「史上初!?ご飯のお供が小説に」小説家・山口恵以子×ご飯のお供専門家・長船クニヒコ対談「家でのんびり楽しめるご飯のお供は酒の肴としても最高!」
執筆者: エディター・ライター/相馬香織
長船クニヒコが小説に登場!その狙いとは?
山口:ご飯のお供はお酒に合う」と思っていて、日本酒ってお米からできているお酒だから、ご飯に合う「ご飯のお供」は全部酒の肴になると思うんです。小説の中では、定年退職した女性が、自宅を改装したカウンター5席だけの店をワンオペで始めているけれど、ご飯は自分で炊いて、味噌汁はこってり系とあっさり系の2種類を作る。でもおかずはみんなお取り寄せ品で、お酒の肴もそれを少し利用して作るんです。このフォーマットというか、お店のかたちを思いついたのはよかったなと思っています。このお店にしたからこそ、ご飯のお供をたくさん出すことができたし、とても書きやすかったです。
長船:いろいろな地域のご飯のお供を選ばせていただいたんですが、どうしても地域差があって、この地域はたくさんのご飯のお供があるけれど、別の地域はあまりないということがあるんです。なので、地域の偏りがないように選ぶのが大変でした。さらにカテゴライズも難しかったです。例えば「佃煮」というカテゴリーと「海の幸」というカテゴリーがあるとしたら、佃煮には海の幸を使っているものも多くて、両方に当てはまってしまうんです。それをどう分けていくのかがすごく難しかったですね。最終的には上手くまとまっていてホッとしました。
そして小説には「長船クニヒコ」が登場しているのですが、原稿をいただいて読み進めていくと「自分が出てるやん!」と驚きました(笑)。チラッと出てくるとは聞いていたんですが、ここまでしっかり登場するとは思っていなくて。初めて本を出すと同時に、まさか自分が小説に登場するとは思いもよらなかったので嬉しかったです。
山口:あれは、主人公がご飯のお供を主力にした「めしのせ食堂」というお店を始めるきっかけには、長船さんが登場するのが一番しっくりくるし、いいだろうと思って。ご飯のお供のプロでお取り寄せのプロの長船さんに「頑張って作らなくても、お寄り寄せでいいじゃないですか」って勧めてもらうのがスッキリしていていいなって思いました。
長船:ありがとうございます。2月くらいには先生が本に出てくるご飯のお供の販売会と試食会を書店で行ってくれて、その節もありがとうございました。
山口:つくばのコーチャンフォーという大きな書店さんでやらせていただいて、レジ横に私の本といろいろなご飯のお供を置いてくれたので、みなさんご飯のお供を買う時は私の本も必然的に買ってくれるというありがたいイベントでした。スーパーの試食コーナーのように、一口サイズの容器にご飯とご飯のお供をのせて、あちこちお客さんに「どうですか?どうですか?」と言って食べてもらいました。そうするとみなさんやっぱり買わなきゃ悪いかもしれないと思って買ってくれたんですね(笑)。
長船:僕も先日、名古屋と六本松の書店で、ご飯のお供を試食してもらうイベントを行ったんですが、やっぱり食べてもらうと結構売れましたね。一口でも食べることができるとその美味しさを知ることができるし、ご飯と食べると美味しいということを知ってもらえるので、冷蔵庫で残りやすく避けられがちの瓶詰めのアイテムも売れていたので、売り方を工夫すればまだまた可能性があるんだなと改めて思いました。
山口:ご飯のお供って、よそいきじゃなくて、のんびりリラックスしながら楽しめるっていうのがいいですよね。
長船:そうですね。ご飯のお供は、ハレの日のご飯ではなく、家で日々食べるものなので、外食とはまた違った楽しみがあるのではないかなと思います。
山口:だからやっぱりご飯の偉大さを感じますね。栄養学も日々進歩していて、今の栄養学では、ご飯って非常に素晴らしい主食なんですって。塩や油、イースト菌なんかも入れないで水を加えるだけで炊いてますでしょ?純粋カロリーといって、非常にいい主食らしいですよ。
長船:先生は、今回の本とは関係なく、好きなご飯のお供やこれがないとだめというものってあるんですか?
山口:ご飯って柔軟性があって何にでも合うから、これがないとだめというのはないんだけど、食品として卵が好きなので、スクランブルエッグとか卵料理が好きです。でも卵かけご飯が苦手なんですよ。黄身は生でもいいんですけど、白身が生なのはすごい嫌で、白身が透明なのは許せないんです!白くなっていてくれないと(笑)。月見そばは好きなんですけどね。
長船:確かにわかります、ちょっとツルッとした感覚と生臭さがありますもんね。卵繋がりで言えば、僕もご飯のお供を食べていると、味が濃くて食べられないものも中にはあるんです。そんな時には、卵焼きを作ってご飯にのせて、その上にご飯のお供をのせて食べると卵が味を和らげてくれるんですよ。
山口:そうそう。蕎麦の汁がちょっと塩辛いなって時とかも、卵を入れればまろやかになるんです。アレンジで言えば、サクサク醤油アーモンドっていうアーモンドのご飯のお供という珍しいものがありまして、あれはご飯のお供もいいんですけど、バゲットとかにカッテージチーズなどの塩気の少ないチーズを塗って、その上にちょこっとおくとワインにぴったりのおつまみになるんですよ。
長船:へぇ、アレンジのアイデアがすごいですね。そういったアレンジレシピもご飯のお供の魅力ですし、今回の「めしのせ食堂」は実際にある商品を紹介しているのが強みだと思います。これからも試食などのイベントをもっとやっていきたいなと思っています。
この記事を書いた人
映画配給会社を経て、出版社で企画立ち上げ、海外取材などを数々こなし編集長に就任。現在はベトナム・ハノイを拠点に、日本、韓国を飛び回りフリーランスの編集者として活動中。趣味はアクセサリー製作。インスタではベトナム情報をメインに発信中。
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