「50代の恋愛が面白い」Netflix『あいの里』制作プロデューサーに聞く、最新シリーズの前代未聞な出来事の舞台裏【ネタバレあり】
執筆者: ライター/石野志帆
沖縄の古民家を舞台に選んだワケ
──今回の舞台は沖縄です。どんな理由からでしたか?
西山 過去に『あいのり』を制作した際、寒い場所と空気が薄い高地だと恋愛が進みにくかったんです。なので、温暖な場所で古民家を探しました。そのなかでも琉球古民家というのは、他とは違う赤瓦が特徴的で、必ず中庭があって家の造りに区切りがないんです。とてもおおらかな空間なので「恋愛が生まれやすいかも」と思い、沖縄にしました。
──シーズン2では初めて住民を公募し、オーディションをされたんですよね?
西山 シーズン1は公募ができなかったんですが、今回は前作を観て「出てみたい」という人がたくさん集まってくれました。応募者は女性が多くて男性の2倍いたんですけど、特に50代の女性が多かったです。
みなさんものすごく積極的で、一人ひとり歩んできた人生が本当にいろいろな方ばかりでしたので、とにかく候補を絞るのが大変で。その中でも選りすぐりの人たちでスタートしました。
──選ぶ上で重視した点はどんなものだったのでしょう?
西山 「最後の恋をしたい」という気持ちの強さを選定の大前提にしながら、番組ではいろんな問題提起をしたかったので、多様性を大切にしました。例えば、卵子凍結をしている人、国際結婚の経験がある人、真っ直ぐすぎて共同生活が少し苦手な人……など、いろんな価値観、バックグラウンドの人が揃うことを心がけましたね。
──中年以降の恋愛は「いい歳してみっともない」というような批判もあるかもしれませんが、それでも「大人の恋を描くのは面白い」という確信はありましたか?
西山 番組に応募するっていうのは相当の勇気だと思うんですよ。この年代、特に40代50代で応募される人は「自分の人生を変えたい」と思っている人が多いと感じました。どこまでも本気ですよ、やっぱり。それだけモチベーションが高い人たちなら、面白いものができるに決まってると思いましたね。
──参加者には50代も多く、期待が高まります。
西山 シーズン1では“中さん”と“みな姉”の恋愛が撮れてすごく良かったので、50代の恋愛を「もっと掘ってみたい」と思いました。50代以降の恋愛って、第2の人生の始まりを感じるものだと思うんです。仮に人生が90年だとすると、50歳って高齢者の中では“若者”なんですよね。「これから高齢者」という青春の真っただ中で、逆にエネルギーがあるから恋愛に対して積極的な面も出てくる。
ですから、今回あえて50代の方を入れたら、特に女性2人の恋が最初は全然動かなくって……(苦笑)。僕は辛くて本当に胃が痛くなりました。最初は「読みが外れた」と思ったんですが、最終的には、本当に面白くて感動できるものが撮影できました。ぜひ楽しみにしてください。
この記事を書いた人
TV局ディレクターや心理カウンセラーを経て、心を動かす発見を伝えるライター。趣味はリアリティーショー鑑賞や食べ歩き。海外在住経験から、はじめて食べる異国料理を口にすることが喜び。ソロ活好きが高じて、居合わせた人たちの雑談から社会のトレンドをキャッチしている。
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