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美食家ジャイアント馬場が「こんなに旨いものがあったのか?」と絶賛した意外な料理“デンジャラスK”川田利明が「麺ジャラスK」に“転職”した理由

執筆者: smart編集部

プロレス界で個性を出すために“不器用なキャラ”を演じていた

 この本の第2章以降は、読んでいる方が「川田はいったい何をやっているんだ?」と呆れるくらい、俺の失敗体験がこれでもかと出てくる。

 プロレスファンの人からすれば「なるほどな。やっぱり川田って不器用だからな」と妙に納得してしまいかねないので、最初に書いておく。

 俺、本当はすごく器用だよ、と。

 若手の頃から俺の試合を見てくれていた人は知っているかもしれないけど、昔の俺はなんでも器用にこなすプロレスラーだった。

 アマレスをやっていたからグラウンドもできるし、プロレスラーになってから空手を習いに行かされたのである程度の蹴りもできる。身のこなしも軽かったので、いわゆる空中殺法も楽々とこなせた。実際、2代目タイガーマスクだった三沢さんとのコンビで、タイガーマスク2号にすることを馬場さんは考えていたほどだ。

 ひとことでいえば、オールラウンドプレーヤーだった。

 それってものすごく自慢のように聞こえるかもしれないけれど、個性の塊のような人たちがたくさんいるプロレスの世界では、皮肉なもので、なんでも器用にこなせることは逆に「無個性」として、完全に埋もれてしまう。

 ある程度、キャリアを積んだ時点で、自分もそれに気が付くのだ。「このままじゃ俺、これ以上、上には行けないな」と。

 じゃあ、何か自分にキャラ付けをしなくちゃいけない。でも、他のレスラーとキャラ被りでもしたら、それはそれでまったく目立てない。誰もやっていないキャラってなんだろう、と考えていた時に出てきたのが「不器用」だった。

 リング上では武骨な試合をして、試合後はマイクアピールもしなければ、控室でもコメントを出さない。それを続けることで「不器用で無口」という俺だけの個性が生まれ、結果としてメインイベンターとしての地位を築けた。

 まぁ、裏を返せば、器用な人間だからこそ、そういう不器用キャラを演じることができたんだけどね。本当に無口だったら、こうやって接客業を10年も続けていけるわけもない。これが俺なりの「プロの流儀」です。

 ちゃんこ番の時も、先輩から「つみれ鍋が食べたい」と言われたら、見様見真似でイワシを一匹一匹おろして、団子にしていたので、手先も器用なんだと思う。それが店の経営となると、急に不器用になってしまうから難しいんだよな……。

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