてファッションについても伺っていきたいです。普段のファッションはどういう感じのモノを着ることが多いですか??
田辺 私服は割と色々な要素を入れてコーディネイトを組み立てるのが好きで、ジャケットにヒールとか、ワンピースにスニーカーとか、いろんなジャンルを混ぜて着るのが結構好きです。あと色みも淡いカラーよりは、わりとはっきりした色が好きですね。今回着た緑とか、他にも水色とか、はっきりした物を入れるのが好きです。
――今日の私服のスニーカーはVANS(ヴァンズ)でしたが、ボーイッシュな感じも好きなのは好きですか?
田辺 めっちゃ好きですね。
――女の子がVANSを履いてるのは非常にいいですよね(笑)。
田辺 普段、インタビューの際に着る衣装とか舞台挨拶で着る衣装とか、それこそ演じる役柄の服装とかも結構かわいらしかったりとかキレイめなものが多い分、私服姿を見られたりすると、「あぁ、そういうの着るんだ」みたいな感じで、びっくりされることも多いんです。
――人によってその人の見え方って様々ですもんね。
田辺 でも逆にこういうメンズ媒体だから着られる衣装ってあるじゃないですか。雑誌だったら、あえてオールドのコンバースと、すごくキレイめなシャツやドレスとかそういう組み合わせができるのが楽しくて。普段はわりとそういう風な組み合わせにいきがちですね。
――実は10代の頃から知ってるから、田辺さんはVANSのイメージがあります(笑)。
田辺 あっ、本当ですか?すごく嬉しいかも。足元はVANSのスニーカーで、パンツはスキニーでとか。となるとトップスは“Tシャツ1枚”みたいな時が多いんですが、役だとさっきも言ったように結構そうならないケースが多い。
――一般的に田辺さんはワンピースとかのイメージのほうが強いんですかね?昔から知ってると意外だなと思いながらドラマを観ていました。
田辺 何だろう。別に自分ではどっちも好きなんですけど、オーディションや衣装合わせとかでも、キャラクターが決まっていたら、そのキャラクターの中で“自分も持ってるもの”のイメージと合うものを引っ張り出して着ることも割と多いんです。ただ逆に写真を撮っていただく際は、ニュートラルにいたいので、それこそTシャツ1枚でふらっといれるようにしたりとか、無意識的にしてるかもしれません。
――いろんな役にすぐ染まれるようにとか?
田辺 あんまり決めつけないようにという思いはあるかもしれないです。
――すごく考え方が外国人モデルっぽいというか、昔も今、ファッションモデルはデニムにTシャツ、足元はコンバースみたいなファッションでみんな現場に来て、その場でそのテーマに合った洋服やヘアメイクをして、撮影が終わったら、また着てきたニュートラルな格好で帰っていくみたいな人たちが多いような気がするから、それに近いなと感じました。
田辺 確かに、私もそのイメージがあるかもしれません。
――最近で言うと、『ゆるキャン』『リコカツ』『夕暮れに手をつなぐ』など数々の話題作に出演され、僕も結構色々と拝見していました。それぞれの作品に思い入れはあると思うんですけど、当時の役の思い出などはありますか?
田辺 どれも楽しかったです。それぞれあるんですが、自分がいただく役の系統が定まってきたのは『ゆるキャン』からなんですよ。『ゆるキャン』に出させていただいた際に、今までのキャパシティと180度違うキャラクターを演じられたので、「あっ、ここまでいけるんだ」っていうのを色んな人に知られた作品だったんです。私自身もそうだし、「ここまでバカをやっても、だんだん羞恥心がなくなっていった」というか。「真面目にバカをやったら格好いいんだ」っていうことを、自分の体感として気づけたのが『ゆるキャン』だったので、それ以来、より個性的なキャラクターとか、普段の自分とは趣味とか好きなものとか外見とか、結構異なるキャラクターが増えていったので、そういった意味ではやっぱり『ゆるキャン』の存在はすごい。自分の中でいつも頑張る気力になってる作品です。
――それがあって、あの『リコカツ』の“筑前女”につながっていくってことなんですね。
田辺 リアルな話、『リコカツ』を撮っていた時に『リコカツ』を含めて3本違うドラマが放送されてたんですよ、1カ月のうちに。だけどその時に撮っていたのは『リコカツ』だけだった。だからその時のあとの2本はその前の年に撮ってたんです。
――なるほど。
田辺 それがたまたま被って、ちょうど同じ時期に放送していたんですけど、それだけでも顔が全然違うし、その『リコカツ』も『ゆるキャン』とかがあったから、また自分自身も一つ自信が付いていたというか。やっぱり役も役だから、当然観てくださる方のいろんな意見があるのも分かっていたし。でも作品として、このキャラクターが死んだらとてももったいないと思って、「じゃあ自分でできることは何だろう?」って思って、結構悩みながらやった作品でした。『ゆるキャン』から1個、新しい踏み台をゲットして、そこからまた高く飛べるかっていう自分の挑戦でもあったんです。
――僕『リコカツ』はリアタイで観ていたんですが、すごく良かったです。
田辺 本当ですか??うれしいです!
