村上隆の一番弟子・Mr.(ミスター)が台湾を巨大少女像でジャック!平成ノスタルジー炸裂の大型個展が話題
執筆者: smart編集部

今月はカイカイキキ所属のアーティスト・Mr.(ミスター)の個展をご紹介。会期は4月26日までなので、冬休みや春休みで台湾を訪れる予定があればぜひ足を運んでみてほしい。
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台湾でMr.の創作の軌跡を辿る大型個展開催
開館3周年を迎えた台湾の高雄内惟芸術センターで、初の大型特別展となる「Mr.の奇想愛情(Mr. Strangelove or: How He Learned to Stop Conventional Art Style and Love to Draw the Girls)」が開催中だ(会期は2026年4月26日まで)。キュレーターは田川市美術館館長の工藤健志。一般的なアートだけでなく、サブカルやオタクカルチャーであるロボットや美少女などをテーマとした数々の展覧会も企画するベテラン学芸員でもある。

今回の展覧会は1990年代からのMr.の創作の軌跡を辿るもので、大型絵画、立体作品、初期のレシート・ドローイングなど、台湾初公開となる多数の作品が展示される。このためにMr.は事前から高雄にイン、外壁には巨大少女像、夜間の窓には「高雄」の文字や旗山バナナのモチーフが隠された少女の目をデザインするなど、会場限定の屋外インスタレーションを制作している。台湾の人には初公開となる作品も多く、同地での日本のアニメ、マンガカルチャーなどが人気の相乗効果もあり開催前から大きな注目を集めていた。
村上隆の一番弟子になり、カイカイキキ所属アーティスト第1号としてスタートしたMr.だが、美少女と80年代ジャンクカルチャーという初期のテーマは追求しつつも、その作品は、村上隆の切り開いた、スーパーフラットな世界とオタクカルチャーの中でMr.独自のスタイルを育てながら成長している。

今回展示のメインビジュアルとなる「Stay with me -この世の長い物語-」は、2010年代から大型作品を制作するようになったMr.の代表的な絵画だろう。そこに見られる平成のノイジーでコンビニエントなアイテムは、その時代を生きた者であれば誰でも共有できる。憂いを帯びた目の少女はMr.の自画像であると同時に、また見る側でもあり、Mr.が「一緒にいようぜ」と投げかけてくるようだ。
情報過多ともいえる圧倒的サイズのグラフィックは、海外のストリートアートに勝るとも劣らず、これが日本オリジナルのグラフィティアートだとして世界に誇れるものだ。またMr.の地元の夕方の風景を高画質で写して背景としたインスタレーション作品も興味深い。山や畑ではなく、夕焼けと建売住宅と電線とが構成するシーンはMr.のルーツでもあるヤンキー文化を育んだ風景だ。

Mr.のこのような作品の数々は、それまでの昭和的懐かしさではなく、新しいカタチの平成日本の懐かしさとして、現代を生きる日本人の心を揺さぶり、そして台湾の人たちもきっとこの感覚を理解してくれると思う。また、すべての作品に流れている“哀しさ”も、描き込まれた少女の目を見て感じ取ってほしい。きっとMr.の目には世界は儚げなものに映っているのだろう。
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Photography_MON LEE, Ling Hung-Lung
Text_HISANORI NUKADA
©Mr./Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
※この記事は2026年smart1月号に掲載した記事を再編集したもので、記載した情報もその時点のものです。
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