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「女優やモデルが大絶賛する人気料理家」料理は独学から年1万食のヒットメーカーへ…寺井幸也が“映え”から“持続可能”へシフトした理由

執筆者: ライター/石野志帆

料理人から、“食のストーリーテラー”へ。オイシックスとの出会いが開いた新たな道

『YUKIYAMESHI』主宰の人気料理家・寺井幸也さん

――現在もキッチンに立って料理の仕事をされているのですか?

寺井 以前のように大勢に料理を作ることはほぼなくて、食関係のお店や商品、社食、ケータリングのプロデュース業が多いです。というのもここ数年は「食材そのものの背景やストーリーを、食べ手にどう届けるか」ということが僕の中で重要になってきていて。

――食材のストーリーとは、例えばどういうものでしょうか?

寺井 「誰がどこでどういうふうに作っているか」ですね。僕たち料理人は生産と消費の“中間”にいるわけですが、生産者側の思いも届けて消費者の言葉を生産の方に届けるみたいな、中間としての役割をちゃんと果たしたいと思うようになったんです。

――料理人としてそれを考えるようになったきっかけがあったんですか?

寺井 『幸也飯』で売れてとにかく忙しかった7年くらい前、年間で作っていた個数を出したら1万食を優に超えていました。そのときにふと、「すごい数の食数を作っていて、すごい数の人たちの身体にモノを入れているのに、ちょっと知識が足りないんじゃないか」と思ったんです。「市場で美味しい素材を選んでいるけど、それがどうやってここに来たかまでは知らない」と怖くなって。その頃から土日を必ず休みにして、農家めぐりを始めました。

『YUKIYAMESHI』主宰の人気料理家・寺井幸也さん

――ご自身で農家さんにアポをとって?

寺井 そうですね。自分で調べて、無農薬とか有機とかで作っている若手の人たちを探して、「見学させてください」「お話聞きたいです」とお願いして、回っていました。

――毎週行ってみて、食に関して考え方は変わりましたか?

寺井 かなり変わりました。農法一つとってもそれぞれの農家さんで全然違うことを知りましたし、とにかく知識の幅が広がりました。例えば肥料でいうと、植物性の肥料と動物性の肥料とでは、味が違う。植物性だと味がさっぱりするし、動物性だと味が濃くなるということも初めて知りましたね。

――野菜の味が肥料によってそんなに違うんですか?

寺井 全然違います。動物性肥料を使った味が濃いものが美味しいと思う方も多いですが、野菜の種類などによってはクセが一切なくて、さっぱり育てられている植物性肥料で育てられたもののほうが美味しいこともあります。

――そういった情報があると、ご自身の料理にも影響がありそうですね。

寺井 食材の活かし方がわかりやすく変わりましたね。以前は何も考えずに一番美味しいところだけをたっぷり使うのが贅沢だと思っていました。でも今は、なるべく無駄なく全部を使って美味しいものがどれだけ作れるかということに重きを置くようになりました。考案するレシピも変わってきましたね。あふれるように存在する食材があるのは、当たり前ではないです。心から「いただきます」が言えるようになるものを出したいと思っています。

――そうしたなか、「幸也飯」は2024年にオイシックスグループに入られました。

寺井 農家さんを訪ねたり知識を集めたりしていくうちに、農業や環境に関する食の課題がどんどん見えてきたんですが、個人でやることに限界を感じていました。そんなときに(オイシックス・ラ・大地株式会社)社長の高島宏平さんとお話させていただく機会があったんです。オイシックスさんは僕が思っていることに共感してくれましたし、僕よりずっと先のことをやっているようなグループです。「この会社とであれば、面白いことができるかもしれない」と思いました。

『YUKIYAMESHI』主宰の人気料理家・寺井幸也さん

――今現在、具体的に取り組んでいらっしゃることを教えてください。

寺井 オイシックスは今、契約している国内約4000件の農家と『オイシックス野菜』を作っていて、全国のスーパーなどにも卸しています。この野菜の生産背景をもっと知ってもらいたいということで、SNSチームと僕で定期的に契約農家さんを訪ねているんです。生産の課題を取材したり、農家さんや僕が考案したレシピを紹介したりして、SNSで発信しています。

――『幸也飯』として新しくできそうなこともありそうですね。

寺井 グループとしてのシナジーを生み出せたらいいなと思っています。オイシックス野菜は一般のものより基準がとても厳しく、良いものでも廃棄が出てしまいます。一方で、僕が所属している株式会社ノンピでは、社食やケータリングサービスで年間200万食近くも出しているんです。そこで、オイシックス野菜になりきれなかった子たちを買い取り、美味しいものに変えて提供したいと考えています。僕からしたら宝物のような野菜なので、背景などを伝えつつ、積極的に活かしていきたいですね。

この記事を書いた人

TV局ディレクターや心理カウンセラーを経て、心を動かす発見を伝えるライター。趣味はリアリティーショー鑑賞や食べ歩き。海外在住経験から、はじめて食べる異国料理を口にすることが喜び。ソロ活好きが高じて、居合わせた人たちの雑談から社会のトレンドをキャッチしている。

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