――あのドラマの田辺さんもすごかったですが、それ以外の役者さんもみな一様に個性が強くて面白かった。うまくそこにいいキャラで田辺さんが入り込めてるなと、そういう風に見ていました。
田辺 みなさん本当にすごかったです。瑛太さんとは同じ職場っていう役柄だったし、そのキャラクターとしても自分の尊敬する人っていうのももちろんあったんですけど、あの時はそれこそ“一ノ瀬”っていうキャラクターで、どうやったらもっとこのストーリーをいい意味で荒らして、観てくださる人の心をかき乱して、より面白いキャラクターになれるんだろうっていうのを、結構瑛太さんに相談させてもらっていて。でもその一ノ瀬の破天荒さを、「一ノ瀬は既にぶっ飛んでいるからそのままでいいじゃん」っていう言葉をくれて、それがあったから最後まで走りきれたというか。本当にその言葉がなかったら迷いのある顔になっていたし、貫いたほうがいける気がするっていう風にエネルギーをいただいていたので、それはすごくありがたかったですね。
撮影中もカメラ前で1ポーズ1ポーズ考えながら撮影に臨んでくださった田辺さん。じっくりと撮影することを、時にカメラマンとディスカッションをしながら楽しんで頂きました。後日公開のインタビュー後編では、カメレオン女優としての演技のアレコレをさらに深掘りしていきます。
オールインワン¥50,600/セモー(ビューロー ウエヤマ☎03-6451-0705)、イヤリング¥13,200/アルカナム(ジョワイユ☎03-4361-4464)、その他/スタイリスト私物
Profile/田辺桃子( たなべ・ももこ )
1999年8月21日生まれ、神奈川県出身。ドラマ・映画・CMと多方面に活躍し、映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018年/大根仁監督作)、テレビドラマ『ゆるキャン△』シリーズ(2020年〜)、『リコカツ』(2021年)、『夕暮れに、手をつなぐ』(2023年)などに出演。現在はMBS『スイートモラトリアム』に出演中。また、NTV『こっち向いてよ向井くん』(第1話)、金曜ドラマDEEP『癒やしのお隣さんには秘密がある』への出演が決定している。
田辺桃子Instagram:@momoko__tanabe
連載「4×5」とは?
フォトグラファー、スタイリスト、ヘアメイク、動画クリエイターなどの多彩なクリエイターを起用し、クリエイションと総合演出を行っているGAGAGAプレゼンツの連載企画。大判カメラで撮影した10枚の写真とインタビューでゲストの魅力に迫ります。
photographer=斎藤 大嗣
stylist=青木紀一郎
Hair & Make-up=速水昭仁
videographer / filmmaker / director =Mo-chang-co
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この記事を書いた人
2022年に始動した、オルタナ育ちのエキセントリッククリエイティブ集団。「ガガガ」と読む。合言葉は「ヴィジュアルショック フロム ウォーターヒップ」!スチール撮影、動画撮影などのディレクションから、シューティング、スタイリング、ヘアメイク、キャスティング、デザインまでトータルでプロデュースする。STANFORD所属。
Instagram:@gagaga_tokyo
Website:https://www.stanford-group.com/creator/creator-38261/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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