【早漏はトレーニングで治る?】専門医が解説!国内で推定約1300万人いる早漏“患者”がマスターベーションやセックス中に注意すべきこととは?
執筆者: ライター・エディター/鈴木恵理子
女性特有の健康課題の解決・改善に役立つ製品やサービスを指す「フェムテック」とともに注目されつつあるのが、その男性版にあたる「メンテック」。ED(勃起障害)やAGA(男性型脱毛症)、男性不妊など、人に相談しにくい男性特有の健康課題を解決することを目指す分野のことで、フェムテックに続き、今後大幅な成長が期待されています。
今回は、男性特有のセンシティブな悩みのひとつでもある「早漏」に着目。早漏は文字通り「早くイってしまう」ことで、男性の中でもタブー視されがちな症状です。性にまつわる悩みや問題を解決することを目的に生まれた『TENGAヘルスケア』のコンテンツの中から、早漏の原因、包茎との関係性、改善に効果的な方法などを紹介します。
●『TENGA ヘルスケア』とは……
「世界中の人々の性生活を豊かにし、人を幸せにする」TENGAグループから、2016年に性にまつわる悩みや問題を解決することを目的に生まれたブランド。TENGAで培ってきたノウハウを基に、各種学会や医療・福祉・教育の専門家・機関と連携し、全ての人のセクシュアルウェルネス向上に貢献している。性機能サポートや妊活サポートのアイテムがある。
早漏に関する情報はこちらをCheck!▶▶ https://tengahealthcare.com/column/post-3860/
目次
「TENGAがまじめに作った“セックスの教科書”が勉強になりすぎた」誤った性的同意の取り方をしている人は約5割!相手を尊重しながらセックスに誘う方法とは?
教えてくれたのは……
今井 伸先生
泌尿器科医/聖隷浜松病院リプロダクションセンター センター長
今井 伸先生
■泌尿器科医 ■性機能専門医 ■生殖医学会生殖医療専門医 ■性科学会認定セックス・セラピスト専門医
聖隷浜松病院リプロダクションセンターHP:https://www.seirei.or.jp/hamamatsu/department/reproduction-center/
そもそも早漏とは?
男性機能に関する悩みで、もっとも多いのが「早漏についての悩み」だといわれています。2017年に実施されたTENGAヘルスケアの調査では、日本国内で推定約1300万人、実に成人男性の約3.5人に1人が早漏の悩みを抱えていることがわかりました。日本では早漏の治療薬は認可されておらず、「早漏=病気であり、治すべきもの」と捉えている男性もほとんどいないでしょう。そのため、多くの男性が適切な医療機関を受診することなく「自分もパートナーも満足しないうちに射精してしまう」「挿入から1分も我慢できずに射精してしまい、情けない、恥ずかしい気分になる」「射精が早いことで、セックスや恋愛に自信が持てない、前向きになれない」といった悩みを抱え込んでしまっています。
医学的には、挿入から1分以内に射精する場合を『早漏』と定義されています。しかし、単純に挿入時間の長短ではなく、2人の挿入時間についてあなたとパートナーがストレスを感じているかどうかが重要。もし挿入時間についてパートナーと話したことがなければ、一度相談してみることをおすすめします。
専門医が考える早漏の原因①「堪えがきかない」
早漏の原因の1つは、「射精の堪(こら)えがきかない」ということ。マスターベーションでは、射精を我慢することがあまりありませんよね? ノーブレーキで射精まで至ることが多いです。これを繰り返しているうちに、射精の我慢がきかなくなるんです。堪える習慣が身についていないことから、相手に「早い」と言われて初めて、自分が我慢できていないことに気づく人もいます。
私は患者さんに対して、マスターベーションの際にも「何回か我慢してから射精すること」をおすすめしています。例えば、射精しそうになったら4回寸止め(尿道括約筋をギュッと締めて精液が出ないようにする)をして、4回目に出すといったトレーニング方法です。これは「STOP -START法」と呼ばれる方法です。もし自力で寸止めができない場合は、「スクイーズ法」も組み合わせます。射精をしそうになったら刺激を止めて、亀頭の下でペニスをギュッと強く握る(尿道を握って押さえることによって)ことで射精反射を抑えます。射精しそうな感覚が治まったら、再び刺激を始め、再度射精しそうになったらまたペニスをギュッと握りしめるという過程を数回繰り返し、最後に射精します。これが、早漏克服の基本的な方法です。
専門医が考える早漏の原因②「骨盤底筋の筋力低下」
骨盤底筋群(骨盤の底に位置する筋肉の総称)や、尿道括約筋の筋力低下も早漏の原因になります。これらの筋肉は、尿意やおならを我慢する際に収縮する役割を果たしています。射精の直前には、「射精したい!出したい!」という圧力と、これらの筋肉が拮抗します。そして、この緊張が臨界点を突破すると、骨盤底筋が痙攣し射精してしまいます。特に年配の方では、骨盤底筋が弱くなっているケースが多く見られ、これが早漏の原因となっています。
専門医が考える早漏の原因③「脳の興奮」
脳の過度な興奮も早漏の原因とされます。昔から伝わる早漏予防法として、畳の目を数えながらセックスするとか、興奮しない人の顔を思い浮かべるなど、興奮を鎮める方法があります。
これらの方法は、知っている人にとっては当たり前かもしれませんが、強い性的興奮を抑えることができます。ですので、この手の話を誰ともしてこなかった人は、もしかしたら知らないかもしれません。試したことがない人は、やってみると効果があるかもしれませんが、射精のコントロールそのものには効果がないともいわれているので、先ほどお伝えした「STOP -START法」と併用して試すことがよいでしょう。
興奮の制御が難しそうな方には、お薬もお出ししています。ただし、薬には副作用もあり、毎回飲まないといけないので、他の治療法と併用しながら実施するのがおすすめです。
専門医が考える早漏の原因④「勃起力の低下」
他には「勃起力の低下」も早漏の原因になります。実は、完全に勃起している状態よりも、半勃起の状態のほうが亀頭は快感を得やすくなっているのです。完全勃起の状態では、それ以上ペニスを大きくする必要がないため、それ以上気持ち良くなる必要がありません。逆に半勃起の時のほうが、そこから更に勃起させる必要があるため、体はより快感を感じやすい状態になっています。この仕組みは、泌尿器科の教科書にも記されています。
早漏と包茎に関係はある?
