連載へそまがりスニーカー愛好家・ITOのスニーカー探訪「逸足触発」
へそまがりスニーカー愛好家・ITOのスニーカー探訪「逸足触発」4足目:アディダス オリジナルス 「JSニューウィングス」 @ミタスニーカーズ
ストリートを中心としたファッション業界で幅広い人脈を擁(よう)する「伊藤商店」のITOさん。“へそまがりスニーカー愛好家”を自認し、他の人とは違ったニッチな目線でスニーカーを楽しむ彼に、いま気になる新作モデルを紹介してもらう不定期連載【へそまがりスニーカー愛好家・ITOのスニーカー探訪「逸足触発」】。自由な視点で探す自分だけの逸足、そして見つけた瞬間に爆発する物欲。周りと被らず、かつ個性も発揮できちゃう。そんな一足を教えます!
「赤が効いたアディダス“SAMBA”」eスポーツはかっこいい!クレイジーラクーン、アトモスとのトリプルコラボ
連載開始4回目にして、
これ以上ないくらいベタ褒め!
アディダスの
“翼が逆になったエンジェル”は
「アリです!!」
TOMMY:いやはや、若干間隔が開いちゃいましたが、無事に不定期連載4回目でございます。ここまで新宿→渋谷→原宿ときましたが、今回訪れるエリアは上野! この街でスニーカーといえば、皆様ご存知の名店「ミタスニーカーズ」にやってまいりました。ITOさんはよく来るんですか?
ITO:上野は仕事で結構来るので、その度に覗(のぞ)くようにしています。僕らなんかは『Boon』世代ですし、当時から日本のスニーカー文化の中心というか震源地って、上野だったじゃないスか。
TOMMY:しかもディレクターの国井(栄之)さんといったら、日本のスニーカー・カルチャーの最重要人物の1人ですしね。上野に来て、ここに寄らないなんてスニーカーヘッズ的にはモグリですよ!
ITO:どうしたんですか? いきなり鼻息荒めで(困惑)。まぁ、僕ら世代にはマストですよね。何か目当てのモデルがあって狙っていくというワケではなく、上野のランドマークであるアメ横センタービル内という場所にあって、1階が路面店でフラフラ引き寄せられて、2階のヘッドショップでついつい長居しちゃう止まり木のようなスポット。じゃあ、早速、店内に突撃してみましょうか!
ITO:おっ、いきなりきましたね、〈ナイキ スポーツウェア〉の「ナイキ GTS 97」!
TOMMY:以前、「ビリーズ」でもこの名前は出ました。なので伊藤さんのイメージがありますね、このモデルは。
ITO:世代っスよね。僕だって、中学生のときに「GTS」の白を上履きとして履いていたんですよ。当時、ウチの中学校はカラーが白なら、どんなスニーカーを履いていてもOKって校則で。
TOMMY:上履きが〈ナイキ〉なんてイケてますね。
ITO:いやいや〜、当時は『Boon』なんかの後ろのほうに掲載されていた広告ページで安売りされているようなモデルだったじゃないですか!(苦笑)。
TOMMY:そうそう、「イトーヨーカドー」や「オリンピック」のようなスーパー、量販店でも売られていて、しかもセールにかかったりしていたのを思い出しました。
ITO:テニスシューズなんだけど、なんかイイんスよね。シンプルなデザインに小さなスウッシュといい、すべてが控えめで。ちなみに通学靴は〈ハルタ〉のローファー。なので、周囲と差をつけるポイントだったんですよ、上履きが。
TOMMY:それだと室内での体育の授業で、結構スペックの差が出ちゃいませんか?
ITO:大丈夫ですよ、体育の授業ではまた運動用の室内履きに履き替えていたんで。あの頃は¥5,000以下で買えたんだけど、今だと(税込み¥7,150と記されている値札を見つつ)……あんまり変わんないっすね(笑)。それで、こっちが同じく〈ナイキ〉で「ダンク ロー」。今や「エア・フォース1」を超えるほどの人気を誇る定番ですが、最近は落ち着いてきたっぽいですね。しかもコレはウィメンズモデルですか。
TOMMY:伊藤さんだとクレイジーパターンのモデルを履いていた記憶がありますが、これはモノトーンで合わせやすそうですね。
ITO:そうスね。個人的にはスニーカーは派手でなんぼっていう感覚があるから、もっと飛ばしている感じだけど、実用性は高そう。その点、この〈リーボック〉の「ビートニック モック」なんかは、たまらないっスね。絶妙な“コレジャナイ感”に心惹かれるっていうか。ベースモデルの「ビートニック」ですら、“90年代に欲しくても買えなかった勢”のオジさんしか復刻を喜ばなかったのに、さらにそのアップデート版ですよ?
TOMMY:でもほら、特徴的なセンターシームやリップルソールは継承していますしね。
ITO:どうせなら、この勢いに乗って「ビートニック JPE」も復刻してもらいたいっスね。同じようにブーツライクで、2ホールのシューレース仕様なんですが、〈クラークス〉の「デザートトレック」みたいでイイんですよ! リーボックさん、復刻する際は僕にカラー提案させてください!
