「本当の私は“まひる”じゃない。太陽が嫌いで雨が好き」甲田まひるが語る恋愛やネガティブを超える秘訣本当に自由なのは音楽よりもファッション
執筆者: 音楽家・記者/小池直也
恋人への不満はすぐ曲にする
――3曲目「I LIKE IT LIKE THAT」は細かい3連符のラップが光っていました。
甲田:私のほうでコードとメロディ、歌詞を考えてLYNN君に投げたら、その日のうちにビートが乗って返ってきて完成した曲です。周りから「ラップで畳みかける曲が聴きたい」とよく言われていたし、こういう感じの曲を自分もやりたかったんですよ。やっぱり普通に歌うよりもラップのほうが楽しいですね。
まだまだ歌は目指したい表現があるので課題はありますが、もともとシンガーだったわけじゃないし得意でもない。自分が好きなアーティストも技術だけではなくオーラや雰囲気とか、言葉にし難い魅力がある人が多くて。この曲も「なんとなく気持ちいいな」と思って聴いてくれたら最高です。
――冬っぽいイントロから始まる楽曲「SIDE EYE」はどうでしょう?
甲田:この曲のプロデューサー・SUNNY BOYさんは去年リリースした「Snowdome」も共作していただいた方なので、その続編を作りたかったんです。だから内容は時を経て「今年の冬は新しい出会いにワクワクしてる」みたいな感じで、あとは切なさもほしいなと。
それを踏まえて適当に歌っていたら、不意に浮かんだリズムから「SIDE EYE」という言葉が浮かんだんです。「横目で見てる」って、あまり日本語や英語で使わないけど面白いですよね。ストレートに正面を向いて好きというよりは、少し伺うような女性像が個人的に好き。
あと先日、鼻歌で歌ったデモ音源を友達に聴かせたら、完成版とメロディが変わってないことに驚かれました。考えた歌詞に沿って音の流れを変えたほうが自由が効くからだと思いますが、私は歌詞よりもメロディ優先。パズルみたいに言葉をはめていくんです。
――<U the only one on my wish list/寒くても丈はミニ>は面白いラインですよね。実はギャルなんだという。
甲田:寒さに弱いから冬は絶対に足を出さないので、この部分はリアルじゃありません。ミニスカートの学生を見ると「すごいな」と思います。最近はギャルがブームになったからかミニの子が多いし、デートではりきっちゃう女の子が表現できるかなと思って、ここだけ第三者目線になりました。本当は履きたいですけどね(笑)。
――歌詞のなかの恋愛観についても聞きたいです。
甲田:想像する部分もあるけど、リアルなほうが「自分の曲だな」と感じるし歌っていて楽しいので、日常生活で何かあったらメモして歌詞に反映させてます。恋人に対しての不満が溜まったら全部書いておいて、その日のうちに曲にしたりもします。めちゃくちゃカッコいい曲ができると、もう全然平気。それで自分の機嫌をとってますね。
やっぱり曲を作るときはまず、あくまで自分のためです。それで共感してもらえたらラッキー。ぶっちゃけヒップホップが好きすぎて、フェイクなことを歌っても意味ないなと思ってしまうんです。もちろん「丈はミニ」まで詰められれば大ウソでもいいんだけど(笑)。
この記事を書いた人
音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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