【小栗旬インタビュー】コロナ禍の“名もなきヒーローたち”を描いた主演映画『フロントライン』にかけた思い
執筆者: ライター・エディター/佐藤玲美
映画『フロントライン』より/© 2025「フロントライン」製作委員会
こんなヒーローたちがいたことを知ってほしい
――それを改めて思い返すという意味でも、今、この作品を通して振り返ることがとても意義のあることなんじゃないかと思います。smart読者は20代の男子がメイン。彼らの中にはコロナ禍でやりたいこともできない青春時代を過ごした方もいるのですが、この作品からどんなことを感じてほしいと思いますか?
小栗「当時10代、20代だった彼らは卒業式ができなかったとか、修学旅行に行けなかったとか、空白の時間ができてしまったと思うんですよね。その時期に体験すべきことができないままの時間があったと思います。彼らに向けてだけでなく、この作品においてという意味では、僕らが日常を取り戻せたのは、こういった人たちの頑張りがあったおかげだし、この方々がいなかったら、このスピードで僕らは日常を取り戻せていなかったかもしれない。そういったことを感じながら見ていただけたらいいなと思います。
でも、そんなことは知ったこっちゃない、僕らの(楽しめたはずの)時間を返してくれ、という気持ちもあるかもしれない。そこにはかける言葉が見つからないのですが……」
――この作品に出会ったことで、私たちと同じようにDMATという存在を初めて知る人も多いと思うんですよね。だから、「僕もこういう“ヒーロー”になりたい」と思ってくれる人が出てきたら嬉しいですよね。
小栗「この間、『フロントライン』のキックオフイベントがあって、そこで、日本体育大学の救急救命隊になろうとしている人たちに作品を見ていただいたんですけど、すごく意義のある時間だったなと思いましたね。そこに阿南先生や近藤先生もいらっしゃって、DMATについてや医療についてお話をしてくださったんですけど、洋介君の言う“名もなきヒーロー”になろうとしている学生がこの作品を見ることで、目指すべき道がより明確になったんじゃないかなと。
彼らは救急の仕事に携わるので、今後、DMATが出動するような場所に派遣されるかもしれない。この作品を通してある程度の覚悟がないとやっぱり成し遂げることのできない仕事なんだというのも伝わったと思います。smart読者全員が当てはまる話ではないかもしれないですけどね」
――報道されていないところで、自分たちにも危険が及ぶかもしれない状況で、心配する家族を顧みず、人命救助に命をかけた人たちがいたことは知るべきことだと思います。
小栗「日本は災害の多い国なので、彼らの存在があるということを知り、その活動に思いを馳せるだけでも、彼らの存在意義もまた変わってくるのかなと思います。正しかったのかどうかという答えが出るわけではない物語ではありますが、報道もされていない中、自分の命をかけて人命救助に携わったヒーローたちがいたと言うことを知ってほしいなと思います」
Profile/小栗 旬(おぐり・しゅん)
1982年生まれ。東京都出身。 子役として活動を始め、1998年『GTO 』で連続ドラマに初のレギュラー出演。主な出演作として、『人間失格 太宰治と3人の女たち』『罪の声』がある。22年大河ドラマ『鎌倉殿の13人 』では主演を務めた。Netflix作品『匿名の恋人たち』『ガス人間』の公開が控えている。
Profile/熊谷隆志(くまがい・たかし)
1994年スタイリストとして活動を開始。1998年フォトグラファーとしての活動もスタート。 広告・雑誌等で活動するかたわら、様々なファッションブランドのブランディングやショップ内装、植栽のディレクションなど、幅広い分野で活動。
公式Instagram@takashikumagai_official
この記事を書いた人
東京在住のライター・エディター。『smart』『sweet』『steady.』『InRed』など、ウィメンズ、メンズを問わず様々なファッション誌やファッション関連のwebでライター&編集者として活動中。写真集やスタイルブック、料理本、恋愛心理、インテリア関連、メンタル&ヘルスケアなどの本の編集にも携わる。独身。ネコ好き。得意ジャンルはファッション、ビューティー、インテリア、サブカル、音楽、ペット、料理、お酒、カフェ、旅、暮らし、雑貨など。
Instagram:@remisatoh
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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