TOMMY:この公開ラブコールも、もはや毎度のお約束になってきました(笑)。皆様、ぜひ! ……で、話を戻しますが、今回改めて驚いたのが〈パトリック〉の品揃えですよ。
ITO:これだけ揃っているということは一定層のファンがいるんでしょうね。小綺麗なオジさまとか。渋谷や原宿では、あまり履いている人を見かけませんが、上野という街にはなんか似合うんよスね。この「ブロンクス ミュール “メイド・イン・ジャパン“」なんて特に、お父さんの散歩靴に最適。これはプレゼントにも良さそうっスね。
TOMMY:そして、ITOさん注目の〈プーマ〉も。
ITO:今年は、この「スウェード ヴィンテージ」のように、一見普通の定番モデルだけど“よく見たらこだわってる感じ”のノリがマジでイイと思います。〈ジョウンド〉ともコラボしますし、感度の高い人はチェックしています。でもなぁ〜、どうしようかなぁ……って、コレいいかも!
“逸足触発”な4足目は
アディダス オリジナルス
「JSニューウィングス」
¥25,000
TOMMY:〈アディダス オリジナルス × ジェレミー・スコット〉の「JSニューウィングス」ですね。2003年にデビューし、2015年まで展開されていたあのコレクションが、昨年6年ぶりの復活! いやぁ〜当時は一世を風靡(ふうび)しましたよね。
ITO:マジでめちゃめちゃ流行ったじゃないですか、ジェレミーアディダス。あのぬいぐるみがついたモデルなんてインパクト抜群でしたよね。ゴリラ、プードル、パンダとか(笑)。これは復刻になるんスかね? あれ、でもオリジナルモデルとちょっと違う……? ベースモデルが「フォーラム」なのは変わりませんが、なんかアンクルストラップが「エア・フォース1」のように脱着できる仕様になっているし、そもそもウィングってこんなところにありましたっけ?
TOMMY:そうなんです! オリジナルモデルの「ウィングス 1.0」は、甲部分のシューレースホールにウィングパーツを取り付ける仕様でしたが、こちらはアッパーのアンクルサイドに一体化。しかも前方に向かって翼を広げるようになっています。これに気付くとは、さすがだなぁ! そういえばこの連載でピックアップしたモデルを見ていると、“伊藤さんはハイカットを選びがち”説が浮上します。
ITO:やっぱりショーツを履いていると、バランス的にボリューミーなモデルが調子イイってのはあるかもっスね。じゃあ、今回はコレでいきましょう! ちょっと履いてみましょうか。
ITO:めっちゃイイじゃないスか。履き方的にはシューレースを結ばずユルめに通して、ベルクロだって留めないで垂らす感じがオススメ。スウェットパンツをインして合わせるのも良いと思いますし、くるぶし丈のパンツなんかでも面白いんじゃないっスかね。オリジナルモデルでは、やりすぎ感から敬遠していたウィングパーツが前後逆に装着されていることで、シルエット的にも悪目立ちせず、意外に馴染みますね。
TOMMY:たしかにあのインパクトがありすぎた翼の主張が、オリジナルに比べると薄まっていますよね。
ITO:僕なんかは、いっそ前後逆でガルウィングのように主張してほしいところではありますが(笑)。ちょっとモード系にもイケるし、色んなジャンルのスタイルに合いそう。もし普通の子がこれを履いていたら、スレ違う瞬間に2度見しますね、確実に。それだけ攻めたシューズではあると思いますよ。
TOMMY:お気に召していただけたようで、何よりです!
ITO:羽根を休めているイメージなのか、オリジンの再解釈なのかはさて置き、キャッチコピーを付けるなら”翼が逆になったエンジェル”。クセを抑えつつモード感は残すように、今っぽくアップデートしてくれているんですよ。これはアディダスサイドがPRをしっかり頑張ったら、もっと売れると思いますね。それだけの実力と魅力を秘めたモデルと断言できるかなと。
(了)
今回お邪魔したのは……
「ミタスニーカーズ」
ミタスニーカーズ
(住所)東京都台東区上野4丁目7−8 アメ横センタービル 1F・2F
(電話番号)03-3832-8346
(営業時間)11:00〜19:30 (土・日・祝)10:00〜
(定休日)第三水曜日
Profile/ITO(伊藤忠宏)
2008年に古着屋「T」を高円寺にオープン。ストリートに根ざしたセレクトが話題を呼ぶ。その後、渋谷に移転し、ミュージシャンやファッション業界人などにもファンを拡大。現在は古着や、自身が手がけるヘッドウェアブランド〈ギーク〉などをセレクトした、遊び半分のウェブショップ「伊藤商店」を運営。さらに不定期でポップアップストアも開催している。
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撮影・聞き手・文・構成=TOMMY
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