「20代、30代未婚女子のリアルを描く」女子は自分の悪い顔を見ている感覚になり、男子はスカッとできる作品【ドラマ『結婚詐欺師と堕ちる女』山谷花純×田島亮対談】
執筆者: ライター・エディター/佐藤玲美
ショートドラマアプリBUMP(バンプ)で配信されるドラマ『結婚詐欺師と堕ちる女』で共演を果たした山谷花純と田島亮。「こんなに面白い人がいるんだってことを、もっとたくさんの人に知ってほしいと思って、今回この連載にお誘いしました」という山谷の言葉から、実現した2人の対談。お芝居への熱い想いがほとばしる二人の言葉に、私たちもお芝居をもっと楽しめそうなヒントが散りばめられています。
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ショートドラマアプリならではの醍醐味を楽しんで
――田島さんは、山谷さんとご一緒されてどんな印象を持ちましたか?
田島亮(以下、田島)「クランクイン前に衣装合わせがあって、そのときにそのままスチール撮影があったんだよね。それが、ホテルの前を二人で歩いているのを盗み撮りされているみたいなシーンだったんだけど、監督から演出をつけられる前に、スッと自分から腕を絡めてきてくれる感じだったり、一緒に歩くのに一歩踏み出した雰囲気で『この人は、舞台でいろいろ鍛えられている人なんだろうな』って感じて。そのあと花純ちゃんと話したときに、僕も大好きな吉田鋼太郎さんの舞台に2本出ていると聞いたので、やっぱりなと思って。僕も演劇人なので、立ち振る舞いで舞台経験がある人なのかがなんとなくわかる。衣装合わせの段階でもう、役が作れているんだっていうことで、この作品はもう安心してできるなと思いました。僕自身は、最初から役を固めずに入るほうなんで」
山谷花純(以下、山谷)「確かに私は衣装合わせのときに役を固めていっているかも。こういう人だったら、袖はラフにまくっているんじゃないかなとか、シャツはインするのかしないのかとか、ボタンをどれくらい閉めるかなどで役のイメージを作っていく感じ」
田島「なるほどね」
山谷「なので、今回は衣装合わせの後にそのままスチール撮影があったので、すごく役に入りやすかった気がする」
田島「確かに衣装合わせは、一つ役を作っていく上でポイントになるよね。俺は監督と話しながら、『この方はどんな演技を求めているのかな』みたいな方向性を判断するかな」
山谷「今回は、ショートドラマアプリBUMPで配信される作品『結婚詐欺師と堕ちる女』で共演させていただいたのですが、私はBUMP作品に出演させていただくのは2回目。田島さんは今回初めて参加されてみて、BUMPのようなショートドラマならではだなと思ったことはあった?」
田島「アプリ作品は、スマホで観やすいように縦型のものも多いけど、今回は横型だったので、そんなにアプリということは気にしなかったけど、漫画原作という部分は意識したかな。漫画って、表情がデフォルメされていたりするんだけど、監督によってはそれを忠実に再現するタイプと、実写化としてある程度、現実に落とし込んでいくタイプがいるので、今回はどっちかなみたいな感じ。役者としては、リアルに演じたいという気持ちが強いから、最初のカットは結構リアルにいったんだけど、そしたら『もっと口角を上げて笑ってください』という指示が入って。そっち(漫画に忠実)でいくんだなっていう趣旨がわかったので、自分の中で監督の求める演技にシフトチェンジしてみたいな感覚だったね」
山谷「BUMPの場合は、TikTokやインスタグラムで切り抜かれたりするので、そういう意味ではリアリティよりも漫画の再現度を高めることでエンタメとして面白く見せたいという狙いがあると思うんだよね。なので、田島さんがおっしゃったようにリアリティよりもインパクトがあるものを求められるのが、BUMPのようなショートドラマの特徴だなと思ってて。あと、ギュッと短い期間で撮影されるのもショートドラマの特徴。今はテレビよりも配信のほうがドラマの数も増えているし、これって時代だなと思います」
