連載へそまがりスニーカー愛好家・ITOのスニーカー探訪「逸足触発」
“へそまがり”スニーカー愛好家が2022年買ってよかった3足。1位はリーボック クラシックの…… | スニーカー探訪「逸足触発」
執筆者: ライター/TOMMY
ストリートを中心としたファッション業界で幅広い人脈を擁する「伊藤商店」のITOさん。“へそまがりスニーカー愛好家”を自認し、他の人とは違ったニッチな目線でスニーカーを楽しむ彼に、いま気になる新作モデルを紹介してもらう不定期連載【へそまがりスニーカー愛好家・ITOのスニーカー探訪「逸足触発」】。自由な視点で探す自分だけの逸足(一足)、そして見つけた瞬間に爆発する物欲。周りと被らず、かつ個性も発揮できちゃう。そんな一足を教えます!
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ウチらもやってみましょう
“2022年のBEST BUY”。
ということで、まずはお着替えから。
って、なぜ!?
TOMMY いやぁ〜2022年もあとわずか。今回は原宿で集合かぁ。世間が冬休みに入ったからか、原宿ストリートはティーン世代でパツパツ。それを横目で見つつ……待ち合わせ場所に着いたものの、肝心のITOさんの姿が見当たらな……あ、いました!
ITO 今年の冬はめちゃ寒いっスね。ところで「最近のお気に入りスニーカーを3足持ってきてくれ」って話でしたが、今回は何をするんスか?
TOMMY いつもはスニーカーショップを訪れている本連載ですが、今回は年末スペシャル! この時期って、様々なファッション系Webメディアが“今年のBEST BUY”特集で、しっかり数字を獲っているじゃないですか。そこで、我々も1発乗っかっちゃうゾ!ということで、ITOさんに“2022年のBEST BUYへそまがりスニーカー”を発表していただければなと。
ITO はいはい、なるほど。それで、撮影場所として「オーサムボーイ ヴィンテージ」にやって来たと。あらかじめ説明しておくと、ここは1990〜2000年代のヴィンテージ古着を中心に、自社リメイクブランドや国内のリメイクブランドも取り扱っているショップで、オーナーのKic©︎と僕は旧知の仲。せっかくなので、彼にもコメンテーターとして参加してもらいましょうか。
Kic©︎ あっ、今日ってそういう感じでしたか !?(汗)。もちろん大丈夫ですけど……とりあえず、よろしくお願いします!(笑)。
TOMMY まずは一発、全身写真を撮影させてもらってと……ではITOさん、お着替えしましょうか!
ITO& Kic©︎ えっ!?
TOMMY いや、なんか場所を借りるだけでなく出演までしてもらうとなるとKic©︎さんに申し訳ないので、どうせだったら、「オーサムボーイ ヴィンテージ」で扱っているアイテムに着替えてもらって、少しは宣伝のお手伝いができればなって。
ITO まぁ、確かに。別に着替えるくらい問題ないスけど……(ゴソゴソ)。
ITO こんな感じでどうスか?
TOMMY めちゃ似合ってるじゃないですか!
Kic©︎ バッチリですね!
ITO ありがとうございます(苦笑)。
TOMMY では、ここからが本題。いよいよ“2022年のBEST BUYへそまがりスニーカー”を発表していただきましょう! まず、第3位はこちら!
“2022年のBEST BUYへそまがりスニーカー”
第3位:〈ナイキ〉の「ナイキ エアプレスト ナイジャ」
ITO 〈ナイキ〉の「ナイキ エアプレスト ナイジャ」です。誕生20周年である2020年に発売され、僕が買ったのは恵比寿の〈パスオーバー〉。アッパーにデザインされているのは、ナイジェリアのサッカー代表チームのユニフォームにも用いられた伝統的模様だとか。あと、そのユニフォームが格好良くて、ファッションシーンにおいても人気でした。
Kic©︎ そうそう。2018年のナイジェリア代表チームのユニフォームは、イギリス生まれの人気グライムMC、スケプタが着たこともあって超売れましたよね。ちなみに今年のサッカー・ワールドカップでは、予選敗退で本戦に出場できなかったのが残念でした。
ITO このプレストってやつは、しれっと復刻されてインラインモデル入りしているから、侮れないんスよね。履き心地も悪くないんですが、S・M・Lというサイズ展開がネック。ジャストサイズで履きたい派には、ちょっと難しいかも。ちなみにこれはLサイズで、実寸でいうと約29cmですからね。僕でもちょっとデカめっス。
Kic©︎ “なのにシューレースを結ばない”っていうのが、ITOさんのスタイルですよね。個人的には、このミッドソールの側面にデザインされたドットや、ネオプレン素材のように伸縮性と光沢のあるアッパーの質感などから感じられるテックな雰囲気が好きです。
ITO ちょっと前に「エア・クキニ」も復刻されたし、〈ナイキ〉は今、2000年代のモデルを押しているみたいっスね。これを買ったのが夏頃だったので〈パタゴニア〉のバギーショーツに合わせていましたが、色も色なら柄も柄なので、“合わせやすさ”という点は正直度外視かと(笑)。
Kic©︎ ITOさん的に、これの“へそまがり度”はどれくらいですか? 100点満点中で言うところの。
ITO いや、100段階評価って! せめて10段階でしょ(笑)。そうだなぁ〜、へそまがり度は“7”かな。何が基準なのか自分でも分からないけど。続いて、第2位が……こちら!
