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連載へそまがりスニーカー愛好家・ITOのスニーカー探訪「逸足触発」

スニーカー界の“豚骨味噌チャーシューメン全部のせ”はフィラとのコラボ。縁起がいい3つの型押しレザーが幸運も運ぶ⁉

ストリートを中心としたファッション業界で幅広い人脈を擁する「伊藤商店」のITOさん。“へそまがりスニーカー愛好家”を自認し、他の人とは違ったニッチな目線でスニーカーを楽しむ彼に、いま気になる新作モデルを紹介してもらう不定期連載【へそまがりスニーカー愛好家・ITOのスニーカー探訪「逸足触発」】。自由な視点で探す、自分だけの逸足。そして見つけた瞬間に爆発する物欲。周りと被らず、かつ個性も発揮できちゃう。そんな一足を教えます!

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フィラ × キネティクス「バブルス “ラッキーチャーム”」

フィラ × キネティクス「バブルス “ラッキーチャーム”」¥20,350

豚骨味噌チャーシューメン
みたいなこってり全部のせ感が
今の気分!?

TOMMY:さて、早くも連載2回目を迎えました。前回は読者からの“スタート祝い(?)”ということもあってか、人気記事ランキングにおいても最高6位まで浮上! その勢いに乗りたい今回は、以前smart本誌でも取り上げた人気セレクトショップ【キネティクス】にお邪魔しました。コチラ、以前は原宿にあったんですよね?

ITO:そうそう、原宿から渋谷に移転したんですよ。ここも元々は「チャプター(現・アトモス)」と親会社が同じだったので、そういう意味では前回同様、古巣感覚ってやつですね。とはいえ、僕が働いていた頃はあまり絡む機会がなく……。でも、ディレクターの森くんとは同世代ということもあって、辞めた後に親しくなりました。ココを訪れるのもちょっと前にあったレセプションパーティー以来です。

TOMMY:お店を取材した際に感じたんですが、シューズ類は以前より減ったんですね。昔は「キネティクス」=「エア・ジョーダン」っていうイメージがありましたが、最近はどうなんでしょうか?

ITO:確かに、あの頃は「エア・ジョーダン」と〈ナイキSB〉に強かったですね。今だとシューズよりもアパレルに力を入れている模様。なので“服に合う”という前提でシューズ類はセレクトされているように感じました。だからかシンプルで主張が少なく、汎用性の高いモデルが多いような気がします。

TOMMY:確かにハイプなスニーカーは、どうしても足元にばかり目が行きがち。その辺りも考慮した上で、へそまがりスニーカー審美眼を持つ ITOさんに、今回も隠れた名作をディグしてもらいましょう! じゃあ、早速店内に突撃!

フィラ × キネティクス「バブルス “ラッキーチャーム”」

ご覧ください。このピンとキレイに伸びた右手からも感じられる、漲(みなぎ)るやる気を!

TOMMY:(店内を見渡しつつ)さて、何か気になるモデルはありますか?

ITO:この〈プーマ〉の「スリップストリーム ロー レトロ スネーク」とか、僕ら世代にはたまらないですよね。80年代キックスならではのフォルムや、エキゾチックレザー扱いが今っぽいですよね。最近だと〈アディダス オリジナルス〉の「フォーラム」だったり、〈ニューバランス〉の「BB550」なんかもそう。オーセンティックな感じが、アメカジ回帰と言われている昨今のファッショントレンドにも合うんでしょうね。

フィラ × キネティクス「バブルス “ラッキーチャーム”」

ITOさんの目に止まったのは90年代、ヴィンテージ好きの間で人気だったアレの復刻板。「この〈プーマ〉推しが、逆に今っぽいすね」

TOMMY:なるほど。じゃあ、今回は〈プーマ〉にしましょうか?

ITO:(棚をじっくり見つつ)あ! これもバカっぽくてイイなぁ(笑)。〈ディーシーシューズ〉の「リンクス OG キャロッツ」ですね。〈キャロッツ〉というストリートブランドとのコラボモデルなんですが、分かります? キャロッツだけにニンジンをモチーフにしているっていう。

フィラ × キネティクス「バブルス “ラッキーチャーム”」

「オレンジにグリーンの挿し色かぁ。となるとコレは……」。そう、モチーフはニンジンです。

TOMMY:確かにかなり目立ちそう! で、そっちは?

ITO:ご存知〈ティンバーランド〉っすね。これがなかなかの……ってスニーカーじゃないか(静かに棚に戻す)。もしくは……コレとかイイっすね!

フィラ × キネティクス「バブルス “ラッキーチャーム”」

ティンバー片手に「雰囲気良くないっすか?」。いや、そうかもしれませんが、ここはスニーカーでお願いします!

