ビル・ゲイツも大金を投資⁉️ 2023年の注目ワード「メンテック」って知ってる?
執筆者: ライター・エディター/鈴木恵理子
みなさんは『メンテック』という言葉を聞いたことはありますか? 先日発表された、日経トレンディが選ぶ「2023年ヒット予測ランキング」にも選ばれています。女性特有の健康課題に対してテクノロジーを用いて解決するサービスやプロダクトである「フェムテック」に対し、男性特有の健康課題をテクノロジーで解決する分野のことを『メンテック』と呼びます。2022年は「フェムテック」の認知が一気に広がりを見せましたが、その流れの中で『メンテック』への注目度も高まってきました。そこで今回は、「フェムテック」とともに2023年さらに加速的に盛り上がりを見せるであろう『メンテック』についてご紹介。
「TENGAがまじめに作った“セックスの教科書”が勉強になりすぎた」誤った性的同意の取り方をしている人は約5割!相手を尊重しながらセックスに誘う方法とは?
『メンテック』とは?
メンテックとは、「Men(男性)」と「Technology(テクノロジー)」をかけ合わせた造語であり、男性特有の健康課題をテクノロジーで解決することを目指すサービスやプロダクトのこと。女性の生理やPMSのように、男性にも薄毛やEDなどデリケートで相談しにくい分野があることに着目。ひとりで悩んでいたり、諦めていた「男性特有のカラダの悩み」を解決する手段として、今後ますます注目されるであろう分野です。
『メンテック』の範囲は? 男性特有の健康課題って?
「フェムテック」と同様に『メンテック』も比較的新しい概念であり、きちんと確立した定義は存在していない。一般的には大きくわけて以下の4つのジャンルに分類される。
「男性不妊」
不妊の原因が男性側にある場合のこと。WHO(世界保健機関)によると、不妊の原因の約50%は男性側にあるといわれています。その大きな要因は精子を正常に作ることができないことがあげられています。世界的にみても現代人の精子数は減少しており、欧米男性の精子の濃度が過去40年ほどの間に半減したという驚くべき研究発表も。「射精できているし、精液の量もあるから大丈夫だろう」と思いがちだが、その中に精子がいるかどうか、きちんと動いているかどうかは調べないと分からないもの。
「ED(勃起不全)」
EDとは「勃起機能の低下」を意味する英語「Erectile Dysfunction」の略。満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態のこと。日本人の成人4人に1人が悩んでいるといわれている。EDの原因は、ストレスや不安といったメンタルが要因になる心因性、神経系と血管系の障害による器質性、薬の副作用が原因となる薬剤系、これらの要素が混ざり合った混合性などがある。
「薄毛」
薄毛といってもその症状はさまざまで、原因や対処法も異なる。その中には男性ホルモンが大きく関わっていると考えられている男性型脱毛症(AGA)があることから、男性の健康課題のひとつとしてあげられる。前頭部から少しずつ髪の毛が薄くなっていく「M型」や、頭頂部を中心に髪の毛が薄くなっていく「O型」が多くみられるのが特徴。AGAの治療は若いうちの方が効果は出やすい。
「セクシャルウェルネス」
WHO(世界保健機関)によると、「セクシュアリティに関連する身体的、感情的、精神的、社会的にも健康な状態であること」を指す。簡単にいうと、「性の健康」のこと。体のみの健康ではなく、そこに満足度や充実度などの、感情面の健康が含まれる。また、性の健康を維持するためには、“プレジャー(喜び)”があることも大事な概念。
『メンテック』を取り巻く動き
●ビル・ゲイツ氏、男性用ピルの研究に大規模な資金提供!
2021年、ビル・ゲイツ氏がビル&メリンダ・ゲイツ財団を通じて、男性用ピルの研究を行っているスコットランドのダンディー大学に170万ドル(約1億9000万円)の研究費を資金提供したことを発表。男性避妊領域でイノベーションへの期待が高まっています。
●アンファーから新ウェルネスブランド「HOMTECH」が誕生!
「スカルプD」シリーズでおなじみのアンファーが、2022年の11月に立ち上げた「HOMTECH(オムテック)」は、男性特有の健康課題に対して正しい情報や正しいケアを提唱する新ブランド。男性機能コンディションとカラダづくりのために取り入れたい“プロテイン”、妊活時の栄養補給をサポートする“サプリメント”、妊活のための“活力系コミュニケーションドリンク”の3品で、「精子力」はもちろんのこと、「勃起力」「性欲」のコンディションにアプローチ。
●オンライン診療サービス「Oops」に注目!
「Oops(ウープス)」は、2021年4月に開始したオンライン診療サービス。ED診療・AGA診療のすべてのステップをオンライン化し、男性特有のセンシティブな悩みに対してデザインやデジタルコミュニケーションの力で、もっと相談しやすい場所づくりを行ってる。2022年9月には、世界最大級のデザイン賞「ペントアワード2022」で、ヘルスケア部門では唯一のゴールド受賞をはたしている。
●早漏を克服! 射精コントロールを改善し、性的自信を高める
「MYHIXEL(マイヒクセル)」はスペインのブランドで、挿入してから3分以内に射精してしまう男性が、健康で自然な方法でパートナーとセックスを楽しめるようにサポートするデバイス・プログラム。筒状のデバイスで振動して射精をコントロールできるトレーニングアイテム。
「TENGAへルスケア」も早漏で悩む男性のための、自宅でできる男性機能のトレーニングツールを開発。大学病院での研究で、挿入から射精までの時間が2倍以上に伸びた方法をベースにしているといいます。薬での治療ではないので気持ちよくトレーニングでき、副作用もなく通院の必要もないのがうれしい。
その他にも、注目の海外のスタートアップとしては、手頃な価格帯で精子の在宅検査キットと凍結保存プランを提供する「Legacy(レガシー)」や、男性の睾丸を超音波で加熱して男性側の避妊を可能にするデバイス「COSO(コソ)」など、さまざまなカテゴリーでサービスやアイテムが増加中。今後ますます『メンテック』市場の拡大が予想されます。また、「フェムテック」同様、アイテムはスタイリッシュなデザインのものが増えてきているので、後ろめたさや恥ずかしさを感じずにケアできるようになりそうですね。『メンテック』の動向は性別に関係なく、2023年もチェックしておきたい分野です。
この記事を書いた人
11年間の編集プロダクション勤務を経て、2011年よりフリーランスに。雑誌やムック、ウェブなどで、ヘアやビューティページを中心に活動中。暮らしに役立つ実用系やメンズのビューティ記事の経験も豊富。好物は古物や古道具。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
この記事をシェアする
この記事のタグ