結論から言うと、包皮の状態が射精の早い・遅いに関与している可能性は低いと思います。射精の早さを左右する要素は、包皮の状態や亀頭の敏感さよりも、先ほどお伝えした他の原因にあると考えられます。包茎に関しては、科学論文であっても宗教的な要素が多少なりとも関与してくるため、評価が難しい側面がありますが、「割礼(宗教上の理由や慣習で包皮を切除すること)は早漏に影響するか」を検討した研究(メタアナリシス)では、割礼を受けたグループと割礼を受けていないグループを比較しても、早漏の発生率に差がないと報告されています。
ただし、包茎手術によって亀頭が露出することで、亀頭の感度が低下する可能性はあります。特に真性包茎の場合、亀頭に触れるだけで痛みを感じる方もいますので、包茎手術によって鈍感になる可能性はあるでしょう。ただし、先にも述べたように、亀頭の敏感さは早漏の大きな要素ではありません。早漏を改善したい場合、もっと別の方法があるので、まずはそれらを試してみることをおすすめします。早漏改善のために包茎手術をするのは、あまり賢い選択肢ではないでしょう。
早漏改善に効果的な方法は?
まずは、「普段のマスターベーションでの訓練」を怠らないことが重要です。先ほどお伝えした「STOP- START法」を、あぐらなど、脚をリラックスさせた状態で行ってください。特に、普段脚ピンで射精している人は、脚ピンをやめるだけでも改善すると思います。脚を開き力を抜いて骨盤底筋がゆるんだ状態で、肛門を締める力のみで射精を我慢する練習を行いましょう。
脚ピンは膣内射精障害の原因にもなり得ますが、早漏や遅漏の両方に関係していると考えられます。脚ピンが早漏の原因になる理由は、骨盤底筋が収縮して勃起の硬さも増し、射精反応を惹起しやすくなるからです。また、遅漏や膣内射精障害の原因になる理由は、脚ピンの姿勢じゃないと射精できない状態になってしまうから。セックス中に男性が脚ピンするのは難しいため、遅漏になってしまうという可能性があります。どちらのケースでも「脚ピンはやめるべき」ということです。
セックス中の注意点は?
①射精感の高まりを感じたら、骨盤底筋を意識的にリラックスさせ過緊張しないようにする。
②高まりを感じたら①とあわせて、脚を開きリラックスする(脚ピンの習慣がある方は特に注意が必要です)。
③興奮し過ぎていると思ったら、興奮を抑えるために意識的に萎えることを考えることも有効です。
④コンドームを装着する。場合によっては勃起薬(PDE5阻害薬)の服用を検討することもおすすめですが、医師の指示に従い正しく使用するようにしましょう。
いかがでしたか? 早漏の原因や、適切な対処方法によって改善が可能であることが分かりました。また、パートナーがいる場合は、恥ずかしくても打ち明けることで、女性も協力的になってくれる可能性が高いのではないかなと思いました。体位を工夫してみたり、厚めのコンドームを使ったりと実践的な対策というところでは、打ち明けたほうがスムーズだと思います。打ち明けないとパートナーとの関係に悪影響を及ぼすこともあるかもしれません。早漏に「絶対に治療をしなければいけない」というイメージを持っている人は少ないかもしれませんが、放置して自然に治るものではなくEDなどの別の症状に繋がってしまうこともあるので、改善のトレーニングや治療を始めたほうがよさそうです。何をやってもうまくいかない場合は、男性クリニックでの相談も検討してみましょう。TENGAヘルスケアさんでは、オンライン相談も提供されています。早漏のお悩みが改善されて、恋愛やセックスを積極的に楽しめるようになりますように。
この記事の画像一覧
この記事を書いた人
11年間の編集プロダクション勤務を経て、2011年よりフリーランスに。雑誌やムック、ウェブなどで、ヘアやビューティページを中心に活動中。暮らしに役立つ実用系やメンズのビューティ記事の経験も豊富。好物は古物や古道具。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
この記事をシェアする
この記事のタグ