“2022年のBEST BUYへそまがりスニーカー”
第2位:〈プーマ〉の「スウェード クラシック」
ITO 2位は〈プーマ〉の「スウェード クラシック」。以前、「ミタスニーカーズ」にお邪魔した際にも話しましたが、2023年は結構、盛り上がってきそうなんスよ、このモデルが。ちなみに、下北沢にある古着屋「ロストボーイ」で¥5,000でした。購入理由はこの配色! ネイビー×ティファニーブルーなんて普通はやりませんよ。「ブラック×ティファニーブルーでイイじゃん !?」ってなるでしょ(笑)。1周して今この辺が気になっています!
Kic©︎ 確かにアリですね。〈アディダス〉も「サンバ」や「キャンパス」なんかが流行っていますし、次に〈プーマ〉がきても、なんらおかしくないなっていう。なのに、あんまり履いている人を見ないというのもポイントですよね。間違いなく“ストリートのクラシック”。なんせビースティ・ボーイズも履いていたくらいですし。
ITO 多分、このカラーリングは古いモノでもないし、〈プーマ〉好きからすれば、「今さら!? アウトレットでもセールになっていましたが?」って感じなのかもしれませんが、なんか好き。実は最近買ったばかりなのでほとんど履けていませんが、来年はおそらくかなり履くかと。一応まぁ、滑り込みセーフということで。
Kic©︎ 1980年代〜1990年代にストリートを通った人だったら、一家に1足は当たり前の名作ですもんね。そういえば、この辺のモデルを履いている人を見ると、ついソールに注目しちゃうんですよね。〈ヴァンズ〉や〈コンバース〉なんかと同じで汚れやすいからこそ、キレイに履いていれば「あっ、この人は分かっていて履いているな!」みたいな。
ITO その感じは分かるなぁ。僕がショップスタッフだとして、〈プーマ〉の「スウェード」を履いているお客さんが店に来たら、多分あまり接客はしないでしょうね。「こいつ、かなりこだわりがアリそうだから、ほっとこ」って(笑)。
Kic©︎ じゃあ、このモデルの“へそまがり度”の発表をお願いします!
ITO 正直、あんまり“へそまがって”ないから当然低めで……へそまがり度は“3”とか? デザイン的にもいたってベーシックなので、カラーリングで遊ぶしかないモデルじゃないですか。そういう意味では、ティファニーブルーをあえてのネイビーに合わせた時点で、へそまがり認定はできるかなと(笑)。で、最後に残された第1位は……以前も紹介したコレ!
“2022年のBEST BUYへそまがりスニーカー”
第1位:〈リーボック クラシック〉の「イームズ クラシック レザー」
ITO この〈リーボック クラシック〉と〈イームズ〉のコラボモデルが今年のダントツNo.1。ニューヨークでは結構盛り上がって、〈シュプリーム〉界隈でも結構履いているヤツが多かったんですが、日本ではほとんど注目されていなかったという不遇のコラボモデルです。僕なんて他のラインナップもカラバリで揃えちゃうくらい好きだったんですけどね。ちなみに「SNS」のオンラインストアでセール価格にて購入(笑)。
Kic©︎ こんなコラボが出ているなんて全く知らず、完全にノーマークでした。そもそものこの「クラシック レザー」というモデル自体も、僕は初見でして……。〈リーボック〉といえば「インスタポンプ フューリー」だったり、周りのスケーターの友達とかも「ワークアウト」や「クラブシー」を履いているヤツは多いんですけどね。
Kic©︎ 内側のライニングがパイル生地になっているのは気持ちよさそうでいいですね。その前に、コラボ相手の〈イームズ〉ってなんですか?
ITO 〈イームズ〉というのは、デザイナーのチャールズ&レイ・イームズ夫妻のこと。デザイン家具の名作を数多く作っていて、特にシェルチェア(椅子)が有名だね。このアッパーの木目柄もそこからサンプリングされているし、随所にイームズ“らしい”デザインが利いています。シュータンの縁部分がリフレクターになっているのは、ちょっと意味がわかりませんが(笑)。
Kic©︎ シュータンラベルしかり、サイドパネルのロゴしかり、結構凝った作りということもあって高そう。プレミア価格とかついてるんじゃないですか?
