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連載真説 星野仙一 ~誰も知らない“鉄拳制裁”の裏側~

銀座の高級ステーキ、帝国ホテルのスイート、そして愛の故意死球…「星野仙一にいちばん叩かれた男」中村武志が受けた“規格外の教育”

執筆者: ノンフィクションライター/長谷川 晶一

「もしも、“死んでくれ”と言われたら、迷いなく死ねます」

 その後、中村は05年限りでユニフォームを脱いだ。現役引退後はベイスターズ、ドラゴンズ、マリーンズ、さらには韓国で指導者を務めた。この間も、星野との交流は続いた。

「監督に最後に会ったのは2017年の暮れ、星野さんの野球殿堂入り記念パーティーでした。今から思えば、その時点でかなり衰弱していました。あいさつをすると、いきなり平手打ちを喰らいました。“監督、今の時代は叩いたらダメなんですよ”と言うと、“オレとお前の仲なんだからいいんだ”と言われました。でも、その平手打ちは力がなく、弱々しいものだったことを、ハッキリと覚えています……」

 それが、星野なりの「別れの言葉」であり、「最後の愛情表現」だったのだと、中村は考えている。そして、星野はこう続けた。

「よく耐えたな。よく頑張ったな。ありがとう」

 生前の星野の思い出を語るその表情が神妙なものになる。中村に問うた。「星野をひと言で表現するならば?」と。少しだけ考えて、彼は言った。

中村武志が考える星野仙一とは?――“太陽”

中村武志が考える星野仙一とは?――“太陽”

「僕にとって星野さんは、《恩人》であり、《師匠》ですけど、そんな言葉で言い表せるレベルの人ではないんです。もしも星野さんに“武志、死んでくれ”と言われたら、迷いなく死ねます。だって、親よりも大切な人なんですから。だから、僕にとって、星野さんは《太陽》です。いつも見守ってくれるし、いつも照らしてくれる。亡くなってしまったけれど、今でもそうです。太陽のような人。それが僕にとっての星野さんなんです」

自他ともに認める「星野仙一にいちばん叩かれた男」は、うなずきながら静かに言った。

(次回、山﨑武司編に続く)

私の「プロ野球都市伝説」——愛する星野監督と野球人たち100話

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中村武志
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Profile/中村武志(なかむら・たけし)
1967年3月17日生まれ。京都府出身。花園高校から84年ドラフト1位で中日ドラゴンズ入団。星野が監督に就任した87年に一軍初出場を果たすと、翌88年には正捕手に抜擢され、リーグ制覇に貢献。星野に「こいつのおかげで優勝できた」と言わしめた。星野とは87~91年の第一次政権、96~2001年の第二次政権と、すべての期間でともに過ごした。02~04年は横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)、05年は東北楽天ゴールデンイーグルスへ移籍し、この年限りで現役引退。その後、横浜、中日、千葉ロッテマリーンズ、韓国球界でコーチを歴任。星野とは生涯にわたる交流が続いた。

Profile/星野仙一(ほしの・せんいち)
1947年1月22日生まれ。岡山県出身。倉敷商業高校、明治大学を経て、68年ドラフト1位で中日ドラゴンズに入団。気迫あふれるピッチングで、現役通算500試合に登板し、146勝121敗34セーブを記録。現役引退後はNHK解説者を経て、87~91年、96~2001年と二期にわたって古巣・ドラゴンズを率いる。02~03年は阪神タイガース、07~08年は日本代表、そして11~14年は東北楽天ゴールデンイーグルスで監督を務める。17年、野球殿堂入り。翌18年1月4日、70歳で天に召される。

インタビュー&文=長谷川晶一
撮影=永谷正樹

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  • 88年、初めてのオールスター出場で見せた、星野の優しさ
  • 「この日本シリーズはキャッチャーの差で負けた」
  • 「武志、目を覚ませ」と、故意死球を喰らった
  • 中村武志が考える星野仙一とは?――“太陽”

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この記事を書いた人

1970年生まれ。早稲田大学卒業後に出版社へ入社し、女子高生雑誌『Cawaii!』などのファッション誌の編集に携わる。2003年からフリーに。ノンフィクションライターとして活動しながら、プロ野球12 球団すべてのファンクラブに入会する「12 球団ファンクラブ評論家®」としての顔も持つ。熱狂的な東京ヤクルトスワローズファンとしても知られ、神宮球場でのホームゲームには全試合駆けつける。単行本が7刷となり文庫化もされている『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』(単行本:インプレス、文庫:双葉社)をはじめ、ヤクルト関連の著書・連載多数。スポーツ総合雑誌『Sports Graphic Number』(文藝春秋)にも定期的に寄稿中。日本文藝家協会会員。

X:@HasegawSh

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