連載へそまがりスニーカー愛好家・ITOのスニーカー探訪「逸足触発」
へそまがりスニーカー愛好家・ITOはナイキの“逸足”で夏フェスに乗り込む!? 最高のフィット感でまさに“SFB”
執筆者: ライター/TOMMY
ストリートを中心としたファッション業界で幅広い人脈を擁する「伊藤商店」のITOさん。“へそまがりスニーカー愛好家”を自認し、他の人とは違ったニッチな目線でスニーカーを楽しむ彼に、いま気になる新作モデルを紹介してもらう不定期連載【へそまがりスニーカー愛好家・ITOのスニーカー探訪「逸足触発」】。自由な視点で探す自分だけの逸足・そして見つけた瞬間に爆発する物欲。周りと被らず、かつ個性も発揮できちゃう。そんな一足を教えます!
「プロダンサーが愛用する“踊れるスニーカー”」ダンスとファッションを融合させた足元コーデがおしゃれ
ナイキの最新ミリタリーシューズは
S…最高のフィット感で
F…フェスに履いていくのにも
B…ベスト!
TOMMY さてと……昨日いきなり連絡が来て、「明日は原宿で待ち合わせで!」って聞いたけど……ITOさんどこだろ?
ITO TOMMYくん!
原宿の路上は意外にキレイ。なんでもゴミ拾いをしている若者たちがいるとか。立派ですね。
TOMMY え? なんかITOさんの声が聞こえたような?
ITO こっちこっち!
現在時刻は午前11時。歩いているのは、これから出勤するアパレル系の人たち。みんな頑張れ〜!
TOMMY こっちってどっちですかぁ!?
ITO だからぁ……こっちですって!
(あれ、怒ってる?)「 ITOさん、おはようございます!」(TOMMY)。
(反応がないんだよなぁ……)「いやぁ、今日も暑いですね」(TOMMY)。
(まったく感情が読み取れないんですけど……)「さっき、めちゃくちゃ巨乳の女の子が歩いてましたよ」(TOMMY)。
TOMMY あ、いた♪ なんでそんなとこに座ってるんですか?
ITO いやいや、実は昨年末からこの連載ってスピンオフばっかりだったでしょ? なので、久しぶりに普通の『逸足触発』をやろうと思って急遽(きゅうきょ)、旧知のショップに連絡して取材を段取っておいたんスよ。
「いや……それ、マジすか !?」(ITO) 。なぁ〜んだ機嫌イイじゃん♪
TOMMY ガチすか !? 有能すぎる!
ITO へへへ(褒められてまんざらでもない様子)。
TOMMY たしかに「アトモス」「キネティクス」「ビリーズ」「ミタスニーカーズ」「シュープラザ」以降、「ITOさんの年間 BESTスニーカー」に「パスオーバーでのPOP UP」と番外編が続きましたもんね。で、今回お邪魔するのは?
ITO あの頃、裏原宿で「チャプター(アトモス)」や「アンディフィーテッド」と並ぶ勢力として注目されていたスニーカーショップといえば……そう、「リミテッドエディション」の原宿通り店です! では、早速突撃しちゃいましょう!
TOMMY ちょっと、それ僕が言うセリフですから!(汗)。
いつも通り、店前での1カットからスタート。手の動きはもちろん、腰の落とし方といい表情といい、すっかり慣れたモンです。
TOMMY 原宿での取材は、それこそ昨年末に「オーサムボーイ ヴィンテージ」でやった「ITOさんの年間 BESTスニーカー」以来です。久しぶりに来るとスニーカーショップがめちゃくちゃ増えたのを実感しますね。
ITO たしかに。でも、新しく増えたようなショップはどこもセレクトが分かりやすいっスよね。いわゆる“ハイプなスニーカー”と呼ばれるプレミアモデルばかりで、そういうのを履かないし興味がない僕としてはイマイチ……。
TOMMY たしかに興味なさそう(苦笑)。でも、一般的にもその方向に進んでいるんじゃないですかね。「リミテッドエディション」のゼネラルマネージャーを務める菅原さん曰く、もう「エア ジョーダン 1」はまったく動かなくなっているそうですし。
ITO スニーカー好きだったら、みんなもう何色も持っていて飽きてるでしょ。その辺りを中心に置いてあるショップって、アジア圏を中心とした外国人旅行客を当て込んでいるんじゃないスかね。
TOMMY ですね。その一方で〈ナイキ〉の「ダンク ロー」の黒×白、通称“パンダ”はまだまだ売れ続けているそうなので、本当に明暗クッキリって感じかと。ところで、「リミテッドエディション」さんとは旧知の仲とのことですが、付き合いは長いんですか?
