祝!初音ミク16回目のバースデイ !世界中で愛されるバーチャル・シンガーの軌跡を振り返る
執筆者: 編集者・ライター/志田英邦
インターネット発の新しい文化として、セカイを変えた歌声が誕生したのは2007年。キャラクター「初音ミク」の年齢である16歳と同じ16周年を迎えたことを記念し、改めて注目!
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初音ミク
16歳までの軌跡とミライ
クリプトン・フューチャー・メディアから発売されている歌声合成ソフトウェアとそのキャラクターである「初音ミク」。2007年にデビューした電子の歌姫は、分野を超える大きなムーブメントを生み出してきた。多くのアーティストたちが彼女を歌声合成ソフトウェアとして使用して、数々の名曲をリリース。ブルーグリーンのツインテールのキャラクターはアイドル的な人気も獲得した。「ボカロ(ボーカロイド)」と呼ばれる音楽ジャンルが生まれ、ニコニコ動画などの動画共有サイトが注目を集めた。ユーザーによる多彩な創作活動で成長し、いまや様々な分野で活躍している。メジャーシーンにおいてもその影響力は絶大だ。彼女の誕生と歩みに祝福の言葉を贈りたい!
PROFILE/初音ミク
クリプトン・フューチャー・メディア株式会社が開発した、歌詞とメロディーを入力して誰でも歌を歌わせることができる「ソフトウェア」。大勢のクリエイターが「初音ミク」で音楽を作り、インターネット上に投稿したことで一躍ムーブメントに。「キャラクター」としても注目を集め、人気は世界に拡がっている。
※「鏡音リン」「鏡音レン」「巡音ルカ」「MEIKO」「KAITO」もクリプトン・フューチャー・メディア株式会社が展開するバーチャル・シンガー
初音ミクSTORY
2007年〔初音ミク誕生〕
8月31日にソフト「キャラクター・ボーカル・シリーズ01初音ミク」発売。ニコニコ動画に数多くの楽曲が投稿され人気になっていく。
2008年〔ボカロPによるメジャーアルバム発売〕
キャラクターソング的なものからクリエイターの世界観や個性を表現する楽曲が増えていき、ボカロPによるミクの初メジャーアルバムも発売。
2009年〔ボカロブーム白熱!〕
初音ミク発売2周年記念ライブイベント「ミクフェス’09(夏)」開催。3D映像によりミクがそこで“歌って踊っているみたい”と大盛り上がり
2011年〔海外へ進出〕
「ANIME EXPO2011」で国外初の単独ライブ「MIKUNOPOLIS in LOS ANGELES」を開催。よりリアルで臨場感あふれるミクのパフォーマンスで、初音ミク現象がワールドワイドに!
2013年〔様々な分野に活躍が広がる!〕
ゲームやミュージカル、オペラ、小説、アート展、音楽フェスへの出演、様々なコラボレーション商品の発売など、活躍のフィールドをどんどん広げていく。
2016年〔伝統芸能とのコラボレーション〕
ニコニコ超会議2016で超歌舞伎『今昔饗宴千本桜』上演 。大ヒット曲「千本桜」と歌舞伎の代表作のひとつ『義経千本桜』が融合したオリジナル演目に主演。
2020年〔音楽と人間の関わりを支える存在に〕
スマートフォン向けゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat.初音ミク』サービス開始。様々なボカロ楽曲をプレイできるリズムゲームであるのはもちろん、ストーリー性の高さも人気に。
2023年〔16歳の誕生日〕
8月31日に初音ミクが、キャラクターの年齢16歳と同じ16周年を迎える。16 周年を記念した各イベントやグッズ等の展開を実施。8月・9月に実施の初音ミクたちのライブ&企画展『初音ミク「マジカルミライ2023」』にも注目!
広がる・深まるミクの世界
ボーカロイドとしてデビューした初音ミクはたちまち人気を集め、いまや様々な分野で活躍している!
『プロセカ』など多彩なゲームを展開
〔ゲーム〕
© SEGA / © Colorful Palette Inc. / © Crypton Future Media, INC. www.piapro.net piapro All rights reserved.
アプリゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』をはじめ、初音ミクなどボーカロイドをフィーチャーした音楽ゲームが登場。大ヒットを記録している。
初音ミク「マジカルミライ」など
〔ライブ〕
©CFM/©TOKYO MX/©SEGA
3DCGを透過スクリーンに投影する形で、初音ミクがステージ上に登場。「マジカルミライ」や「MIKU EXPO」などで熱狂のライブを繰り広げている。
超歌舞伎
〔伝統芸能コラボ〕
超歌舞伎 Supported by NTT『今昔饗宴千本桜』 ©超歌舞伎
2016年から、中村獅童と共演し 伝統芸能「歌舞伎」ともコラボ 。ボカロ曲「千本桜」と 、 歌舞伎の代表作のひとつ『義経千本桜』が融合した演目など、オリジナル作が毎年話題に 。
【公演情報】
2023年12月 歌舞伎座で上演決定
『キャラクター・ボーカル・ シリーズ01 初音ミク』など
〔フィギュア〕
Art by Rella Ⓒ CFM協力:グッドスマイルカンパニー
キャラクターとしても初音ミクは人気。写真はイラストレーターRella氏によって描かれた「16歳の誕生日」をテーマにしたビジュアルを、スケールフィギュア化!
初音ミクの楽曲を手がけてきた
クリエイターからメッセージが到着!
40mPさんからの
メッセージ
PROFILE/40mP
ボーカロイド楽曲の制作の他、歌手、アニメ、ゲーム、映画などへの楽曲提供、専門学校での特別講師、小説やエッセイの執筆・監修など幅広く活動。
学生のころからDTMでインスト曲を作っていたのですが、2008年に大学を卒業して会社員になるタイミングで、環境を一新して歌モノを作ってみたいと思うようになりました。当時ちょうど初音ミクが流行り始めた頃で、ニコニコ動画でボカロ曲を聴き、とくにsupercellさんやkzさんなどの曲に感動して自分もはじめてみようと思い立ちました。
リアルの人間のボーカルの場合、その人のキャラクターや音楽性や得手不得手に合わせて曲を作ることになります。それは楽曲提供であれ、自分自身で歌ういわゆるシンガーソングライターであれ、必ずある程度の縛りの中で音楽制作をすることになります。初音ミクをはじめとするボカロの場合、自分がそのとき作りたいものを100%表現できる自由度の高さが魅力だと思っています。
ミクの曲を作ると原点に返ったような安心感や、ミクでしかできない表現の楽しさに気づけたりします。こんな感じで末永く音楽制作のパートナーとしてお付き合いしていきたいです。
みきとPさんからの
メッセージ
PROFILE/みきとP
2010年、ボカロPとして活動を始める。「小夜子」で初の殿堂入り。「少女レイ」などヒット曲を手がけ、3枚のアルバムをリリース。
初音ミク・アペンドのボイスライブラリに惚れて以来ミクを使い始めました。シンガーソングライターのように自分で歌うのとは違い、初音ミクというフィルターを通して、ときにフラットに、ときに誰かがそこに意味合いを持たせて聴いてもらえることが素敵だと思います。
いまでは便宜上「ボカロP」と名乗っていますが、自分がボカロPであるという自覚はあんまりないです。でも、イベントなどでファンの方と会い、応援の声を聞くのはとても励みになります。それに、参加しているクリエイターとの交流によって自分の現在地の確認ができるような気がします。ただ、中学生の親戚にボカロファンがいて、僕が「みきとP」と知るやいなやすこし距離を置かれているような気がします。いい意味であってほしいです。
(初音ミクを使っている方へアドバイス)
エディターのベロシティは結構大事ですよ。子音の長さが変わるので、「っ」等の表現力が上がります。
ピノキオピーさんからの
メッセージ
PROFILE/ピノキオピー
2009 年より活動を始め、2012年にメジャーデビュー。これまで100万再生された曲は27 曲(23年8月現在)。
「初音ミク」は人には歌えない音域や高速のメロディも歌えることと、漫画のキャラクターにセリフを喋らせるように、色んな人格で色んなテーマを歌わせることができるので、人ではないからこその表現の幅があると感じています。少し間が抜けていて、かっこよくなりすぎない声が好きです。シニカルだったりシリアスな楽曲を中和してくれるので、ちょっと人が歌うと違和感が出てしまうような楽曲も作ることができます。
僕はアゴアニキさんの「ダブルラリアット」を聴き、「ボカロでこんな泥臭いロックの曲を作ってもいいのか」と衝撃を受けて、自分もボカロ曲を作ってみようと思いました。楽曲を褒めていただけたり、応援してくれるコメントが嬉しくて創作を続けられています。
これからも「初音ミク」と人間が共存するからこそできる表現を探っていきたいと考えています。こちらからバーチャル空間へ入ったり、現実に初音ミクを引っぱり出したり、一緒に肩を組んで歌うようなライブをもっとやりたいです。
Text_HIDEKUNI SHIDA
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この記事を書いた人
ゲームを作ったり、小説を書いたり、本を作るお手伝いなどいろいろ。日々さまざまな制作現場にお邪魔して面白いことを探しております。美味しいカレーと極上のうどんを探し求めつつ。
Instagram:@hidekunishida
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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