「50代の恋愛が面白い」Netflix『あいの里』制作プロデューサーに聞く、最新シリーズの前代未聞な出来事の舞台裏【ネタバレあり】
執筆者: ライター/石野志帆
シーズン2に訪れた“未曾有”の事態
──11月12日(火)現在配信されているエピソード12までで、特に印象的な出来事は何ですか?
西山 印象に残っていることはいっぱいあります。マイクロヤギのさとちゃんが亡くなってしまったときは、どうしようかと思いました……。動物がいると住民の心も和むので、シーズン1でも動物を一緒に育てながらの共同生活を考えていたんです。
当初はニワトリを飼おうか話していたのですが、そんなときにみな姉が「動物を連れていってもいいですか」と聞いてくれて、アヒルとピグミーマーモセットを連れてきてくれました。シーズン2の今回は沖縄でマイクロヤギとの出会いがあって、あいの里に迎え入れたんです。大切に育てていたので、もう本当に悔しくて……。
──さとちゃんが亡くなってしまった当時、実際何が起きていたんでしょうか?
西山 本当に急な出来事でした。特に寒い時期は早く死んでしまうヤギもいるということでして、本編にも専門の方の解説が入っていますが、原因は本当にわからなかった。申し訳なかったです。
──エピソード10では、暴走したギタりんが“冷却期間”としていったんあいの里を離れるという前代未聞の出来事もありました。
西山 ギタりんがあいの里を出たときは、とにかく大変でした。ギタりんは、ボディータッチ一つやったことがない人だったんです。でも「自分を変えなきゃいけない」と思い、もともと正直な人ですが、このときは正直にやりすぎてしまいました。
ギタりんとしては、他の住民たちやアンチョビのアドバイスを聞いてその通りやったつもりだったと思うんです。ただ、「このままでは全員にとって良いことはない」という判断で、冷却期間を設けました。
──冷却期間というのは、西山さんの番組制作経験上でも初めてですよね?
西山 初めての経験です。基本的には問題が起きても住民同士で解決すべきだと思っています。しかし今回は、ギタりんの言動だけでなく誤解も相まって、解決に向けた雰囲気を作るのがとても難しい状況でした。制約のある共同生活でいろいろと溜まっていたのかもしれません。
──エピソード8では、シーズン1の住民“アンチョビ”が出てきました。どんな経緯があったんですか?
西山 シーズン2の制作が決まった段階で、アンチョビだけはありだなとは思っていたんです。でもアンチョビは恋愛するハードルが思ったより高くて、シーズン1でも彼自身から好きになることはなく「好かれている」と勘違いして終わってしまいました。同じことにならないように“世界的恋愛アドバイザー”として、あのような形で参加してもらいました。
──アンチョビはシーズン1でも印象に残るキャラクターでした。
西山 もしあの場面でアンチョビが誰かに一目ぼれして「とにかく残してください!」って言ったなら、住民として参加もありだったかもしれませんが、そうはならなかったですね(笑)。彼は自分から恋愛をするのに時間がかかるのかもしれません。
──シーズン1でアンチョビが最後まで残った理由も明かされ、その優しさは伝わってきました。
西山 アンチョビは本当に優しいんですよ。ある意味ギタりんと似ていると思います。ものすごくピュアで、ものすごく優しい。アンチョビはシーズン1で、毎朝早起きして1人で床に雑巾をかけて掃除をしていたんですが、実はギタりんもそういうところがあるんです。
あんまり映ってないんですけど、1人で皿を洗ったり、他の住民が嫌がりそうなことを黙々とやったりしていました。みんなの生活を良くするために頑張るっていう点では、アンチョビとギタりんは似ていましたね。
この記事を書いた人
TV局ディレクターや心理カウンセラーを経て、心を動かす発見を伝えるライター。趣味はリアリティーショー鑑賞や食べ歩き。海外在住経験から、はじめて食べる異国料理を口にすることが喜び。ソロ活好きが高じて、居合わせた人たちの雑談から社会のトレンドをキャッチしている。
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