ITO 先ほども話に出た菅野さんとは、「チャプター」時代の同僚だったんスよ。当時、僕も24〜25歳とかだったかな。で、菅野さんが「リミテッドエディション」に入社してからは、原宿に来るたびにチョコチョコ顔出したりしていて、かれこれ18年くらいの付き合い。
TOMMY ここはどういった特徴のあるショップなんですか?
ITO 基本的には、海外買い付けのスニーカーセレクトショップなんですが、最近は〈アディダス〉や〈コンバース〉などの国内正規ディーラーとしてもアイテムを展開しているみたいです。僕らがストリートのド真ん中にいた頃は、ドメスティックブランドの〈コック〉やスケーターとダンサーに人気だった〈スープラ〉の取り扱いで名を馳せていましたね。
TOMMY うわっ、懐かしい!
ITO そんな感じで、ラインアップもその時々のトレンドに合わせて上手に変えているってのが、すごいっスよね。店内もスッキリ洒落ているから、一見のお客さんも入りやすいでしょうし。両方の壁一面がディスプレイになっているのも圧巻!
ITOさんが両手を広げてもまだ足りないくらい壁一面にスニーカーがビッシリ。「体で Tを表現してみました!」(ITO)。ズコー!
ITO 配置を見る限り、〈ナイキ〉でも「エア ジョーダン 1」や「ダンク」人気はやや落ち着いていて、「エア フォース1」が再び主流に。さらに定番の〈ニューバランス〉も、僕ら世代の大好物な「99x」番台よりかは、最近のマッシュアップ機種が人気みたいですね。ひと言で表すなら“今っぽい”なと。
TOMMY そんな中で、気になったモデルがあれば、ドンドン手に取ってチェックしていきましょ!
ナイキ「エア モア アップテンポ スライド」¥22,880 を持って、何とも言えない表情のITOさん
ITO (おもむろに1足を手に取り)見てくださいよ。〈ナイキ〉の「エア モア アップテンポ」、通称“モアテン”をスライドサンダルにアレンジしています。う〜ん、これって…サンダルにする意味が分からなくないスか?(笑)。あの無駄にボリューミーなシルエットが打ち消されているし、ビジブルエアもヒール部分だけだし。発売前はそれなりに話題になったけど、今となってはマジで、街で履いている人を見かけない(笑)。
TOMMY モアテン自体は一時期、新宿歌舞伎町のホストの間でも流行っていましたね。
ITO ボトムスは細い方が相性もイイので、その辺もホストにハマった理由かも。あえて今、履きたいというか気になります。
TOMMY ITOさんはこういったサンダルを履く時、どんなソックスを合わせるんですか?
ITO 基本的にソックスは、真冬以外履かないっスね。なので、蒸れや汗などによる臭い対策として、足にまぶすサラサラしたフットパウダーは愛用しています。僕の場合は、そもそも足にあまり汗をかくタイプじゃないのと、スニーカーの履き口からソックスが見えるのが苦手で。歩いている内にズレたりもするじゃないスか。それもイヤで、履くのをやめました。
TOMMY じゃあ、わざわざ今日は試し履き用にソックスを買ってきたんですか?
ITO マナーですからね。いつもはこういう時のために持ち歩いているんですが、入れ忘れていることに途中で気付いて、速攻ローソンで買ってきました。
TOMMY あざます! でも、たしかに〈ナイキ〉では「エア フォース1」が人気のご様子で。
ITO でしょ? それで言うと、コレとかイイんスよね。ジュエルスウッシュで“NYC”とか最高すぎ! 懐かしいのもあるけど、単純にこういうへそ曲がり感が大好き♡
ナイキ「エア フォース1 ミッド“NYC”」¥27,280。分かりづらいけど、地味にテンションアップしています。
TOMMY こういうのに反応するのってオッサンばっかなんでしょうね(笑)。
ITO 若い世代に説明しても、「だから、なんスか?」なんて言われそう(笑)。あとはコッチもほら、イイ感じじゃないスか!
ナイキ「エア フォース1 07 WB」¥27,280を持って、思わずニヤケてしまうITOさん。
「ウィートカラーのアッパー×ガムソールは鉄板!」(ITO)と言いつつも、自分ならどう色付けするかを真剣に悩むの図。
ITO ウィートカラーのヌバックアッパー×ガムソールって、最高の組み合わせの1つだと思うんスよね。あ、でもウィートカラーに黒ソールとか面白いかもなぁ……(ブツブツ)。こういった鉄板モノって固定観念を一度破壊することで、新たな可能性が見えてくると思うんですよ。
TOMMY お毎度のことですが、ITOさんにアイテムの色付けやディレクションをお願いしたいブランドさんを募集中です。「ぜひ!」というブランドさんはsmart編集部までご連絡ください!(ペコ)。
ITO ぜひ! うん? コレは……。
TOMMY どうかしました?