“逸足触発”な二足目は
フィラ × キネティクス
「バブルス “ラッキーチャーム”」

TOMMY:ということで、今回ピックしたのが「バブルス“ラッキーチャーム”」! 「キネティクス」が〈フィラ〉に別注したモデルですね。ちなみにデザインしたのは、先ほどもお話に上がった「キネティクス」ディレクターの森さんだそうです。

フィラ × キネティクス「バブルス “ラッキーチャーム”」

「バブルス “ラッキーチャーム”」。かなりボリューミーなフォルムで、それもまた新鮮です。

フィラ × キネティクス「バブルス “ラッキーチャーム”」

「バブルス “ラッキーチャーム”」のバックビュー。複合的なマテリアル使いが顕著に表れています。

ITO:ベースモデルは「バブルス」? ちょっと存じ上げなかったんですが、コレはイイっすね。

TOMMY:どうやら90年代にリリースされたバッシュみたいです。ミッドソールにブランドロゴが刻まれた半透明の球体を配置しているのが特徴とのこと。バブルス(泡)というモデル名の由来はソコでしょうね。

ITO:〈ナイキ〉から「エア ズーム フライト95」も復刻されて話題になっているし、タイミング的にはバッチリっすね! あと、さっきお店のスタッフに聞いたら、名前の通り、ラッキーチャーム(縁起物)がデザインコンセプトになっているとか。そこで、縁起がいいとされるパイソン、スティングレイ、クロコダイルっていうアクが強すぎる3種類の型押しレザーを複合使いしているのがポイント。しかも黒一色の同色ブチ込みっていうのが、これまた渋い!

TOMMY:そしてタン部分にはコラボレーションネームも。アウトソールは暗闇で光るグロー・イン・ザ・ダーク(蓄光)仕様。90 年代のストリートスタイルと現代のトレンド感をクロスオーバーさせたとか。

ITO:このアウトソールの色合いはやられたなぁ〜。僕だったらガムソールを選んでしまいがちなところを、コレですからね。先程の「エア ズーム フライト95」の話もそうですし、同じく〈ナイキ〉で復刻されてヒットを記録した「エア モア アップテンポ」もそうなんですが、こういった90年代をヤリ過ぎなくらい主張しているモデルって、若い世代からしたらすごく新鮮なんでしょうね。それをこんな感じに料理するなんて、マジで洒落てるじゃないっすか。森くん、イイ仕事してますね!

フィラ × キネティクス「バブルス “ラッキーチャーム”」

いざ試し履き。真剣な表情でジッと足元を見つめるITOさん。果たして何を思っているんでしょうか?

フィラ × キネティクス「バブルス “ラッキーチャーム”」

おもむろに立ち上がり、鏡に写る自分の姿を確認。微動だにしませんが、本当にどうしたんですか?

フィラ × キネティクス「バブルス “ラッキーチャーム”」

「……いや、普通にイイっすね!」。お気に召していただけて何よりです(ニッコリ)。

TOMMY:しかもシューレースの先にはメタルチップまで付いてますし、結構高いんじゃないですかね。

ITO:定価は¥20,350みたいっすね。ちょっとお高い印象はありますが、この仕様を考えると当然かなって。しかも今年1月にリリースされたモデルらしいので、まさにこの連載にふさわしい“埋もれていた名作”って感じでしょうね。

フィラ × キネティクス「バブルス “ラッキーチャーム”」

全体的に主張が強く、合わせるのが難しそうなモデルですが、いやぁ〜似合ってますね。ITOさんもご満悦♪

TOMMY:この手のボリューミーなスニーカーって、シンプルなローテクモデルなんかと違って、どう履けばイイのか悩みがち。ITOさん的なポイントがあれば教えてください!

ITO:僕自身こういったボリューミーなタイプは嫌いじゃないので、いつも通りに合わせているだけなんですけどね。ボトムスとの相性でいうと、今日穿いているようなリブパンツが適任。シューズのボリューム感を活かして、ブーツのノリで履くといいでしょうね。今ってバッシュだと「ダンク」や「エア フォース1」のようなオーセンティックなモデルが人気を集めている中、ここまでこってりしたデザインって貴重ですよ。まるで、豚骨味噌チャーシューメンみたいな(笑)。でも、その全部のせ感が「逆に今の気分」って人も多いと思います。なので気になる人は、早めにゲットしてください!

(了)

今回お邪魔したのは……
「キネティクス」

キネティクス

「キネティクス」
(住所)東京都渋谷区宇田川町19-3-2F
(電話番号)03-3780-5151
(営業時間)(月~土)11:00〜20:00、(日・祝日)11:00〜19:30
(定休日)無休

Profile/ITO(伊藤忠宏)
2008年に古着屋「T」を高円寺にオープン。ストリートに根ざしたセレクトが話題を呼ぶ。その後、渋谷に移転し、ミュージシャンやファッション業界人などにもファンを拡大。現在は古着や、自身が手がけるヘッドウェアブランド〈ギーク〉などをセレクトした、遊び半分のウェブショップ「伊藤商店」を運営。さらに不定期でポップアップストアも開催している。
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撮影・聞き手・文・構成/TOMMY(←TOMMYさんのツイッターも面白いよ♪)

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