田中みな実の“社会人になりたての頃”の思い出と“公人であることを自覚した日” | 雑誌smart連載「となりのみな実さん」

smart読者の憧れの“お姉さん”的存在として、田中みな実さんがその季節の気分や皆さんのお悩みに寄り添ってくれる本誌の人気連載【となりのみな実さん】がsmart公式サイト「smart Web」にアーカイブとして登場。あ～、こんなお姉さんが隣にいてくれたら……！ その想いを叶えるのが【となりのみな実さん】なのです♡

「田中みな実が教える“新しいこと”のはじめ方」10月から12月は挑戦する絶好のチャンス！

※この記事は2023年smart5月号に掲載した記事を再編集したもので、記載した情報もその時点のものです。

出会いと別れの季節の春が過ぎ去り、もうまもなく夏の足音が聞こえてきそうな今日この頃。3月25日が発売日だったsmart5月号では「みな実さんの卒業にまつわるエピソードを聞いてみたいです！」と編集部からリクエスト。大学時代と新社会人になったばかりの頃のお話を教えてくれました。

Photography_YUJI TAKEUCHI[BALLPARK]
Styling_YUKO OBARA
Hair & Make-up_AYA[TRIVAL]
Text_SONOKO TOKAIRIN
撮影協力_GLOBE SPECS 渋谷店 ☎03-5459-8377

田中みな実の連載
「となりのみな実さん」
episode 36
卒業式の思い出

公人であることを自覚した日

「高校の卒業式は涙涙だったけど、大学のそれは実にカラッとしたものだった。学生最後の晴れ舞台、社会人になる前のビッグイベントに皆、高揚していた気がする。何カ月も前から袴を何色にするかで女子ははしゃぎ、当日の朝はそれぞれが美容院でメイクやヘアセットをしてもらい、モデルさながら現場（学校）入り（笑）。私も例に漏れず、大学時代何度も通い詰めたZACCで髪の毛を華やかにセットしてもらい、迎えに来てくれた母と、大学の向かいのピエールマルコリーニでお茶をした。学生にとっては価格設定が高めで足を踏み入れ難かったから、母のお財布を当てにして心ゆくまで気になっていた数種類のケーキを堪能してから学校へ向かった。

　今となっては内容をさっぱり思い出せない式典を終え、サークルや学部の仲間と写真撮影に興じ、連絡先を交換していると、私がアナウンサーに内定していることを知る学生たちがその様子を隠し撮りしたり、一度も話したことのない学生にツーショットを求められて困惑した。ノリノリで応じられるほどの明るさは兼ね備えておらず、すべて困った風に写ってしまったのが申し訳ない。友達がマネージャーのように『みな実、大丈夫？』とか『すみません、（カメラ）まとめてお願いします』って盾になってくれたりもしたけど、学部の女子グループは『へー、有名人～』と茶化しながらも引いていくのが少し悲しかった。

　校門を出たところで母と待ち合わせをしていたから急いで向かうと、今度は大きなカメラを持ったおじさんたちに囲まれる。『はい、こっちに目線くださーい』『田中さ～ん、こっちもこっちも』と、何の断りもなくフラッシュをたかれるのは恐ろしかった。数日後には様々な週刊誌で『新人アナウンサーの卒業式♡袴姿をキャッチ』みたいな記事が掲載され、友人とのプリクラ画像が流出し……。なるほど、公人になるとはこういうことかと自覚した瞬間だった。

　そんな出来事があって以降、2009年4月から本格的な公人（TBSアナウンサー）になった私は、局の行き帰り、赤坂の駅のホーム、買い物中、あらゆるところで写真を撮られた。はじめは怖くて怖くて仕方なくて、アナウンス部の所属長に涙ながらに恐怖を訴えた。でも、そのうち慣れっこになって、今となっては家を一歩出たら写真を撮られるものだと心得ている。自意識過剰と突っ込まれそうだけど、そういう気持ちでいるというだけのこと。公人にプライバシーはない。撮られるうちが華だと自身に言い聞かせ、諦めているので、どうかイケてるファッション、イケてる表情を逃さず捉えてくださいな」

Profile／田中みな実（たなか・みなみ）
1986年11月23日生まれ。元TBSテレビアナウンサー。近年は役者として映画やドラマなどでも活躍し、現在放送中のドラマ『あなたがしてくれなくても』（フジテレビ系／木曜よる10時から）では、岩田剛典演じる新名誠の妻であり、キャリアウーマンの新名楓を演じている。

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