ITO コレちょっと気になるなぁ……(興奮からの鼻息荒め)見てくださいよ。〈ナイキ〉の「エア ズームフライト 95」っスよ! 中学時代にこれのオリジナルを愛用していたんで懐かしいなぁ。当時は〈ゲス〉のぶっといパンツなんかと〈ナイキ〉のナイロンジャケットに〈ニューエラ〉のキャップなんかで合わせて、まさにイチカジ(イチローカジュアルの意)みたいな。
ナイキ「エア ズームフライト 95」¥21,990を手に持ち、真顔のITOさん。「青春の一足っス!」(ITO)。
「やっぱ、赤×白っスね」(ITO)。
TOMMY 楽しそうで何より! では、今回はコレで決まりですかね♪
ITO いや、まだ弱いなぁ…。もっとこう“へそまがり”なヤツが欲しいんですよねぇ……。コレ……めっちゃイイんじゃないスか!? 今回はコレでいきましょ!
「コレって……まさか」(ITO)。
「うん、決めました!」(ITO)。非常に良い顔してますね。
TOMMY え~と…〈ナイキ〉の「リアクト SFB カーボン ロー」ということですが、日本未発売モデルなんですね。アメリカ軍への提供を目的として同社が開発し、実際にアメリカ軍でも制式採用されている”SFB(Special Field Boots)”シリーズの新作ですね。現代的なタクティカルブーツのノウハウが惜しみなく注ぎ込まれた一足ってな感じで。
“逸足触発”な6足目は
ナイキ
「リアクト SFB カーボン ロー」
¥33,880
ITO このシリーズから以前リリースされたモデルは、5〜6年前にアメリカ買い付け時に見つけていまだに愛用していますね。そっちはフリーソールという屈曲性に優れたソールが採用されていたんですが、新作ではリアクトソールになっているというところに進化を感じるなぁ。
TOMMY ちなみにリアクトの効用というと、「フルレングスのカーボンプレートを搭載したフライプレートテクノロジーでスムーズな足運びを可能とすると同時に、優れた反発力と柔らかなクッショニングを両立した快適な履き心地を提供する」とのこと。要は、メッチャ歩きやすいし走りやすいってことですね(雑)。どうですか? 実際に履いてみると。
試し履きしたITOさん。実は最近ダイエット(ジュースとアイス抜き)で痩せたとか。たしかにシュッとしている気が!
シューレースは結ばずゆったりが ITOスタイル。このリラックスした感じが玄人ってヤツです。
ITO しかもアッパー素材は、耐久性に優れたバリスティックナイロン。僕ら世代が大好きなワードじゃないですか(笑)。軍用に作っているので機能性とクオリティは間違いないし、オールブラック&スウッシュなんかも超控えめで大人にも履きやすい。僕はアウトドア・アクティビティをあまり嗜まないタイプですが、フェスに出店者としてよく呼ばれることもあって機能性がいかに重要かは重々承知と言いますか。
TOMMY わかります。
ITO 実際、野外で雨に降られたりするとスゲェ疲れるんで、そういうシチュエーションにおける需要はあるんじゃないかなと。踏破性に優れたラバーソールも踏まず部分を鋸歯状にすることで、地面の凹凸などをしっかりと掴むグリップ力を発揮しますし、シュータン部にはシューレースを収納可能なポケットがあったりと男ゴコロをくすぐるディテールが満載! これを DAIGO風に表現するならば、まさに”SFB”!
TOMMY SFB? いや、まんまじゃないですか !?
ITO SFB…“最高のフィット感で フェスに履いていくのにも ベスト!”ってことです。
TOMMY ヒュ〜(口笛)。
(了)
今回お邪魔したのは……
リミテッドエディション 原宿通り店
リミテッドエディション 原宿通り店
(住所)東京都渋谷区神宮前3丁目21-12 WF1ビル(旧 神宮前中田ビル) 1F
(電話番号)050-3553-9292
(営業時間)12:00〜20:00
(定休日)無休
Profile/ITO(伊藤忠宏)
2008年に古着屋「T」を高円寺にオープン。ストリートに根ざしたセレクトが話題を呼ぶ。その後、渋谷に移転し、ミュージシャンやファッション業界人などにもファンを拡大。現在は古着や、自身が手がけるヘッドウェアブランド〈ギーク〉などをセレクトした、遊び半分のウェブショップ「伊藤商店」を運営。さらに不定期でポップアップストアも開催している。
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この記事を書いた人
メンズファッション誌やモノ系のWEBメディアを中心に、ファッション、モノ、アイドル、ホビーなどの記事を執筆するライター/編集者。プライベートでは漫画、アニメ、特撮、オカルト、ストリート&駄カルチャー全般を愛する。
Instagram:@tommythetiger13
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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