田島「僕はBABEL LABEL(バベルレーベル)というところで裏方として働いていた時期があって。最近でも縦型作品の脚本を書いたこともあるし、ショート(ドラマ)で監督を務めたこともあって。その流れで今、CMを作っているんだけど、CM業界だと“リファレンス(アイデアの参考となる作品)”をいろいろ集めるんですね。縦型作品でもプロデューサーさんはそのリファレンスをいろいろ集めていらっしゃると思うんですけど、役者の立場からすると、縦型作品でそのリファレンスとなるような成功例が思い浮かばない。つまりまだチャンスがある土壌なので、誰がそれを一番最初に作るのかっていう面白さがあると思っていて。だから、そういう作品に立ち会える可能性があるっていうのも役者の醍醐味だと思う。今回の作品は横なんだけどね」
山谷「今回の作品は結婚詐欺師の物語。私は結婚したこともないし婚活パーティーに行ったこともないので、すごく冒険させていただいたというか、おとぎ話の世界に飛び込んだみたいな感覚で。結婚詐欺師を演じた田島さんは、ショートドラマということで何を意識してお芝居をしてた?」
田島「例えば5秒ぐらいためて、間を使った演技をしてもどうせ編集されちゃうだろうなと思っていたので、それを前提に間を縮めてもニュアンスが伝わるような言い方だったりは意識していたと思うな」
山谷「感情で演じるというよりは、技術が求められるジャンルの場所なのかなっていうのは感じた。これをもっとじっくり撮ったら、また違う演技になって全く違う作品になったと思うし」
田島「今回、撮影に入る前にBUMPの作品をいくつか見たんだけど、俳優ではなくインフルエンサーさんが出演されている作品もあって。なので僕ら(俳優)が出演するなら、そういった作品とは違う見え方になったらいいなという気持ちもあった。しっかり舞台もやってるので、演技で見せたいっていうのはね」
山谷「いや、本当に」
田島「例えば、嫌がらせで大量の髪の毛が送られてきて、それを見た花純ちゃんがびっくりするっていうシーンがあるんだけど。現場だと、すでに目の前に物(大量の髪の毛)があるところから演技が始まるので、スタートがかかったときに驚きが小さくなってしまいがち。なので、花純ちゃんのように大きく演技ができるのって、やっぱり舞台経験のない人にはできないことなんじゃないかなって。だから、その驚きという一瞬もちゃんと演技に乗せて、どうショートドラマの中に落とし込むかっていう計算があって。僕ら役者がショートの世界に輸入されている意義というか、『僕らならここまでできるぞ』っていうのを見せるために一緒に戦えたような気がしてる。視聴者のみなさんがどう感じてどう評価されるかはまだわからないけど、楽しみだよね」
山谷「配信モノって、スマホで見るから寄りのカットがどうしても多くなりがち。でも、今回、我々は(役者なら)引きでも(演技を)見せることができるんだぞって思いがあって。それこそ、今回は田島さんと私それぞれの単独のシーンがすごく多くて。別々で撮っているときに、田島さんの一人が電話で話しているところとか、モノローグのシーンとかが本当にステキだった。それって、(演技の掛け合いじゃないから)リアクションじゃないし、誰かの影響をもらうわけではないので、自分の中で組み立ててトータルでどういう風に見せていくのかをしっかり把握していないと成立しないカットなんだけど。そこは演技をしたことのない人には負けない。ってお互い同じ思いを持ちながらカメラの前に立っていたんだっていうことを今、話してみてわかった」
田島「(SNSのフォロワー数などの)数字では負けている役者の僕をキャスティングしてくれたことに対して何が提供できるのかってなったときに、やっぱり全力で考えて、経験と技術を使い尽くすみたいなものは意識していたと思う」
この記事を書いた人
東京在住のライター・エディター。『smart』『sweet』『steady.』『InRed』など、ウィメンズ、メンズを問わず様々なファッション誌やファッション関連のwebでライター&編集者として活動中。写真集やスタイルブック、料理本、恋愛心理、インテリア関連、メンタル&ヘルスケアなどの本の編集にも携わる。独身。ネコ好き。得意ジャンルはファッション、ビューティー、インテリア、サブカル、音楽、ペット、料理、お酒、カフェ、旅、暮らし、雑貨など。
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