ITO いや、それが先ほども話したように日本ではまったく人気がないのか、まだ余裕で売れ残っているし、普通にセール価格で買えます。ただオークションサイトでは少しずつ値上がりしている模様。そうなってくるとストック分も押さえておけばよかったなぁ〜と若干後悔。このモデルの最大のポイントは、全然人気がないどころかファッション関係者にも認知されておらず、速攻セール行き。だけど1990年代のミッドセンチュリー家具ブームを知っている世代にとっては、たまらなく魅力的。そういった点を踏まえて、へそまがり度は“9”かな。
Kic©︎ やっぱ1位は違いますね。なんとなく僕も欲しくなってきた気がします!
2023年のITOさんの目標は……
ファン待望の「伊藤商店」実店舗を
遂にオープン!(春までに実現予定)
TOMMY というワケで、2022年5月からスタートした本連載も無事に6回目を迎えました。ここまで「アトモス」、「キネティクス」、「ビリーズ」、「ミタスニーカーズ」、「シュープラザ」と5店舗を回ってきましたが、ITOさん的に2022年は、“へそまがりスニーカー”豊作の年でしたか?
ITO 豊作とか不作とか、そういうのって“へそまがりスニーカー”にあるんスかね(苦笑)。まぁ、僕の場合は自ら“へそまがりスニーカー”を探しに行っているので、スニーカー業界全体での割合は分かりませんが、“まだまだ埋もれた名作が沢山ある”っていうのを再確認した1年ではありました。近年のスニーカーブームも相まって、みんなハイプなスニーカーにしか興味を示さなくなっていましたが、ソレらはお金さえ出せば手に入るので面白くない。そこに別の角度からの楽しみ方を見出したい人たちがこの連載をチェックしてくれるのは、嬉しいスね。
TOMMY 「オーサムボーイ ヴィンテージ」を訪れる若い子って、みんなどういうスニーカーを履いているんですか?
Kic©︎ やっぱり圧倒的優勢なのは〈ナイキ〉。これはまだまだ変わりませんね。履いているモデルこそ人それぞれですが、肌感では「エア・ジョーダン1」や「ダンク」といったスウッシュがあしらわれたモデルが多い気がします。反面、「エア・マックス」シリーズはあまり見ないです。〈ニューバランス〉はチラホラって感じ。最近、2000年代テック系ファッションが注目されていますが、そこでよく名前が上がる〈サロモン〉は、まだ早い人たちの間で流行っているくらい。〈アシックス〉も同じく。
TOMMY なるほど! ここでお2人にお聞きします。来年はどんな感じのファッションがトレンドになりそうでしょうか?
Kic©︎ 今も話に出たような、2000年代テック系がもっと広がると面白くなりそうだなという気はしています。そのあたりだとスニーカーも面白いのがあったりしますし。ただ問題は、ウチでの取り扱いがないってことくらいで(笑)。
ITO プッシュする意味ないじゃん(笑)。まぁ、テック系のスニーカーでは〈サロモン〉や〈オークリー〉といったブランドが勢いを増しているので、人気は続く気がしますね。ファッション全体で考えると、個人的にはもう少し落ち着いてもいいのかなって思います。僕の周りでは紺ブレが注目されていたりして、「またトラッドが来るんじゃないか」という声もよく聞かれますし。つっても、正直何がトレンドになるかなんて、正直分かんないスよ。みんな好きな服を着てればいいでしょ。
TOMMY そもそも本連載のテーマが“へそまがり”ですから、トレンドを語るという行為自体が間違っていました(笑)。なので、各々が好きな格好すればいいじゃんと。では最後に、ITOさんの来年の目標で締めましょうか。
ITO 2023年は「伊藤商店」の実店舗をオープンさせます! 取り扱うアイテムは主に古着で、あとは色々と面白いブランドをセレクトします。本当は2022年中にオープンさせたかったんですが、ちょっと間に合わず……春までには! ということで、2023年も忖度なしで“へそまがりスニーカー”を紹介していくので、「逸足触発」をよろしくお願いします!!
(了)
今回お邪魔したのは……
オーサムボーイ ヴィンテージ
オーサムボーイ ヴィンテージ
(住所)東京都渋谷区神宮前4-26-28 ヘームル原宿2F
(電話番号)03-6447-0810
(営業時間)12:00〜20:00
(定休日)無休
Profile/ITO(伊藤忠宏)
2008年に古着屋「T」を高円寺にオープン。ストリートに根ざしたセレクトが話題を呼ぶ。その後、渋谷に移転し、ミュージシャンやファッション業界人などにもファンを拡大。現在は古着や、自身が手がけるヘッドウェアブランド〈ギーク〉などをセレクトした、遊び半分のウェブショップ「伊藤商店」を運営。さらに不定期でポップアップストアも開催している。
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この記事を書いた人
メンズファッション誌やモノ系のWEBメディアを中心に、ファッション、モノ、アイドル、ホビーなどの記事を執筆するライター/編集者。プライベートでは漫画、アニメ、特撮、オカルト、ストリート&駄カルチャー全般を愛する。
Instagram:@tommythetiger13
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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