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連載真説 星野仙一 ~誰も知らない“鉄拳制裁”の裏側~

銀座の高級ステーキ、帝国ホテルのスイート、そして愛の故意死球…「星野仙一にいちばん叩かれた男」中村武志が受けた“規格外の教育”

執筆者: ノンフィクションライター/長谷川 晶一

真説 星野仙一 ~誰も知らない“鉄拳制裁”の裏側~

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現役時代には「燃える男」と称され、監督時代には「闘将」と呼ばれた星野仙一が天に召されてすでに8年が経過した。一体、星野仙一とはどんな人物だったのか?彼が球界に遺したものとは何だったのか?彼の実像を探るべく、生前の彼をよく知る者たちを訪ね歩くことにした。彼らの口から語られる「星野像」は、パブリックイメージ通りである一方で、それとは異なる意外な一面もあった。「星野仙一」のリアルに迫りたい——。連載第5回は、星野の愛弟子であり、中日での監督時代の正捕手であった中村武志に話を聞いた。【中村武志インタビュー全2回の2回目/第1回を読む】

「生まれ変わっても、星野監督と野球がしたい」愛弟子・中村武志が語る、世間が抱く“闘将”星野仙一への誤解

88年、初めてのオールスター出場で見せた、星野の優しさ

88年、初めてのオールスター出場で見せた、星野の優しさ

 監督2年目となる1988(昭和63)年、星野仙一率いる中日ドラゴンズは6年ぶりにセ・リーグを制した。郭源治をストッパーに転向させ、ルーキーの立浪和義をショートに抜擢すると、宇野勝をセカンドに、正捕手の中尾孝義をセンターにコンバート。中尾の代わりに、スタメンマスクをかぶることになったのがプロ4年目を迎えていた中村武志だ。この年、中村は初めてオールスターゲームにも選出されている。

「前年2位だったので、星野さんもコーチとしてオールスターに出場していました。第3戦、東京ドームでの試合後のことでした。星野監督は僕と、ルーキーの立浪(和義)を食事に誘ってくれました。人生初の銀座です。このとき食べた鉄板焼きのステーキの味は一生忘れません。食事中、星野さんは本当に嬉しそうでしたね」

 食事後のことだ。星野は中村と立浪に言った。

「お前らはオールスター選手なのだから、一流のホテルに泊まれ!」

 そう言うと、球団が用意していたビジネスホテルではなく、自ら帝国ホテルのスイートルームを一人一室、予約したという。中村が続ける。

「本当に驚きました。そこには2部屋も、3部屋もあって、本当に立派なものでした。ホテルにチェックイン後、立浪と二人で、“普段の怖い監督と、今日の優しい監督と、一体どちらが本当の星野さんなんだろう?”と話したことを覚えています(笑)」

 これまで、本連載で多くの証言が寄せられているように、これこそ星野の得意とする「飴と鞭」の本領発揮であった。厳しさの中にときおり垣間見せる優しさ。まさに「飴と鞭」である。こうしたやり取りを重ねるうちに、中村はますます星野に心酔していく。

 前述したように、この年のドラゴンズはリーグ制覇を果たしている。パ・リーグを制したのは森祇晶監督率いる西武ライオンズである。

「この頃の西武は圧倒的な強さを誇っていました。これはよくわからないけど、星野さんも“たぶん勝てないんじゃないか”と思っていたんじゃないですかね。むしろ、“あの西武に勝つなんておこがましい”ぐらいに思っていたような気がします」

 どうして、そう感じたのか? 理由を問うと、その答えは明確なものだった。

「あれだけ勝負に厳しい星野監督が、シリーズ前の練習中からずっとリラックスしていたからです。思わず僕らも、“監督、最初から諦めているのかな?”とか、“勝たなくてもいいのかな?”と感じるぐらいでしたから。結局、1勝4敗で負けるんですけど、試合後にそんなに怒ることもなく淡々としていましたね」

この記事を書いた人

1970年生まれ。早稲田大学卒業後に出版社へ入社し、女子高生雑誌『Cawaii!』などのファッション誌の編集に携わる。2003年からフリーに。ノンフィクションライターとして活動しながら、プロ野球12 球団すべてのファンクラブに入会する「12 球団ファンクラブ評論家®」としての顔も持つ。熱狂的な東京ヤクルトスワローズファンとしても知られ、神宮球場でのホームゲームには全試合駆けつける。単行本が7刷となり文庫化もされている『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』(単行本:インプレス、文庫:双葉社)をはじめ、ヤクルト関連の著書・連載多数。スポーツ総合雑誌『Sports Graphic Number』(文藝春秋)にも定期的に寄稿中。日本文藝家協会会員。

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